原初のヒーロー

七星北斗

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抗う者10

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 三日間のサバイバルは、食事や寝床を自分で用意しなければならない。

 今日、僕はまた図書館にきている。理由を話せば、食べられる食材やキャンプの知識を得るためである。

 えっと、このキノコは毒がある。こっちの野草は食べられる。

 だけど、サバイバルをするためには、まずは拠点を作らないとだよね。

 寝る場所だけは絶対に確保しないと、ハンモックみたいなのを作れればいいんだけど。

 しかし…見分けが付かない山の作物は意外と多い。

 さて、どうしたものか?上辺だけの知識でどうにかなるとは思えない。

 富士山周辺の食べられるものってなんだろう?

  んー、スマホのウェブ検索システムのK-グルで検索しても、グルメ情報しか検索結果にでない。

 困り果てた彼方が、図書館でうーんと唸っていたら、突然真横から声をかけられた。

「これは忍者式ブートキャンプを決行するしかないですな」

「うぉっ」

 驚いた彼方は、体がビクッとなり、大きな声を出してしまった。

 何事かと図書館中の視線が、彼方に集まった。

「主君、図書館ではお静かにですよ」

 お前のせいだろと内心彼方は思った。

「失礼しました」

 彼方は失礼を詫びて頭を下げる。

 幸いなことに視線はすぐに離れていった。

「主君、我等は忍びであり、影の存在です」

「うん?そうだね」

「主君が注目を浴びるのは大変喜ばしいのですが、今のように俺達まで目立ってしまっては本末転倒。ご自重をお願いします」

 元はと言えばお前が悪いだろと思いながらも、ここで怒ったら図書館を追い出されるだろう。

 図書館は、僕の数少ない落ち着ける場所なのだ。

「ごめん」

 あれ、僕なんで謝ってるんだろ?

「わかればいいです。素直な人は嫌いじゃありません」

 何でコイツはこんなに偉そうなんだろうか?大声を出した僕にも非はあるだろうが。

 しかし、今は疑問を口にする。

「忍者式ブートキャンプってなに?」

「主君、よくぞ聞いてくれました。忍びの家系に生まれた子供は、まず忍者と認められる前に無人島に放り込まれるのです」

 無人島…聞き間違いかな?テレビとかのバラエティ番組じゃあるまいし。

「つまり、その忍者式ブートキャンプ?を僕がするってこと?」

「流石主君、話が早くて助かります」

「僕はヒーローになりたいのであって、忍者になりたいわけじゃないんだけど?」

「それはモチロンわかっています。しかし、次の実技試験では必ず役に立つことを保証いたします」

 彼方は、影月の目に真剣さを感じて、渋々承諾することにした。

「あー分かったよ。やるよ」

「主殿、承諾ありがとうで御座る」

 図書館の机の隅からピョコンと光莉が顔を出した。

 彼方は、また大きな声を出しそうになったが、なんとか声を抑える。

「主君、それじゃあ行きましょう」

 コイツらほんとマイペースだな。

 否応なしに展開が進んでいく、だけど僕は、この関係が嫌いではなかった。
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