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第109話 また偉い人が来たよ・・・

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 今日はゼウスの体調を考えて午前中は休息にあてた。俺は盗賊に襲われた事もあり、剣の練習をしとかないとヤバイなと思っていた。ここん所全然やってないからなあ。

「レイラ、ちょっと剣の練習に付き合ってくれよ。」

「はい!喜んで!」

その返事は昔どこかの居酒屋で聞いた覚えがあるな。
木の枝を拾って剣の代わりにする。

「さあ、何処からでも打ってきて下さい!」

「いくぞ!」

鬼教官モードのレイラには半端な事は出来ない。そんな事をしたら3倍の返しがくる。
俺はレイラには剣の技量では到底敵わない。だったらと、動きで何とかするしかない。右に左にと動き回って何とか1本取らないと練習が終らない。

「動きが単調だ!もっとフェイントを入れないと簡単に見破られるぞ!」

クソッ、俺だって分かってんだよ!だけどレイラの剣が邪魔でフェイントが掛けられないんだよ!

何回か隙を突いて手首に狙いを付け、切りつけたが簡単に弾かれてしまった。
どうするか・・・剣がダメなら自分が前へ出るか?一か八かの攻撃だが、これしか無いな。

俺はもう1度手首を狙い剣を振るった。

「同じ攻撃が通じる訳が無いだろう!」

剣が弾かれたと同時に弾かれた方と逆の方向へ体を前に出すと、弾かれた剣が遅れて剣がレイラの太股を捉えた。

「今の攻撃は良かったです!」

ふう、良かった・・・成功したな。
その後はレイラの攻撃をかわす訓練を1時間程こなして終わった。

「ご主人様の体の動きが良くなっていますね!」

レイラに褒められた。これは素直に嬉しい。今日は以前よりはレイラに打ち込まれ無かったな。上手くかわせたって事だろ。

昼飯の準備はハルカが中心となってやってくれたみたいだ。ゼウスは・・・・絶好調だな。あんだけ出したらそりゃな・・・まあ馴れない馬車を引いたりしてストレスもあったんだろう。たまに牧場とかでのんびりさせてやらないとな。もう少し待ってろよ。

昼飯を食べ終わった後、いつも通りゼウスを馬車に繋いで出発をした。ゼウスの足取りは軽く、いつも以上に早く進んでいる。夕方にさしかかる頃には城門が見えて来た。
これは街の方だな。それなら陛下の紋章が付いているジャケットを着ていた方が良いな。俺はジャケットを取りだし羽織った。5分後には城門に到着していた。

「はい、止まれ。お前達は・・・冒険・・・しっ、失礼しました!ど、どうぞ!」

俺を見た門番は胸に手を当て敬礼をする。

「あー、君達にお願いがあるのだ。・・・この先の1日行った所に10軒程の小さな村があるのたが、そこで私達は盗賊に襲われた。盗賊は捕らえて縛り付けてあるのだが、その盗賊を回収に行っては貰えないだろうか?私はユーノスケと言う。」

「はっ!畏まりました!直ちに警備隊長に知らせ、向かいたいと思います!」

「うむ、頼んだぞ。」

これであの村の人も浮かばれるだろ。次はリンとユリアの問題だな。でも今日は日も落ちるし、明日だな。宿屋を探そう。

俺達は一般的な宿屋に部屋を取り、体を休める事にした。宿屋は5部屋しか無く、俺達が4部屋押さえたのでほぼ貸し切り状態だ。
部屋で楽な格好に着替えて皆で外に食事をしに出た。この街は普通の街だな。何か落ち着く。帝都は何もかもがデカ過ぎなんだよ。

「ユーノスケ様!あの店はどうでしょうか?」

ハルカがまだ誰も入って居ない酒場を指さして言う。酒場かぁ・・・まあ、良いか!酒の肴の旨い所かも知れないしな。

「いらっしゃい!おや、大人数だね。奥の席をくっ付けておくれ。で、何にする?」

「女将さん、すまないが何か腹に溜まる物を適当に頼むよ。それと全員に葡萄酒ね。」

「はいよ!任せときな!旨いもんを出してやるよ。」

やけに自信満々だな。腕に自信があるんだろうか。
俺達7人は料理が出来るまで葡萄酒で喉を潤し、これからについて話あった。

「リンとユリアなんだが、元々居た所に帰っても辛い記憶しか無いと思うんだ。それなら新しい土地でイチからやり直した方がいいと思うのだけどどうかな?」

リンとユリアは顔を見合わせて頷く。

「私達は何処でも生活が出来れば構いません。拘りなんてありませんから。」

「そうか。じゃあ、2人の得意な事は何だ?」

「そうですね、しいて言えば料理でしょうか。」

「料理か。分かった。それを仕事にしよう。」

料理と言ってもな・・・・普通の料理だとこの街じゃ売れないだろうな。何かインパクトがある物じゃ無いとなぁ・・・
何か無いかと考えていると俺達の料理が運ばれて来た。

「お待ちどう様!腹に溜まると言ったら肉だろ?いいボアの肉が入ったから食べて頂戴。」

旨そうなボアの肉が薄切りのステーキ風に焼かれていた。

「それじゃ、頂こうか!」

頂きます!

皆が一斉に肉にかぶりつく。一瞬で肉が無くなった。

「女将さーん!すまない!もっと食べ物を出してくれないか?ウチの娘達がまだ足りないと言ってるから。」

「はいよー!もうちょっと待ってな。もうすぐ出来るからね。」

それから女将さんの出す旨い料理に舌鼓を打ちながら、皆腹一杯食べまくった。

腹が満たされた俺達は、部屋に戻って休む事にした。風呂に入って一息ついた時に部屋に訪問者があった。

コンコン

「入って来いよ。」

俺はレイラ達だと思っていた為普通に対応したが、入って来た人物は知らない人だった。

「ユーノスケ殿、探しましたぞ!この様な宿屋に泊まって折られるとは思わず、挨拶が遅れました!私はこの街の領主をして折ります、ロイエンターと申します。」

ええ・・・・偉いさんがまた来たな・・・

「はあ、ユーノスケです。あのー、どの様なご用件ですか?」

「何でもユーノスケ殿は盗賊に襲われたとか。我が領地でお恥ずかしい事です。その件につきましてお話を聞きに参りました。」

「ああ、その事なら門番に話をしておきましたよ。」

「はい。兵にはすぐに向かわせました。細かい事をお聞きしたくて参りました次第です。」

「はあ・・・そうですか・・・あの時は俺達が休憩で馬車を止めていたんですが、男が村が襲われているから助けてくれと来たんですよ。それで村に助けに行ったのですが、村に行った時には既に村は壊滅していて盗賊達が襲って来たんですよ。呼びに来た男も盗賊だったって事です。狙いは俺達の馬車だったみたいです。」

「・・・・誠に申し訳ありません。そんな事が・・・そ、それで馬車の方はご無事で?」

「ええ、俺の連れのドラゴンが簡単にやっつけました。挽き肉になった死体が道端にある筈ですよ。」

「・・・・・・・そ、そうですか。それでユーノスケ殿を襲った盗賊は・・・・」

「あー、手足を切って逃げられない様にして縛り上げてありますよ。1人女が居ますが盗賊の仲間です。」

「わ、わかりました。ご協力感謝します。この領地に居る間は必ずお守りしますのでご安心を。」

「はあ、そんな事より盗賊から助けた娘が2人居るんですが、この街の住人にして貰えませんか?」

「なんと!助けた者が居ると?勿論です!住人にしますとも!」

「それは助かります。宜しくお願いします。」

これでもう問題はあの2人の仕事だけだな。
その後、リンとユリアをロイエンターさんに紹介して住人の手続きを頼む事にした。









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