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3章2部 謎の商人との出会い
アリシア襲来
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アルスタリアの冒険者ギルドに慌ただしく入ってきたアリシアは、フローラを見るやすぐさまシンヤたちの方へとやってきた。
「――あぁ……、フローラさま♪ いつみてもお美しい! 気品あふれ凛としているこれぞまさにお姫さまの完成像! なんてまぶしい! どんどん虜にされていく。フローラさまバンザイ! 生まれてきてくれてありがとう!」
アリシアはフローラに羨望のまなざしを向けながら、興奮している。
「――あ、あはは……、アリシアさんお久しぶりです。まさかわざわざ会いに来てくれるなんて」
「あのフローラさまが来ているときに、聖女の業務なんてやってられない! たとえ火の中、水の中でも駆けつける! そして少しでも長くフローラさまとの時間を過ごし、脳裏に焼き付けておかないと!」
アリシアはフローラの手をがっしりつかみ、力説しだす。
これには困惑しっぱなしのフローラ。
「――あ、ありがとうございます……」
「きゃっ、私ったら思わず、フローラさまの手をとっちゃった! 今日一日手は絶対に洗わないでおこう」
そしてアリシアは自身の手を見つめ、にやけだした。
それもつかの間。
「――はっ、よくみたらなにこの空間! アルスタリアの美人姉妹と名高いレティシアさんとサクリさん! 天使のようなかわいらしさのリアさん! 守ってあげたくなるほどのはかなげ美少女なのに、勇者というギャップがたまらないトワさん! そして初めてお目にかかるほんわかロリ巨乳の女の子まで! この子がリースさんが言ってたイオさんか! あぁ……、美少女がいっぱい、ここはまさか天国?」
「リア、この人ってほんとにフォルスティア教会の聖女さまなのか?」
ぐへへとうっとりしているアリシアを見ながら、リアにたずねる。
今の彼女は聖女という言葉からほど遠い、少し危ない人にしか見えなかった。
「えっと、普段は少しあれかもしれませんが、聖女としての仕事をしているときのアリシアさまは、びしっとしていてかっこいいんですよ!」
リアが少し困った笑みを浮かべながらも、必死にフォローを。
「へー、今の姿からは想像もできないな」
「そこ聞こえてるけど!」
「おっと、わるい、わるい」
「そもそもこの美少女だらけの花園に、なにしれっとまざっているのあなた? しかも聞けば彼女たちと一緒に旅をするって? なにそのうらやまけしからんハーレム立ち位置は! こんなかわいい女の子たちを独り占めするなんてゆるせない! 今すぐ代わって!」
アリシアはシンヤに詰め寄り、さぞ忌わしげに抗議してくる。
「いや、代わってっていわれてもな」
「彼女たちのことは私が守らないと。こんなチャラい男に汚された日にはもう……。そうだ。いっそのことここで始末しておけば、――フッ……」
「おいおい、物騒すぎないかこの聖女さま!? 本気の殺意を感じるんだが!?」
「アリシア、美少女のこととなると、相変わらずのとばしっぷりね」
レティシアがやれやれと肩をすくめる。
「美少女は正義! 彼女たちとキャッキャッ、ウフフするのが私の至福の時間!」
対してアリシアは胸を張り、自信満々に宣言を。
その一切の迷いない美少女愛には、思わず感心してしまうほどだ。
「二人は面識があるのか?」
「アリシアはお忍びでよくここに来るのよ」
「フッ、ここに来ればレティシアさんやサクリさんがいること多いし、冒険者の女性陣はみんなかわいかったり、きれいな人が多くてとても目の保養になる。だからここはまさに私の憩いの場」
目をキランと光らせ、不敵な笑みを浮かべるアリシア。
すると受付カウンターで話を聞いていたサクリが、大きなため息をつきながらうんざりした表情をしだした。
「――はぁ……、あたしとかよくおしゃべりに付き合わされるんだから。仕事の邪魔だからって冷たくあしらってもなんか喜ぶだけだし、一応聖女さまで冒険者のお得意様でもあるからさすがに邪険にするわけにもいかなくてさ」
「美少女に冷たくされるのもまたいい、ぐへへ」
「アリシア、あまり本性を表してると、フローラに引かれるよ」
気持ち悪い笑みを浮かべるアリシアに対し、レティシアが正論を。
「はっ!? それはマズイ!? ごほん、あらためてトワさん、冒険者のみなさん、クリスタルガーゴイル討伐ごくろうさま。おかげでアルスタリアへの被害を未然に防ぐことができた」
アリシアは急に粛然とした態度になり、ここに来て初めて聖女っぽさをだしてきた。
「今さらもう遅いと思うが」
「――あ、あはは……」
ツッコミを入れるしかないシンヤと、笑ってごまかすフローラ。
「そこ、うるさい! ごほん、教会はあなたたちの活躍に感謝している。これからも邪神の眷属攻略に向けてがんばってほしい。こちらも各国と連携しながら災禍の6大魔獣を討伐した地点を警戒しつつ、邪神の眷属側の動向を探っておく。とはいえ現状ミルゼ教信者があちこちで人々の不安を煽り、絶望にさいなまれるようにしむけてる。だから教会側はそんな彼らのメンタルケアに奔走していて、あまり力になれないかもしれない」
「各国も防衛や治安維持に手一杯で、思うように動けていないわ。だから私たちががんばらないと」
「オレたちが頼みの綱ってわけか。トワ、勇者としてのウデの見せどころだな」
「――う、うん……」
トワの背中をポンとたたき、笑いかけた。
すると彼女は胸元近くで両手をぐっとにぎりしめながら、勇気をふり絞り気合を入れる。
「――と、まあ、マジメな話はこのぐらいにして、今はそれよりもフローラさん!」
「アリシアさん、どうしたのかしら?」
アリシアはフローラの手をとる。
「どこかでお茶してもっと親睦を深めよう! そしてあわよくば、ぐへへ」
「アリシア、よだれでてる」
レティシアは気持ち悪い笑みを浮かべるアリシアへ、ツッコミを。
「はっ、今のなしで! ささ、フローラさま、私がエスコートする! リアさんもぜひ一緒に」
「リアもおじゃましていいんですか?」
「もちろん! 推し二人とティータイムとかなんて至福の時間! いっぱいキャッキャッ、ウフフしよう!」
「アリシアさん、そんな急がなくても!? みんなごめんね。ちょっといってくるわ」
「リアもいってきます!」
そしてアリシアは目を輝かせながら、フローラとリアを引っ張り冒険者ギルドを出ていくのであった。
「――あぁ……、フローラさま♪ いつみてもお美しい! 気品あふれ凛としているこれぞまさにお姫さまの完成像! なんてまぶしい! どんどん虜にされていく。フローラさまバンザイ! 生まれてきてくれてありがとう!」
アリシアはフローラに羨望のまなざしを向けながら、興奮している。
「――あ、あはは……、アリシアさんお久しぶりです。まさかわざわざ会いに来てくれるなんて」
「あのフローラさまが来ているときに、聖女の業務なんてやってられない! たとえ火の中、水の中でも駆けつける! そして少しでも長くフローラさまとの時間を過ごし、脳裏に焼き付けておかないと!」
アリシアはフローラの手をがっしりつかみ、力説しだす。
これには困惑しっぱなしのフローラ。
「――あ、ありがとうございます……」
「きゃっ、私ったら思わず、フローラさまの手をとっちゃった! 今日一日手は絶対に洗わないでおこう」
そしてアリシアは自身の手を見つめ、にやけだした。
それもつかの間。
「――はっ、よくみたらなにこの空間! アルスタリアの美人姉妹と名高いレティシアさんとサクリさん! 天使のようなかわいらしさのリアさん! 守ってあげたくなるほどのはかなげ美少女なのに、勇者というギャップがたまらないトワさん! そして初めてお目にかかるほんわかロリ巨乳の女の子まで! この子がリースさんが言ってたイオさんか! あぁ……、美少女がいっぱい、ここはまさか天国?」
「リア、この人ってほんとにフォルスティア教会の聖女さまなのか?」
ぐへへとうっとりしているアリシアを見ながら、リアにたずねる。
今の彼女は聖女という言葉からほど遠い、少し危ない人にしか見えなかった。
「えっと、普段は少しあれかもしれませんが、聖女としての仕事をしているときのアリシアさまは、びしっとしていてかっこいいんですよ!」
リアが少し困った笑みを浮かべながらも、必死にフォローを。
「へー、今の姿からは想像もできないな」
「そこ聞こえてるけど!」
「おっと、わるい、わるい」
「そもそもこの美少女だらけの花園に、なにしれっとまざっているのあなた? しかも聞けば彼女たちと一緒に旅をするって? なにそのうらやまけしからんハーレム立ち位置は! こんなかわいい女の子たちを独り占めするなんてゆるせない! 今すぐ代わって!」
アリシアはシンヤに詰め寄り、さぞ忌わしげに抗議してくる。
「いや、代わってっていわれてもな」
「彼女たちのことは私が守らないと。こんなチャラい男に汚された日にはもう……。そうだ。いっそのことここで始末しておけば、――フッ……」
「おいおい、物騒すぎないかこの聖女さま!? 本気の殺意を感じるんだが!?」
「アリシア、美少女のこととなると、相変わらずのとばしっぷりね」
レティシアがやれやれと肩をすくめる。
「美少女は正義! 彼女たちとキャッキャッ、ウフフするのが私の至福の時間!」
対してアリシアは胸を張り、自信満々に宣言を。
その一切の迷いない美少女愛には、思わず感心してしまうほどだ。
「二人は面識があるのか?」
「アリシアはお忍びでよくここに来るのよ」
「フッ、ここに来ればレティシアさんやサクリさんがいること多いし、冒険者の女性陣はみんなかわいかったり、きれいな人が多くてとても目の保養になる。だからここはまさに私の憩いの場」
目をキランと光らせ、不敵な笑みを浮かべるアリシア。
すると受付カウンターで話を聞いていたサクリが、大きなため息をつきながらうんざりした表情をしだした。
「――はぁ……、あたしとかよくおしゃべりに付き合わされるんだから。仕事の邪魔だからって冷たくあしらってもなんか喜ぶだけだし、一応聖女さまで冒険者のお得意様でもあるからさすがに邪険にするわけにもいかなくてさ」
「美少女に冷たくされるのもまたいい、ぐへへ」
「アリシア、あまり本性を表してると、フローラに引かれるよ」
気持ち悪い笑みを浮かべるアリシアに対し、レティシアが正論を。
「はっ!? それはマズイ!? ごほん、あらためてトワさん、冒険者のみなさん、クリスタルガーゴイル討伐ごくろうさま。おかげでアルスタリアへの被害を未然に防ぐことができた」
アリシアは急に粛然とした態度になり、ここに来て初めて聖女っぽさをだしてきた。
「今さらもう遅いと思うが」
「――あ、あはは……」
ツッコミを入れるしかないシンヤと、笑ってごまかすフローラ。
「そこ、うるさい! ごほん、教会はあなたたちの活躍に感謝している。これからも邪神の眷属攻略に向けてがんばってほしい。こちらも各国と連携しながら災禍の6大魔獣を討伐した地点を警戒しつつ、邪神の眷属側の動向を探っておく。とはいえ現状ミルゼ教信者があちこちで人々の不安を煽り、絶望にさいなまれるようにしむけてる。だから教会側はそんな彼らのメンタルケアに奔走していて、あまり力になれないかもしれない」
「各国も防衛や治安維持に手一杯で、思うように動けていないわ。だから私たちががんばらないと」
「オレたちが頼みの綱ってわけか。トワ、勇者としてのウデの見せどころだな」
「――う、うん……」
トワの背中をポンとたたき、笑いかけた。
すると彼女は胸元近くで両手をぐっとにぎりしめながら、勇気をふり絞り気合を入れる。
「――と、まあ、マジメな話はこのぐらいにして、今はそれよりもフローラさん!」
「アリシアさん、どうしたのかしら?」
アリシアはフローラの手をとる。
「どこかでお茶してもっと親睦を深めよう! そしてあわよくば、ぐへへ」
「アリシア、よだれでてる」
レティシアは気持ち悪い笑みを浮かべるアリシアへ、ツッコミを。
「はっ、今のなしで! ささ、フローラさま、私がエスコートする! リアさんもぜひ一緒に」
「リアもおじゃましていいんですか?」
「もちろん! 推し二人とティータイムとかなんて至福の時間! いっぱいキャッキャッ、ウフフしよう!」
「アリシアさん、そんな急がなくても!? みんなごめんね。ちょっといってくるわ」
「リアもいってきます!」
そしてアリシアは目を輝かせながら、フローラとリアを引っ張り冒険者ギルドを出ていくのであった。
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