不天退帰

七星北斗

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20.何でこうなる。

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 龍造寺を倒してこの戦は、赤雛学園の勝利で幕を閉じた。

「お腹空いた、動けないだドン」

「…」

 こいつレヴィアタンだっけ?どうやらお腹空かしているようだ。

 ポケットをガサゴソ漁り、ラーメンスナックを取り出してレヴィアタンに向ける。

「これやる」

 ぱぁーとはにかむレヴィアタン、まるで小動物のようだ。

「お前、いい奴だな」

「大したことじゃない」

 差し出されたお菓子を手に取り、パリパリと食べる。

「元気出たんだドン」

 ニハハと笑う顔が印象的で、どこか懐かしい気がした。

 福岡に戻ると準備を始めた。俺たちは茨城県に帰るのだ。

 新幹線の改札で高橋に立花、レヴィアタンが見送りにきてくれた。

「行くのか?」

「ああ」

 高橋は頷き、俺は笑う。コイツとの挨拶は、これで十分だ。

「次会うときは敵同士よ」

「望むところだ」

 立花との関係は、これでいい。

「小田、またなー」

「おう」

 レヴィアタンは一生懸命手を振る。

「小田様、行きましょう」

「そうだな」

 別れを惜しむように後ろを振り向くと、慌てたような口振りをする二人が。

「間に合った」

 大内と小笠だ。あんな大荷物を持って、どこへ行くのだろう?

「小田さん、私たち話し合ったんです」

「うん」

「私たちは、小田さんを主君と仰ぎ。これからの人生を共にしたいです」

「俺でいいのか?」

「はい、政略結婚させられるくらいなら、小田さんについていきます」

「政略結婚?」

「大内さんは、島津の次男と婚姻が決まっておりまして」

「なるほど。で、何で小笠もいるんだ?」

「私が大内さんを一人で行かせるわけないじゃないですか」

「それもそうだな」

 こうして人数が増え、座席に座り。向かいの席に視線を向けると、そこには見知った顔があり。

「何でお前がいる」

 歩き巫女、望月吐区その人であった。

「私は、あなた様から愛を感じました」

「…愛?」

「はい、私は小田様に身も心も捧げる所存です」

「ちょっとストップしてもらえますか」

「何でしょう?」

「それは虫が良すぎると思うのですよ」

「わかっております。ですが…この愛を抑えられないのです」

「那須さん、望月さんを許してあげていいんじゃないですか?望月さんも被害者なのですから」

「ですが…」

「ご心配する気持ちもわかりますが」

「私を貴方様の道に加えてほしいです」

 両手で三角を作り、土下座の姿勢を取る望月。それに対して小田は決断を下す。

「頭を上げろ。俺は自分の仲間を土下座させる趣味はない」

 歩き巫女改め、望月吐区はこうして仲間となり、那須の心労は増えることになる。

「ありがとうございます。我が主君」

 ハァー、やっぱりこうなったか。またライバルが増えてしまいました。
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