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第八十四話 帝国へ

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 ちょっと悲しいクロちゃんとのお別れをして今俺達はラインハルト帝国の側まで来ている。
俺達が2週間程滞在したあの町から1日の距離だから本当にすぐ側なのだ。

「皆聞いてくれ。これからラインハルト帝国に入る。しかし気を付けてくれ。町を襲ったヤツラが居る国だ。王命なのか、領主の独断なのかは分からないが、危険には違いない。常に危険と隣り合わせに居る事を忘れるなよ。」

「「「はい!」」」

急いで行けば城門が開いてる時間に到着するだろうが、今日は夜営をする事にした。まだユニコーンが慣れてないからだ。あー・・・ゼウスだっけ?

「ゼウスお疲れさん。これを食って疲れを癒してくれ。」

ゼウスにニンジンを差し出した。何だか解らないがビビりながらニンジンを食べた。

俺達も晩飯を作り食べる事にした。食料ももう残り少ないから野菜の切れ端とかだけどな。スープに入れればそれなりに旨くなるし、量も増える。
満足出来る食べ物になるもんだ。

ゼウスは心配だったが放して自由にさせた。今までずっと自由に生きてきたものを、繋ぎっぱなしにしたら嫌になるだろう。逆に逃げ出すかも知れないからな。

朝ゼウスは馬車の横で大人しく待っていた。

「お前偉いな。ちゃんと待っててくれたんだな。」

ブヒヒン! と返事をした。何か、俺様が待っててやったんだ。感謝しろ。みたいな感じを受ける。ちょっとムカつくが流しておこう。

「ご主人様、いよいよですね。」

「ああ、覚悟して行こう。」

ゼウスを馬車に繋ぎラインハルト帝国へ向けて出発した。

1時間程で城門が見えて来た。コッチの国からはあまり帝国には行かない様で城門には門番以外は誰も居なかった。

「止まれ!帝国に何用だ。」

用が無きゃ入れないのか?

「特に用は無いが、俺達はこの大陸を冒険者をしながら回っているだけだ。」

「怪しいな・・・・それに何だこの馬は!冒険者風情がこんな良い馬を持てる筈が無い何処から盗んだ!」

ああー、何でも良いから難癖付けたいのね。

「で、通れるのか、通れないのかどっちだ?」

「な、な、何を!不敬なヤツ!取り調べてやる!此方に来い!」

「俺は構わんが、お前の仕事が無くなるぞ。陛下に報告させて貰う。難癖を付けて賄賂を取ろうする兵が居ると。」

「!?へ、陛下だと?な、何を言っている!お前は外から来たでは無いか!」

「そうだが?陛下の命令で諸国の動向を見て来たんだが問題があるのか?」

「・・・・・本当なのか?」

「 この陛下からお借りした馬を見て物を言え。」

「ヒッ、し、失礼しました!どうぞお通り下さい!」

勿論ハッタリである。バカを相手にするには一番上の上司を出せば大体黙るからな。
こうして何とか城門を突破出来た。あのバカ兵士はまだ敬礼している。ハハハッ気分がいいな。

「ご主人様・・・勿論ウソですよね?」

「ハッハッハッ!当たり前だ。あのバカを相手にしたく無かっただけだよ。」

「ユーノスケ様やるー♪」

「あの盗賊から奪った宝石付きの鎧を着て置けば良かったですね。そうしたらすぐに通れましたよ?」

「アハハハ、そうかも知れないな。ゼウス、お前の立派な体が役に立ったぞ。」

ゼウスも誇らしそうだ。顔上げて尻尾をブンブン振っている。

俺達はまだ街中に入った訳では無い。ここから帝国ですよって言う門を通ったに過ぎない。ここから何処に向かうかだな。食料はもう無いから近場の街に行くしか無いが、なんか危なそうだな。

帝国の地図なんて無いから道なりに進んでいく。
また1時間くらい進んだ所で城門が見えて来た。

「皆、ここが正念場だぞ。また難癖付けられたら今度は銀貨を握らせろ。俺達にはもう食料が無い。あの街で調達しなければ暫く飯が食べれないぞ。特に御者のレイラは相手を怒らせるなよ。」

「「「はい!」」」

5分後に城門に着いた。
こっち側からは殆ど人が来ないのだろう。兵士が地べたに座って居たが、俺達を見て慌てて立ち上がった。

「と、止まれ!通行証を見せろ。」

俺達は冒険者の証明書を見せた。

「冒険者か・・・・おい、女、ちょっと相手をしろよ。うへへへ~」

あー、そっちかぁ・・・どうするかな・・?
あっ、ダメだ・・・レイラがキレた・・・・

「相手をしろだと!無礼者!帝国の兵士はこんなゲスばかりなのか!」

仕方無い、さっきと同じやり方で行くか。

「お前の名前と所属、上司の貴族の名前を述べよ。」

「な、なにぃ?何でお前に言わなくちゃならんのだ!」

「お前は頭が弱いのか?一介の冒険者がこんな立派な馬と馬車に乗ってる筈が無かろう。この事は陛下に報告させて貰う。」

「へっ、へっ、陛下!?・・・す、すると貴方様は・・・」

「私は陛下の密命を受けて諸国の動向を見て来た者だ。訳あって名を明かせぬが陛下の側近とだけ言っておこう。」

「ッ!おっ、お許しをーーー!」

おお、早いな、DO・GE・ZAが。

「兵士の失態はそこの貴族の失態も同じ。ここを治めている貴族は誰だ?」

「へへー、トリューニヒト様で御座います!」

簡単にゲロしやがったな。

「トリューニヒトが隣国の街や村を襲っているのだな?」

「はいっ!その通りで御座います!」

流れで飛んでも無い事をゲロしたぞ?

「間違い無いな?」

「ははっ!間違い御座いません!」

「お前の名前は何と言う?」

「はっ!わ、私はジルバと言います!」

「 ふむ、門番のジルバか。覚えておこう。大儀であった。」

「ははっ!」


「ユーノスケ様カッコ良かったよ!」
「本物の貴族みたいでした!」
「すみません・・・ついキレてしまいました・・・」

「まあ、仕方無いさ。でもこの街が危ない事は分かったから、買い物してすぐ移動するぞ!」

「はい!」

道行く人に食料を売ってる場所を聞いた。コッチでも市場で野菜は売ってるみたいだ。

「レイラは馬車を見ていてくれ。ハルカとシャロンは野菜を買ってきてくれ。俺は肉を買いに行く。」

「「「はい!」」」

そこからは皆早かった。ハルカとシャロンはリュックが一杯になるとレイラに渡して中身を出して貰い、また買い物に向かう。俺も肉屋で生肉と干し肉を買ってすぐに馬車に戻った。

「買い物は終わったか?」

「調味料はどうしますか?」

「塩が沢山あるからまだいい。野菜はどうだ?」

「1週間は持つだけ買いました!」

「よし!出発するぞ!」

街から出るのは簡単に行くだろう。
俺達は脱出する為に来た方角と反対の門に向かった。



★★★

明日19日(日)数話投稿しようと思います。
良かったら見てみて下さい。
o(^-^o)(o^-^)o




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