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5章 第4部 幽霊少女のウワサ
220話 荒野のドライブ
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先ほどまでサンサンと輝いていた太陽であったが、徐々に沈み始めていた。そのため夕焼けのオレンジの光が荒野の乾いた大地を照らしており、どこか物寂しい雰囲気を出している。そんな荒れ果てた道を、四輪型の軽装甲車が一台ひた走っており。
あれからマナの特定はうまくいかず、実際に荒野に向かって調査することに。そして今は手がかりになりうるかもしれない、幽霊の少女の目撃場所を回りながら荒野を調査しているところという。
運転席には花火。助手席にはゆきと、彼女の膝の上にマナの操る白ネコのガーディアン。後部座席の方にレイジがいる状態である。
「うーん、風がきもちいですぅ!」
「ほんとだなぁ! 荒野の探索って聞いて一時はどうなることかと思ったけど、これならそう不満はないねぇ!」
ゆきとマナは窓から顔をだし、風に当たりながらはしゃいでいた。
「きゃはは、さすがにこの荒野を足を使って調査するのは、骨が折れるっしょ! こういうときこそ乗り物の出番ってね!」
運転している花火が豪快に笑う。
本来なら足を使って荒野を調査する手筈になっていた。すると案の定ゆきが荒野を歩き回るのがイヤだと駄々をこね、それを見かねた花火が車両で探索しようと提案したのである。ただ車両は便利だが、どうしても目立つため敵に襲われるリスクが。しかしあまり当てもなく、幽霊の目撃情報の場所もあちこち離れていたため、体力温存のためにも車両を使う流れになったのであった。
「だが花火、便利ではあるが目立つぞ、この移動方法」
「安心しなって! そのためにウチ手ずからカスタマイズしまくった、自慢の軽装甲車! 馬力、速度はもちろん耐久力も上げまくってるから、ちょっとやそっとの攻撃じゃビクともしないってね!」
得意げにウィンクしてくる花火。
実際この車両は、軍で使われているようなごつい軽装甲車。しかもクリフォトエリアやアビスエリアでは、速度や馬力などの性能が大幅に下げられているのにもかかわらず、かなりのスペックを見せているのだ。さすがはSSランクの電子の導き手がカスタマイズした作品といえよう。これなら多少襲われても、振り切れるはずだ。
「そうだぁ、そうだぁ、見つかったらくおんが片づければいい話だもん。車両内ならくつろぎながら、改ざんで調べられるんだぞぉ! それともゆきを、この地獄のような荒野で歩かせる気なのかぁ!」
ゆきはレイジの方に指を突き付け、問いただしてくる。
「あー、わかった、わかった。このまま花火の運転にまかせるよ」
「きゃはは、ウチのドライブテクに任せておけば、万事オッケーってね!」
「いいぞぉ! はなび! このままかっ飛ばせぇ!」
「ほい、キタ!」
はしゃぐゆきの合図に、花火はアクセルを全開に。
「それでそろそろ幽霊の目撃地点だろ? なにか異変とかないのか?」
「とくになにもぉ」
「うちのもなにも引っかからないねー」
「マナのほうもだめですぅ」
三人ともさっきからワイワイやってる中でも、改ざんで調査してくれていたのだ。
一応ここは幽霊の少女の目撃情報地点の近く。なにか手がかりがあると期待したが、ダメだったみたいだ。
「オレたちの前にも姿を現してくれたら、いいんだけどな」
「まっ、そこはしかたないっしょ。幽霊なんだから、むしろ日が落ちてからが本番じゃん! そうだ、せっかくだし夜になったら肝試しでもどう?」
肩をすくめていると、花火がテンションアゲアゲで提案してくる。
「き、きもだめし!? そ、そんな子供っぽいこと、やってられるかぁ!」
するとゆきが両腕を上げ、なにやら過剰な反応を。
「いいじゃん、いいじゃん、絶対盛り上がるって! なんならうちがおどかし役をやるからさー!」
「だれがやるかぁー! それで空気を読んで、もし本物が来たらどうするきだぁ!?」
両腕をブンブン振りながら、必死にうったえるゆき。
「いいねー! その時は記念撮影でもして、SNSにあげよう! バズるよきっと!きゃはは!」
しかし花火はケラケラ笑うだけ。逆にヤル気になってしまっていた。
そんなふうに二人が盛り上がっている中、突然異変が。
「え? ゆきねえさま!? なにかがこちらに猛スピードで近づいていますぅ!」
マナがなにかに気づき、あわてて報告を。
「なんだってぇ!? ほんとだぁ! 後方からくる!」
「もしかして例の幽霊の女の子か?」
「ううん、どうやら幽霊ではなさそうだね。それにしてもでかい? 相手も車両か? 久遠、なにか見える?」
「待ってろ、なっ!? あれは!?」
車内の窓から首を出し後方を確認する。するとそこから見えたものは。
あれからマナの特定はうまくいかず、実際に荒野に向かって調査することに。そして今は手がかりになりうるかもしれない、幽霊の少女の目撃場所を回りながら荒野を調査しているところという。
運転席には花火。助手席にはゆきと、彼女の膝の上にマナの操る白ネコのガーディアン。後部座席の方にレイジがいる状態である。
「うーん、風がきもちいですぅ!」
「ほんとだなぁ! 荒野の探索って聞いて一時はどうなることかと思ったけど、これならそう不満はないねぇ!」
ゆきとマナは窓から顔をだし、風に当たりながらはしゃいでいた。
「きゃはは、さすがにこの荒野を足を使って調査するのは、骨が折れるっしょ! こういうときこそ乗り物の出番ってね!」
運転している花火が豪快に笑う。
本来なら足を使って荒野を調査する手筈になっていた。すると案の定ゆきが荒野を歩き回るのがイヤだと駄々をこね、それを見かねた花火が車両で探索しようと提案したのである。ただ車両は便利だが、どうしても目立つため敵に襲われるリスクが。しかしあまり当てもなく、幽霊の目撃情報の場所もあちこち離れていたため、体力温存のためにも車両を使う流れになったのであった。
「だが花火、便利ではあるが目立つぞ、この移動方法」
「安心しなって! そのためにウチ手ずからカスタマイズしまくった、自慢の軽装甲車! 馬力、速度はもちろん耐久力も上げまくってるから、ちょっとやそっとの攻撃じゃビクともしないってね!」
得意げにウィンクしてくる花火。
実際この車両は、軍で使われているようなごつい軽装甲車。しかもクリフォトエリアやアビスエリアでは、速度や馬力などの性能が大幅に下げられているのにもかかわらず、かなりのスペックを見せているのだ。さすがはSSランクの電子の導き手がカスタマイズした作品といえよう。これなら多少襲われても、振り切れるはずだ。
「そうだぁ、そうだぁ、見つかったらくおんが片づければいい話だもん。車両内ならくつろぎながら、改ざんで調べられるんだぞぉ! それともゆきを、この地獄のような荒野で歩かせる気なのかぁ!」
ゆきはレイジの方に指を突き付け、問いただしてくる。
「あー、わかった、わかった。このまま花火の運転にまかせるよ」
「きゃはは、ウチのドライブテクに任せておけば、万事オッケーってね!」
「いいぞぉ! はなび! このままかっ飛ばせぇ!」
「ほい、キタ!」
はしゃぐゆきの合図に、花火はアクセルを全開に。
「それでそろそろ幽霊の目撃地点だろ? なにか異変とかないのか?」
「とくになにもぉ」
「うちのもなにも引っかからないねー」
「マナのほうもだめですぅ」
三人ともさっきからワイワイやってる中でも、改ざんで調査してくれていたのだ。
一応ここは幽霊の少女の目撃情報地点の近く。なにか手がかりがあると期待したが、ダメだったみたいだ。
「オレたちの前にも姿を現してくれたら、いいんだけどな」
「まっ、そこはしかたないっしょ。幽霊なんだから、むしろ日が落ちてからが本番じゃん! そうだ、せっかくだし夜になったら肝試しでもどう?」
肩をすくめていると、花火がテンションアゲアゲで提案してくる。
「き、きもだめし!? そ、そんな子供っぽいこと、やってられるかぁ!」
するとゆきが両腕を上げ、なにやら過剰な反応を。
「いいじゃん、いいじゃん、絶対盛り上がるって! なんならうちがおどかし役をやるからさー!」
「だれがやるかぁー! それで空気を読んで、もし本物が来たらどうするきだぁ!?」
両腕をブンブン振りながら、必死にうったえるゆき。
「いいねー! その時は記念撮影でもして、SNSにあげよう! バズるよきっと!きゃはは!」
しかし花火はケラケラ笑うだけ。逆にヤル気になってしまっていた。
そんなふうに二人が盛り上がっている中、突然異変が。
「え? ゆきねえさま!? なにかがこちらに猛スピードで近づいていますぅ!」
マナがなにかに気づき、あわてて報告を。
「なんだってぇ!? ほんとだぁ! 後方からくる!」
「もしかして例の幽霊の女の子か?」
「ううん、どうやら幽霊ではなさそうだね。それにしてもでかい? 相手も車両か? 久遠、なにか見える?」
「待ってろ、なっ!? あれは!?」
車内の窓から首を出し後方を確認する。するとそこから見えたものは。
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