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1章 第1部 エデン協会アイギス
15話 パートナーの正体?
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「なあ、那由多はいったい何者なんだ? 元狩猟兵団でも元エデン協会でもないだろ?」
レイジがずっと疑問に思っていたことを問いかける。
実のところ那由他の過去をまったく知らないのだ。その身に付けている様々な技能からして、ただ者ではないはずなのだが。
その手掛かりは昔アイギスを始めてすぐに、彼女を求めて依頼が殺到したということ。なんでもかなり有名人らしく、誰もが那由他の力を借りに来たのだ。しかも依頼人の誰もが、企業や軍、政府の重役だというから驚きであった。
「あはは! そんなのいつも言ってるでしょ! わたしはただの美少女エージェント、柊那由他ちゃん! これがわたしのすべてです!」
レイジの問いに、那由他は腰に両手を当て、むふんと得意げに笑ってくる。
その様子は完全にいつもの調子であり、一切動揺していない。どうやらぼろの一つも出そうにないみたいだ。
「――もっと具体的にだな……」
「レイジ! 女の子の過去を詮索するのはマナー違反ですよ! まあ、美少女すぎる那由他ちゃんが気になって仕方ない気持ちは、わかりますけどねー!」
那由他は人差し指を立てながら、楽しそうに忠告してきた。
そんな言い方をされると、レイジとしてもこれ以上追求することができなくなってしまう。
「――はぁ……、教える気はないんだな?」
「はい、でもわたしとレイジの関係はなに一つ変わりません! なんたってわたしたちはお互いを支え合い、苦難を共に乗り越えるパートナーなんですから!」
レイジに手を差し出し、満面の笑顔を向けてくる那由他。
「――パートナーね……。でも背中を預ける相手の正体がわからないのは、どうかと思うんだが?」
「そのことならご安心を! わたしは決して裏切りません! もしレイジが信じられなくても、わたしだけはずっとあなたのことを信じ続けます! たとえレイジがどんな結末を選んだとしても、どこまでもついて行って、そばにいてあげますよ!」
那由他は胸にそっと手を当て、陽だまりのような笑顔で自身の想いを告白してくれる。そこにはいつものふざけた感じはなく、慈愛にあふれていた。
その言葉がなにをさしているのか理解できなかったが、レイジのことを想ってくれていることだけは確かなので思わず頭をかきながらテレてしまう。
「な、なにを言いたいのかよくわからないんだが……」
「あはは! いづれわかりますよ! 那由他ちゃんの魅力にメロメロになって、わたしぬきでは生きられなくなるんですからね!」
那由他はかわいらしくウィンクして、自信満々に宣言を。
「ははは、ありえない話だな」
「ふっふっふっ! そんな風に余裕ぶっていられるのも、今のうち! もうレイジの運命はわたしと結ばれることになると、決定されてるんです! そう、なんたってこの先、那由他ちゃんルート一直線なんですからねー!」
「なにが那由他ちゃんルートだ。そんな後々苦労しまくりそうなルート、誰が選ぶかよ。――だけどとりあえずこの件はいいか。悔しいが那由他のことはいろいろと信頼してるしな……」
そう、不思議と那由他のことは心から信頼しているといっていいのだ。それは始めて出会ったあの時からずっと変わらず。柊那由他という少女には、久遠レイジにとってなにか大切なつながりがあるような気がしてやまない。それは決して不快ではなく、心地よいなにかが。それはまるでレイジの戦友である、アリス・レイゼンベルトのように。
「おやおやー、いつも口では散々なことを言っておいて、本当は認めてくれてるんですかー? レイジは素直じゃありませんねー」
ほおに指を当て、ニヤニヤしながら意地の悪い視線を向けてくる那由他。
「う、うるさいな! さっさと仕事してろ!」
「あはは! 話をそらそうとしても……。――おや、いいところなのに電話がきました。少しだけお待ちを。――どうかしましたか。ふむ、そういうことですか。わかりました。すぐそちらに向かうので、待っててください」
どうやら那由他宛に着信がきたようだ。いつものようにテキパキと受け答えするところをみると、仕事の依頼らしい。
「仕事の依頼か?」
「はい、レーシスが軍に来てくれと」
「はぁ……、レーシスがらみってことはいつものだよな。あいつの依頼は毎回厄介なものばっかだから、正直気が重いよ……」
アイギスには様々な依頼がくるが、その中でもある人物が持ってくる依頼は極めて大変なものばかりといっていい。おそらくまた政府や軍関係の厄介(やっかい)ごとを、アイギスに押し付けてくるつもりなのだろう。
「ほらほらー、文句言ってないでさっさと行きましょう! レイジ!」
「へいへい、じゃあ、あいつの顔を拝みにいくとしますか」
こうしてレイジたちは事務所を後にし、指定された場所へと向かうのであった。
レイジがずっと疑問に思っていたことを問いかける。
実のところ那由他の過去をまったく知らないのだ。その身に付けている様々な技能からして、ただ者ではないはずなのだが。
その手掛かりは昔アイギスを始めてすぐに、彼女を求めて依頼が殺到したということ。なんでもかなり有名人らしく、誰もが那由他の力を借りに来たのだ。しかも依頼人の誰もが、企業や軍、政府の重役だというから驚きであった。
「あはは! そんなのいつも言ってるでしょ! わたしはただの美少女エージェント、柊那由他ちゃん! これがわたしのすべてです!」
レイジの問いに、那由他は腰に両手を当て、むふんと得意げに笑ってくる。
その様子は完全にいつもの調子であり、一切動揺していない。どうやらぼろの一つも出そうにないみたいだ。
「――もっと具体的にだな……」
「レイジ! 女の子の過去を詮索するのはマナー違反ですよ! まあ、美少女すぎる那由他ちゃんが気になって仕方ない気持ちは、わかりますけどねー!」
那由他は人差し指を立てながら、楽しそうに忠告してきた。
そんな言い方をされると、レイジとしてもこれ以上追求することができなくなってしまう。
「――はぁ……、教える気はないんだな?」
「はい、でもわたしとレイジの関係はなに一つ変わりません! なんたってわたしたちはお互いを支え合い、苦難を共に乗り越えるパートナーなんですから!」
レイジに手を差し出し、満面の笑顔を向けてくる那由他。
「――パートナーね……。でも背中を預ける相手の正体がわからないのは、どうかと思うんだが?」
「そのことならご安心を! わたしは決して裏切りません! もしレイジが信じられなくても、わたしだけはずっとあなたのことを信じ続けます! たとえレイジがどんな結末を選んだとしても、どこまでもついて行って、そばにいてあげますよ!」
那由他は胸にそっと手を当て、陽だまりのような笑顔で自身の想いを告白してくれる。そこにはいつものふざけた感じはなく、慈愛にあふれていた。
その言葉がなにをさしているのか理解できなかったが、レイジのことを想ってくれていることだけは確かなので思わず頭をかきながらテレてしまう。
「な、なにを言いたいのかよくわからないんだが……」
「あはは! いづれわかりますよ! 那由他ちゃんの魅力にメロメロになって、わたしぬきでは生きられなくなるんですからね!」
那由他はかわいらしくウィンクして、自信満々に宣言を。
「ははは、ありえない話だな」
「ふっふっふっ! そんな風に余裕ぶっていられるのも、今のうち! もうレイジの運命はわたしと結ばれることになると、決定されてるんです! そう、なんたってこの先、那由他ちゃんルート一直線なんですからねー!」
「なにが那由他ちゃんルートだ。そんな後々苦労しまくりそうなルート、誰が選ぶかよ。――だけどとりあえずこの件はいいか。悔しいが那由他のことはいろいろと信頼してるしな……」
そう、不思議と那由他のことは心から信頼しているといっていいのだ。それは始めて出会ったあの時からずっと変わらず。柊那由他という少女には、久遠レイジにとってなにか大切なつながりがあるような気がしてやまない。それは決して不快ではなく、心地よいなにかが。それはまるでレイジの戦友である、アリス・レイゼンベルトのように。
「おやおやー、いつも口では散々なことを言っておいて、本当は認めてくれてるんですかー? レイジは素直じゃありませんねー」
ほおに指を当て、ニヤニヤしながら意地の悪い視線を向けてくる那由他。
「う、うるさいな! さっさと仕事してろ!」
「あはは! 話をそらそうとしても……。――おや、いいところなのに電話がきました。少しだけお待ちを。――どうかしましたか。ふむ、そういうことですか。わかりました。すぐそちらに向かうので、待っててください」
どうやら那由他宛に着信がきたようだ。いつものようにテキパキと受け答えするところをみると、仕事の依頼らしい。
「仕事の依頼か?」
「はい、レーシスが軍に来てくれと」
「はぁ……、レーシスがらみってことはいつものだよな。あいつの依頼は毎回厄介なものばっかだから、正直気が重いよ……」
アイギスには様々な依頼がくるが、その中でもある人物が持ってくる依頼は極めて大変なものばかりといっていい。おそらくまた政府や軍関係の厄介(やっかい)ごとを、アイギスに押し付けてくるつもりなのだろう。
「ほらほらー、文句言ってないでさっさと行きましょう! レイジ!」
「へいへい、じゃあ、あいつの顔を拝みにいくとしますか」
こうしてレイジたちは事務所を後にし、指定された場所へと向かうのであった。
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