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婚約破棄
しおりを挟む「チェシー!お前とは婚約破棄だ!」
「シェイ様ぁ…」
あらあら、まあまあ。
…それでは。
「はい。王太子殿下。婚約破棄の旨、謹んでお受けいたしますわ。」
「俺はここにいるスピア嬢を好きにーーってえ?…今、なんと言った?」
「王太子殿下からの婚約破棄、謹んでお受けいたしますと申し上げました。」
そうして私はゆっくりと微笑んで優雅にカーテシーをするとその場から立ち去ろうとした
「ひどい!」
淑女らしからぬ大声で王太子殿下の後ろから小さな女性が目に涙を溜め、飛び出してきた
「わたくし、シェイ様と親しくさせて頂いてただけなのにチェルシー様にひどい嫌がらせを受けました。謝罪の一言もないんですか!?」
やはり、さっきからこの方、シェイプス王太子殿下のことを愛称で呼んでいるのね…まあ、恋人?みたいだし当たり前か
「私、貴女とは初対面でしてよ。
しかも、王太子殿下が貴女を選ばれたのなら貴女に文句などありませんわ。
…それとも、私が何かしたという証拠がありまして?」
「そ、それは…!
シェ、シェイ様ぁ…」
そのスピア嬢?という方は王太子殿下の腕に手を絡め、上目遣いで王太子殿下を見つめた。
「ええい!離せ!」
「キャッ」
王太子殿下が勢いよく腕を振り払った
「チェシー!!婚約破棄を受けるとはどういうことだ!!!」
「どうもこうも、そのままの意味ですけど…。」
そういうと、首を少し傾げて困ったように微笑んで見せた
「…ぐっ」
王太子殿下は昔から私のこの顔に弱い
自分の弱点を克服しないなんてバカがやることよね。
さて、王太子殿下が押し黙ったところで帰ろうとすると周りにいた男子生徒たちに囲まれた。
「チェルシー様!王太子殿下と婚約破棄されたんですか!?でしたら是非私と婚約を」
「抜け駆けするな!私はこいつよりも広大な領地を有している公爵です。是非私と」
「いやいや、私は騎士です。他の方と違って、生涯貴女を守と誓いましょう。」
はぁ…王太子殿下と婚約が決まるまでは求婚が多くて大変だったのよね。またその生活に戻るのかと思うと少し憂鬱ね…
私は自分で言うのもなんだが、人より出来る。女ながら領地運営も人事派遣も外交もすべてにおいて優秀とされている。そんな私を引く手は数多なわけで…
「皆様、ありがとう。傷物の私を貰ってくださるなんて。
今決めることは難しいから、新しい婚約者は今後ゆっくり皆様と交流して、決めていきますわ」「ま、まて!」
「チェシー!何を言っている!?
未来の王妃ともあろうものが他の男と婚約するなど!」
わたしは白けた目で王太子殿下を見た。
だから、たった今、貴方に婚約破棄されたのだけど…。
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