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バカ王子
しおりを挟む自分がキレそうになるのを抑えて、できるだけ微笑んで言った。
「可笑しなことをおっしゃいますのね、王太子殿下。
たった今、貴方が婚約破棄を言い渡しましてよ?」
「そ、それはそうだが…
そ、それより!さっきから王太子殿下とはなんだ!いつものように愛称で呼べ!チェシー!」
それよりって…本当に頭が痛くなりますわね…
「王太子殿下。『愛称』は婚約者と家族のみが許されているものですわ。
既に貴方にはおめでたい事に『愛称』で呼ばれいる方がいるではありませんか?
また、私をチェシーと呼ぶのもやめて下さいませ。チェルシー嬢とお呼びくださいませ。」
「なっ!俺は愛称を呼ぶことをスピア嬢に許していない!」
「あら?でも先ほど呼ばれても注意なさいませんでしたよね。そういうことですよ。」
「違う!違う!違う!!!!!
俺はスピア嬢など好きではない!!!
さっきのは嘘だ!お前は俺の婚約者だ!」
ほんとこのバカ王子、スピア嬢本人を前にして結構なことを仰いますわよね…スピア嬢、巻き込まれて可哀想に。
このバカ王子は幼い頃から、何かにつけて婚約破棄してくる。幼い頃は周りの大人から「引き止めてあげて下さい」と言われ、そうしてきた。それで毎回円満に解決していたが…
今回のことは私も怒っているので引きません。
「王太子殿下。お忘れですか?婚約して少し経った頃、私と約束しましたわよね。
他の令嬢と話すのも仲良くするのもほとんど全て許しますが、『愛称』だけは婚約者のものですから、私だけに、呼ばせてください…と。
もし、私以外に愛称をよばせるような、そういった方が現れれば、シェイ様とはお別れ致します…と。
この約束は私たちの中で婚約存続に関する1番大事な約束です。
愛称を呼ばせる方ができた今、私は貴方と結婚できません。
それとも、やはりお忘れになっていたのでしょうか。私との婚約なんてどうでもいいのですものね。
幼い頃から何回も私に婚約破棄されてましたものね。」
「忘れてなどいない!!お、おれは…不安なんだ…。最近婚約破棄を言い渡しても、他の令嬢が好きだといっても表面上でしかお前は引き止めてくれない!昔はもっと全力で引き止めてくれていた…!」
いや、それ、だんだん面倒くさくなっただけです。
「あ、愛称呼びだって、本当に何回も注意したんだ。だけど、スピア嬢は辞めなくて…。でも流石に愛称で呼ばれているところを見ればお前も以前のように全力で止めてくれると思ってた…!
なのに…!なのに…!お前は王太子殿下とか呼ぶし、他の男と婚約しようとするし、あっさり婚約破棄受け入れるし…
お、おればっかりお前のこと好きなのが悔しい…!」
そういうと王太子殿下は涙を流し始めた
いや、我慢しようとしてるけど全然出来てないからね?すごい顔になってるし。
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