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二章 血塗られた過去
〔番外編〕ライバルの登場!?
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れーずんです!
このお話は、番外編でございます!
が! ここでは今後の展開にとって物凄く重要な仕草が隠されています!
これを見なくても物語は楽しめますが、これを見るとより一層楽しむことが出来ると思うので、ぜひご覧ください!
----------------------------------------
「…………」
「……どうした祐也。いつもみたいにミーシャを愛でなくていいのかよ、こういう風に」
俺に話しかけてきた蓮は、テーブルの上で丸まっているミーシャに手を乗せる。
そうして撫でられているミーシャは、すごく気持ち良さそうに尻尾を大きく振っていた。
「慣れるわけないだろ……」
そう、今俺はミーシャに芹崎さんを重ねていたのだ。
ミーシャと芹崎さんが同一の存在だということが発覚してから一週間ほど経ったが、未だにミーシャに触れることすら出来ていない。
結局のところ、俺は都合のいい部分でしか芹崎さんとミーシャの存在を区別出来ていなかったのだ。
芹崎さんと接するときはミーシャを重ねることはなかった。
でもミーシャと接するときは、その時の状況を全部芹崎さんに知られてしまうんだと思うと、ミーシャに芹崎さんを重ねずにいられなくなる。
我ながら情けない……。
俺が眉をひそめて唸っていると、隣に座っていた蓮が苦笑しながら口を開いた。
「祐也が何を考えているのかは分かんねぇけどよ、ミーシャには今まで通り、普通に接してあげればいいんじゃないのか?」
「それが出来れば苦労はしないんだけどなぁ……」
さっきからついているため息も、いつ終わりを迎えるのか分からないところまできている。
「……ほら、ミーシャを見てみろよ」
言いながらミーシャに移す蓮の視線を追うように、俺はミーシャを視界に入れる。
ミーシャは耳を下に向けていて、どことなく寂しそうな雰囲気が伝わってきた。
「にゃぅ~ん、にゃぅ~ん」
そして、か細い声でCATSの空気を微かに揺らす。
その姿を見た俺は、気が咎める思いを感じていた。
……そうだよな。
芹崎さんとマスターは、これを危惧して俺たちにミーシャと芹崎さんは同一の存在だということを伝えなかったのかもしれない。
知ってしまうことで、俺たちとミーシャや芹崎さんとの間の歪みが生じてしまうから。
本当にそう思っていたからなのかは分からないが、少なくとも関係が変化することは目に見えていただろう。
だったら、俺がやれることは一つと言える。
俺は鼓動の速くなった心臓を押さえて深呼吸すると、自分の身体の方にミーシャを抱き寄せる。
ミーシャは一瞬だけビクッと震えるが、その後は静かに暖かい体温を俺に伝えるだけだった。
「今まで不安にさせててごめんな」
それだけ言って、俺はミーシャの背中を優しく撫でる。
「おい、そこまでやれとは言ってないぞ。せいぜい撫でる程度だろ。なんでミーシャを抱き締めたりなんかするんだよ」
声が聞こえると思って振り向いてみれば、蓮がジト目で愚痴を吐いていた。
俺は蓮の言いたいことを汲み取ると、あえて見せつけるようにミーシャをさらに抱き寄せ、言ってやる。
「なんだ? 嫉妬でもしたか?」
「う、うるせぇ! 俺が猫なんかに嫉妬するわけないだろ!」
「いや、この猫が芹崎さんだという認識があれば話は変わってくるぞ」
「……なんでだよ」
負けを認めたのか、明らかにテンションを下げてつぶやくように言う蓮。
ただ、相手が負けを認めたからって引き下がる俺ではなかった。
「もし蓮が芹崎さんのことが好きなのであれば、ミーシャに嫉妬するのも当然だろ? だって、ミーシャは芹崎さんなのだから」
「でも、生憎と俺は芹崎さんのことが好きではないからな。そもそもとして、嫉妬もしてないし」
「……そうかよ」
蓮の言葉尻に覇気がなくなっていることから、俺の言葉が図星に刺さっているのは明らかだった。
俺は俯いている蓮に視線を向けて薄ら笑う。
蓮が俺の顔をチラチラと覗き見ているが、反抗する気力が残っていないのか突っかかって来ることはなかった。
それにしても、もし今のが本当だとしたら蓮は「ライバル」になるのか。
俺は蓮の様子を気にしながら、蓮と争うのは嫌だなと思ってしまうのだった。
このお話は、番外編でございます!
が! ここでは今後の展開にとって物凄く重要な仕草が隠されています!
これを見なくても物語は楽しめますが、これを見るとより一層楽しむことが出来ると思うので、ぜひご覧ください!
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「…………」
「……どうした祐也。いつもみたいにミーシャを愛でなくていいのかよ、こういう風に」
俺に話しかけてきた蓮は、テーブルの上で丸まっているミーシャに手を乗せる。
そうして撫でられているミーシャは、すごく気持ち良さそうに尻尾を大きく振っていた。
「慣れるわけないだろ……」
そう、今俺はミーシャに芹崎さんを重ねていたのだ。
ミーシャと芹崎さんが同一の存在だということが発覚してから一週間ほど経ったが、未だにミーシャに触れることすら出来ていない。
結局のところ、俺は都合のいい部分でしか芹崎さんとミーシャの存在を区別出来ていなかったのだ。
芹崎さんと接するときはミーシャを重ねることはなかった。
でもミーシャと接するときは、その時の状況を全部芹崎さんに知られてしまうんだと思うと、ミーシャに芹崎さんを重ねずにいられなくなる。
我ながら情けない……。
俺が眉をひそめて唸っていると、隣に座っていた蓮が苦笑しながら口を開いた。
「祐也が何を考えているのかは分かんねぇけどよ、ミーシャには今まで通り、普通に接してあげればいいんじゃないのか?」
「それが出来れば苦労はしないんだけどなぁ……」
さっきからついているため息も、いつ終わりを迎えるのか分からないところまできている。
「……ほら、ミーシャを見てみろよ」
言いながらミーシャに移す蓮の視線を追うように、俺はミーシャを視界に入れる。
ミーシャは耳を下に向けていて、どことなく寂しそうな雰囲気が伝わってきた。
「にゃぅ~ん、にゃぅ~ん」
そして、か細い声でCATSの空気を微かに揺らす。
その姿を見た俺は、気が咎める思いを感じていた。
……そうだよな。
芹崎さんとマスターは、これを危惧して俺たちにミーシャと芹崎さんは同一の存在だということを伝えなかったのかもしれない。
知ってしまうことで、俺たちとミーシャや芹崎さんとの間の歪みが生じてしまうから。
本当にそう思っていたからなのかは分からないが、少なくとも関係が変化することは目に見えていただろう。
だったら、俺がやれることは一つと言える。
俺は鼓動の速くなった心臓を押さえて深呼吸すると、自分の身体の方にミーシャを抱き寄せる。
ミーシャは一瞬だけビクッと震えるが、その後は静かに暖かい体温を俺に伝えるだけだった。
「今まで不安にさせててごめんな」
それだけ言って、俺はミーシャの背中を優しく撫でる。
「おい、そこまでやれとは言ってないぞ。せいぜい撫でる程度だろ。なんでミーシャを抱き締めたりなんかするんだよ」
声が聞こえると思って振り向いてみれば、蓮がジト目で愚痴を吐いていた。
俺は蓮の言いたいことを汲み取ると、あえて見せつけるようにミーシャをさらに抱き寄せ、言ってやる。
「なんだ? 嫉妬でもしたか?」
「う、うるせぇ! 俺が猫なんかに嫉妬するわけないだろ!」
「いや、この猫が芹崎さんだという認識があれば話は変わってくるぞ」
「……なんでだよ」
負けを認めたのか、明らかにテンションを下げてつぶやくように言う蓮。
ただ、相手が負けを認めたからって引き下がる俺ではなかった。
「もし蓮が芹崎さんのことが好きなのであれば、ミーシャに嫉妬するのも当然だろ? だって、ミーシャは芹崎さんなのだから」
「でも、生憎と俺は芹崎さんのことが好きではないからな。そもそもとして、嫉妬もしてないし」
「……そうかよ」
蓮の言葉尻に覇気がなくなっていることから、俺の言葉が図星に刺さっているのは明らかだった。
俺は俯いている蓮に視線を向けて薄ら笑う。
蓮が俺の顔をチラチラと覗き見ているが、反抗する気力が残っていないのか突っかかって来ることはなかった。
それにしても、もし今のが本当だとしたら蓮は「ライバル」になるのか。
俺は蓮の様子を気にしながら、蓮と争うのは嫌だなと思ってしまうのだった。
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