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新魔王の明るい家族計画

14 ドライアドとの再会

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今俺は西方面に向かって光速で飛んでいる。人間の街探しと買い物の為だ。もう慣れたが、周りの風景が物凄い勢いで流れていく。ものの3分位でこの広大な樹海を抜けてしまった。

(あれ?西の端っこの樹海の形、変わってないか?)

10年程前に来た時よりも太い木が減ってる様に見えた。所々森がハゲている。ちょっとドライアドが気になったので寄り道してみる。

「おーーい!ドライアドー!居るかーー!」

地上に降り立ちドライアドを呼んでみた。
確かこの辺で間違い無いと思うんだけどな。それにしてもここら辺は切り株だらけだな。こんな所まで伐採しにくるんたな人間は。

「ドライアドーー!」

返事が無いな。もしかして斬り倒されたか?ドライアドってそんなに弱くは無いはずなんだけどなあ。樹木を斬り倒すって事は、カネの為に商人が木こりを使ってやるんだろ?そんなヤツラに負けるとは思えないんだけどな。もしかして冒険者か?護衛か何かで木こりと来たとかか?もし、ドライアドが殺られてしまったのなら悲しいな。
俺は諦めて飛び立とうした時、ひょっこりドライアドか出て来た。

「おお!良かった!生きてたか!」

「・・・マオウ・・・」

「覚えていてくれたか!嬉しいぞ!それよりどうしたんだこの辺は。お前が居れば守れるだろうに。」

「・・・ニンゲン・・・ヘンナ・・・マホウ・・・・ツカウ」

(ドライアドでも対応出来ない魔法を人間が使うだと?一体とんな魔法なんだ・・・)

「そうか・・・・・それよりもお前の本体は大丈夫なのか?仲間とかも大丈夫か?」

「・・・・ドウホウ・・・・ヘッタ・・・・」

仲間の話をした瞬間ドライアドの雰囲気が変わった。怒りを感じているのだろう。

「そうなのか・・・・それは残念だったな・・・・なぁ、お前達さえ良ければ樹海の奥の魔王城の側に来ないか?仲間と一緒に。」

「・・・・・・モリ・・・マモル・・・・」

「・・・・・それは俺が協力してやる。森を守るにしてもお前達が倒されたら後は誰が守るんだよ?100年程度城の近くに避難しろよ。」

「・・・・ドライアド・・・・・ウゴク・・・・・オソイ・・・・」

「ははは、それは大丈夫だ。俺が運んでやる。お前の仲間の所に案内してくれよ。最後にお前の本体にもな。」

「・・・・マオウ・・・ドウホウ・・・・タスケテ・・・」

(やっと本音を話したな。スゲー長寿な分、甘えるのに戸惑いがあったのかも知れないな。)

「任せろよ!」

それからドライアドの案内で、植物系の魔物を鳥籠を作ってその中に入れていった。トレントとか、マンティコアとか言うヤツだな。その他にも知らないヤツも結構居たけど。
最後にドライアドの本体に案内されて、俺は驚きと感嘆の声をあげた。

「ほえーー!こりゃ立派だな!良く残ったもんだ!」

ドライアドは嬉しそうだ。自分の本体に誇りを持っていたんだろう。直径5~60mは有りそうだ。ここまで育つのに万年は掛かってるんじゃないか?後5000年もしたら世界樹とかにになりそうだ。
ドライアドの本体とアバターを鳥籠に収納して、魔王城に向かって飛び立った。

(さて、コイツらを何処に避難させるかな・・・・・100ちょいも居るからな。城の側の空き地じゃ狭いな・・・・)

俺は飛びながら候補地を頭の中て考えていた。

(う~む・・・・・そうだ!あそこが良いんじゃないか?)

そう思った俺は魔王城に向かうのを止めて、南に方向転換した。 

「ドライアド、ここはどうだ?」

ドライアドのアバターを呼び出して上空から予定地を見て貰っている。

「・・・・スバラシイ・・・・ドウホウ・・・・ヨロコブ・・・・」

「そうか!良かった!城の近くはちょっとこの数だと狭いから、こっちに来て見たんだ。」

そう、ここは俺がこの世界に来た時に、吹っ飛ばした街の近くの場所だ。街があった場所はでっかい湖になっている。樹海の反対側に小さな村が点々とあるが、脅威にはならないだろう。樹海から村までは30㎞はあるからな。

ドライアドを降ろすにしても、移動出来ないから湖のすぐ側とはいかない。少し奥まった所で、ある程度の広さがある所を探さないと・・・・
周りを飛びながら探していると、良い場所があった。魔物のコロニーがあった場所だろうか。今は暮らしている様子は無い。良い感じの広場になっている。ドライアドの了解を得て広場の中心にドライアド本体を降ろした。
するとゆっくりとだが、太い根を動かし、土の中に根を張っていく。

「どうだ?この場所は?」

「・・・・ワルクナイ・・・・カンシャスル・・・・」

何だよ、悪く無いってさ。さっきは素晴らしいって言ってたじゃんよ。
ドライアド本体を中心に、周りに他の魔物を出していった。ドライアド本体以外は自分で移動出来る見たいだけどな。

「みんな、暫くここで根を張ってくれ。元の場所が安全になったら戻してやるから。」

不安と悦びの感情が魔物達から伝わってくる。

「ああ、そうだ、マンティコアよ、少し毒を分けてくれよ。ちょっと人間を懲らしめてやりたいんだ。」

器をマンティコア達に渡すと、蔓と葉っぱを上手く使って花の部分から器に毒を吐き出してくれた。

(なんかゲロを吐いてるみたいだ・・・・)

マンティコアから毒を貰って、アイテムボックスに収納してから皆に別れを告げ、再び西に向かって飛び立った。





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