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第四十八話 閉じ込められた

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 俺達は今フェルメールの街の城門に並んでいる。
どこから湧いて出たのか沢山の人々が並んでいる。

「この街の検問は厳しそうだな。」

「そうですね・・・なにかあったんですかね?」

事件なのか、単なる警戒なのか分からないが、今の内にクロちゃんのメンコをサッと作ってしまおう。
勿体無いが俺のローブを切って、角と目の位置に丸く穴を開ける。耳は出したまま顎下と後頭部で紐で結ぶ物を10分で作った。クロちゃんは邪魔そうにしているが、我慢してもらおう。

「ご主人様器用ですね。中々の出来映えだと思いますよ。」

「クロちゃん似合うよ!モスグリーンのマスクと馬体の黒がバッチリよ!」

20分たった所で俺達の順番になった。

「通行証か、身分証をだせ。」

俺達は冒険者の登録証を出した。

「冒険者か。何しに来た?目的は?」

「大きな街と聞きましたので、この街で仕事が出来ればと参りました。」

「ふん、時期が悪かったな。仕事は無いぞ。帰った方がいい。」

「えっ?どういう事ですか?街には入れないんですか?」

「中には入れてやる。問題を起こすなよ。」

俺達は態度の悪い検問官に通行税を払ってフェルメールの街に入った。

「何ですかね?あの態度は!冒険者とわかるや帰れって。」

「そんなに怒るなよ。あんなヤツどこにでも居るよ。」

「それよも時期が悪いと言ってました。何かあったんですかね。」

「その辺はギルドにに聞けば分かるだろ。宿屋を見つけてからギルドに行ってみよう。」

馬車が泊まれる宿屋はどこも一杯だった。唯一西の端にある宿屋に空きがあったのでそこにクロちゃんと馬車を預けてギルドに向かった。

ギルドに着いたが誰も居ない。どうしたんだろ?

「こんちわー!誰かいませんかー?」

デカイ声で呼んでみた。

「なんだ?うるせーな!」

奥の部屋からギルドマスターだろうか、1人のオッサンが出て来た。

「あ、すんません。今日この街に来た者ですが、仕事がないか聞きに来ました。」

「あー?仕事だと?アッハッハッ、残念だったな。無いわ。」

「それはどう言う・・・」

「今日来たんだったな?知らなくて当たり前か。ここのバカ領主が反乱企てたんだよ。」

「は、反乱だと?」

「そうだ。ドラゴン騒ぎに乗じてここら辺一帯を独立国家にするんだと。」

「はぁ、周りの村、町の賛同は取れてるんですかね?」

「さぁな?この街から出れねぇからな。」

「出られない?どういう事ですか?」

「この街に入ったはいいが、出して貰えないってこった。」

「ナゼ?」

「兵を集めてやがるのよ!冒険者も仕事が欲しければ兵隊になれってね。」

「それはいつからそうなったんですか?」

「んー、3、4日前かな。」

やられた!あの門番『中には入れてやる。問題を起こすなよ。』とか言ってたしな。出さないぞって暗に言ってたんだ!マズイぞ!

「それで冒険者はどうしたんですか?」

「ランクの低い奴らは蓄えなんて無いからな。兵になるしかあるめぇよ。金を持ってる奴らは動向を見守ってるんじゃないか?」

「・・・・そうですか。この街から出る方法とかあったりします?」

「あったらここで腐ってないわ!」

ですよね~。あーどうすっかな?宿屋に戻って作戦会議だな。

「また来ます。ありがとうございました。」

「おう!いつでも来い。暇だからな。」



宿屋に戻り、レイラとハルカとどうするか話あう。

「不味いな・・・戦争の片棒担がされそうたな。」

「そうですね・・・・しかも負ける方ですからね。」

「だよな。ここの領主本当にバカなんだな。この国の半数以上の領主を味方に付けたなら勝てるだろうけど、単独で戦争ぶち上げても勝てる訳無いたろうに。」

「ドラゴン騒ぎで自領を守る領主が殆どで、戦争に加担しないと考えたんでしょうね。」

「能天気なヤツだ・・・・」

「それよりもどうしましょう?ユーノスケ様。」

「強行突破するにしても城壁の門は固められてるだろうしな・・・」

「数には数で対応しないと、ただ殺られるだけですからねぇ。」

「数か・・・・・・・さっき宿屋を探した時、どの宿屋も一杯だったな?商人も居るだろうが、半分は冒険者関係だと思う。そいつらを巻き込めないだろうか?」

「1宿づつ、1部屋づつ3人で説得して回るのですか?」

「いや、最初はそうだが、説得に応じた者が居ればそいつにも宿を回って貰う。人数が増えればすぐ終わるハズだ。」

「・・・・なるほど!説得内容はどうしましょう?」

「う~ん・・・このままだと必ず戦いに巻き込まれる。その前に脱出したい。訳も分からず死にたく無いヤツは冒険者ギルドに明日の夜集まれ。って感じでどうだ?」

「分かりました。早速行きますか?」

「レイラはこの宿から西全体を頼む。ハルカは東を、俺はギルマスに説明してから南を回る。説得の手伝いをしてくれるヤツが増えたら北に行って貰おう。」

「「了解!」」




「ギルマスいますかー?」

「あー?またお前か。今度はなんだ!」

「ちょとクーデターを起こそうと思ってね。」

「はあ?クーデターだとぉ?」

「あぁ、今仲間が宿屋に居る冒険者を説得に回ってる。この話に賛同した奴らが明日の夜ギルドに集まる事になっているから宜しく。」

「なにぃ?ここにだと!宜しくって・・・クーデターって何をする気だ?」

「西門を襲って脱出しようかと思っている。東から遠いからな。東方向には王都もあるから間違って俺達が国の衛兵とか、他の領主の兵に殺られる可能性があるからな。脱出は難しいと思ってる。」

「・・・・・・・間違っちゃ無いが・・・・成功するのか?その、死人とか出ないか?」

「死人はでるかもな。このまま傍観者を決め込んでも冒険者は金が尽きるか、徴兵されるだろう。同じ事だ。」

「だから今の内にクーデターを起こしてこの街を脱出すると・・・・」

「そうだ。そうなると人を纏め上げる人間が必要になる。それをギルマスにやって貰いたいんだ。」

「・・・・・・・話は分かった。俺が纏め役をやるかどうかは明日の夜の冒険者達の気持ち次第だ。いいな?」

「それでいい。俺は今から南の宿屋を回って来る。また明日な。」

ギルマスとの話を終えて南の宿屋をまわった。3つの宿屋があり、説得に応じてくれた冒険者は1組を除いて全員だった。良かった・・・・・

それから俺達は北を回ったが既に殆どが説得済みだった。皆同じ気持ちだったんだな。
晩飯前には全てを終えて宿に戻った。レイラとハルカは先に戻っていてくつろいでいた。

「2人共お疲れ。どうだった?」

「ご主人様お疲れ様てす。西は全員賛同してくれました!」

「ユーノスケ様すみません・・・東は4組反対者が居ました・・・」

「いいんだよハルカ。考えは人それぞれだ。それに明日になったら気持ちが変わってるかも知れないだろ?」

「はい。」

「 それよりも明日だ。ギルドで細かい事を全員に伝えられるかだ。失敗は許されないからな。」

俺達は晩飯の後、自分達のやる事を決めた。
ハルカは馬車を担当、俺とレイラは先頭で戦うと決めた。弱い俺が出世したもんだ。先頭で戦うなんてな。ま、相手がゴブリンだと思えば大丈夫だ。
少しドキドキしながら眠りについた。




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