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1章1部 異世界転生!?
邪神の眷属
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あれからシンヤはフローラの行きつけのお店に行き、昼食をとることに。
時間帯からしてお昼時だったらしく、店内はほかの利用客でガヤガヤとにぎわっている。そんな中、シンヤたちは一番奥のテーブル席に座り、注文した料理をいただいていた。
「ふー、食べた、食べた。いやー、それにしてもうまかった」
満腹になった腹をさすりながら一息つく。
「ふふふ、それはよかったわ。私もここがお気に入りで、よく食べに来ているのよ」
「ははは、じゃあ、オレもしばらくここでお世話になろうかな」
フローラがおすすめするだけあって、料理がとてもおいしかったのだ。まだまだ気になるメニューがたくさんあったため、しばらく通い詰めることになるだろう。
「さて、食事がおわったことだし、少し込み入った話をしていいかしら?」
ふとフローラが真剣な面持ちで話を切り出してくる。
「ああ、大丈夫だぞ」
「あの襲ってきた敵についてなにか知ってるのかしら?」
「いや、それが全然知らないんだ」
「そうなの? 向こうはシンヤくんのこと、なにか知ってるみたいだったけど」
「そうなんだよな。しかも少し核心をついてきてたし、何者なんだ? あれだけ致命傷を受けても立ち上がってきたし」
女神関係のことをほのめかし、さらには剣で貫かれても平然としていた。あれは明らかに普通の人間でないのは明白。いったい何者だったのだろうか。
「あれはきっと魔人っていうやつね。人が魔の力と完全に適合し、魔物側になってしまっているの。だから強力な力もつかえ、さらに生命力や身体能力も格段に上がっている。かつて人類を苦しめた、恐るべき敵」
フローラは目をふせ、畏怖の念を込めて説明する。
「そんなやばいやつだったのか。あとあの魔人、封印がどうとか言ってなかったか?」
「ええ、もしかするとこの地に封印されている、邪神の眷属のことをさしているのかも」
「邪神の眷属?」
「150年前に突然現れた、とてつもない力をもった相手なの。そいつは邪神から特別な力を与えられ、魔人や無数の魔物を率い進攻してきた。その猛威により、人類側がどれだけ被害をこうむり窮地にたたされたか……。もし当時勇者様が現れなかったら、邪神の眷属によって世界は滅ぼされていたでしょうね」
「――そんなバケモノがこの土地に封印されてるのか……」
「それでね実はここ最近、封印している邪神の眷属の力が徐々に活性化していたらしいの。そして今日の早朝あたりに、それが一気に加速したとか」
「え? それヤバくないか?」
「一応、内側でいくら暴れようとも、封印が解かれる心配はないそうよ。でももし外側から干渉したら……」
フローラはアゴに手を当てながら、表情に陰りをみせる。
もしかするとあの魔人の口ぶり的に、とんでもないことを企んでいるのかもしれない。最悪その邪神の眷属が復活する恐れも。
「あの魔人についてはもう報告したんだよな?」
「ええ、さっき街に着いたときに、教会の方へ連絡してもらったわ。実をいうと私も、この件について調べるためにこの街に滞在していたの。それで今朝の異変を聞いて、周囲の魔物が影響とか受けてないか調査していたのよ」
「そうだったのか。実はオレも気になることがあるんだ。あの魔人が言っていた大きな光って言葉。あれはオレが探している女の子かもしれないんだ」
ここでずっと気になっていたことを口にする。
あの魔人の言葉は、女神に勇者の使命を与えられシンヤが補佐する対象。トワのことをさしているはずなのだ。
「どういうことなの?」
「簡単に説明するとその子は特別な力を持っていて、世界を救うみたいな感じの使命を与えられているんだ。ちなみにオレは一応、その子の補佐役を命じられてるんだが」
ここまできたら少しぼかしつつも本当のことを伝える。
「えっと、いきなりすごい話が出てきたわね……」
あまりに突拍子のない話ゆえ、フローラはさすがに困惑するしかない様子。
「――ははは……、そこらへんは軽く流しといてくれ。問題は今、その子と離れ離れになっていて、合流しないといけないんだよな。そしてあの魔人の言ってたことが正しいなら、この近くにいるかもしれない」
「つまりシンヤくんは今からその子を探すのね」
「ああ、ここらでなにかが起こっている以上、彼女も使命をまっとうするために追おうとするはず。もしかしたらこの街にいる可能性が高いかも」
なにはともあれいったんトワと合流しておくべきだろう。彼女の力になれるかもしれないし、もしかするとあの魔人が彼女を襲う可能性も。なので注意喚起だけでもしてやりたかった。
「ちなみに銀髪のトワって女の子なんだけど、見たこととかないよな?」
「うーん、心当たりはないわね」
「そっか。まあ、とりあえず街中で聞き込みとかしながら、探してみるか」
さすがにそううまくはいかないみたいだ。こればっかりは地道に探すしかないらしい。
「ごめんね。本当は手伝ってあげたいんだけど、調査の仕事であまり手伝えそうにないのよね。今から教会に行って、進展についていろいろ聞いてこないといけないし」
「いや、こっちはこっちでやっとくから、フローラはフローラの仕事をがんばってくれ。資金面を援助してくれてるだけで、もう大助かりなんだからさ」
申しわけなさそうにするフローラに、精一杯の感謝を。
「あともしなにか進展とかあったら教えてほしい。もしかすると彼女の使命上、首を突っ込むことになるかもしれないし、いろいろ手伝えるかもしれない」
魔人の出現に邪神の眷属の復活の可能性。もはや世界を救う勇者としては、見逃せない案件ばかりだ。ここは彼女のためにも情報を集めておくべきだろう。
「わかったわ。そのときはよろしくね。さて、お互いやることは決まってるみたいだから、いったん解散しましょうか。夜にまた合流しましょう。このレストラン近くの宿屋で、シンヤくんの部屋もとっておくから拠点にしてちょうだい。じゃあ、私は先に行っておくわね」
フローラは立ち上がりお会計を。そしてそのまま外へと出て行った。
ちゃんと宿までとってくれるとは、ありがたいばかりである。
「よし、オレもがんばるとするか。まずはトワって子の情報を集めないと。うん?」
方針が決まったため店を出ようとすると、隣の席の話声が耳に入ってきた。
「聞いたか? 封印の森に侵入した怪しい銀髪の少女の話。あの邪神の眷属の封印に異変をもたらしたかもしれないって、教会の方でつかまったらしいぜ」
「え? 銀髪の少女って、もしかして……」
まさかの情報に、耳を疑うシンヤなのであった。
時間帯からしてお昼時だったらしく、店内はほかの利用客でガヤガヤとにぎわっている。そんな中、シンヤたちは一番奥のテーブル席に座り、注文した料理をいただいていた。
「ふー、食べた、食べた。いやー、それにしてもうまかった」
満腹になった腹をさすりながら一息つく。
「ふふふ、それはよかったわ。私もここがお気に入りで、よく食べに来ているのよ」
「ははは、じゃあ、オレもしばらくここでお世話になろうかな」
フローラがおすすめするだけあって、料理がとてもおいしかったのだ。まだまだ気になるメニューがたくさんあったため、しばらく通い詰めることになるだろう。
「さて、食事がおわったことだし、少し込み入った話をしていいかしら?」
ふとフローラが真剣な面持ちで話を切り出してくる。
「ああ、大丈夫だぞ」
「あの襲ってきた敵についてなにか知ってるのかしら?」
「いや、それが全然知らないんだ」
「そうなの? 向こうはシンヤくんのこと、なにか知ってるみたいだったけど」
「そうなんだよな。しかも少し核心をついてきてたし、何者なんだ? あれだけ致命傷を受けても立ち上がってきたし」
女神関係のことをほのめかし、さらには剣で貫かれても平然としていた。あれは明らかに普通の人間でないのは明白。いったい何者だったのだろうか。
「あれはきっと魔人っていうやつね。人が魔の力と完全に適合し、魔物側になってしまっているの。だから強力な力もつかえ、さらに生命力や身体能力も格段に上がっている。かつて人類を苦しめた、恐るべき敵」
フローラは目をふせ、畏怖の念を込めて説明する。
「そんなやばいやつだったのか。あとあの魔人、封印がどうとか言ってなかったか?」
「ええ、もしかするとこの地に封印されている、邪神の眷属のことをさしているのかも」
「邪神の眷属?」
「150年前に突然現れた、とてつもない力をもった相手なの。そいつは邪神から特別な力を与えられ、魔人や無数の魔物を率い進攻してきた。その猛威により、人類側がどれだけ被害をこうむり窮地にたたされたか……。もし当時勇者様が現れなかったら、邪神の眷属によって世界は滅ぼされていたでしょうね」
「――そんなバケモノがこの土地に封印されてるのか……」
「それでね実はここ最近、封印している邪神の眷属の力が徐々に活性化していたらしいの。そして今日の早朝あたりに、それが一気に加速したとか」
「え? それヤバくないか?」
「一応、内側でいくら暴れようとも、封印が解かれる心配はないそうよ。でももし外側から干渉したら……」
フローラはアゴに手を当てながら、表情に陰りをみせる。
もしかするとあの魔人の口ぶり的に、とんでもないことを企んでいるのかもしれない。最悪その邪神の眷属が復活する恐れも。
「あの魔人についてはもう報告したんだよな?」
「ええ、さっき街に着いたときに、教会の方へ連絡してもらったわ。実をいうと私も、この件について調べるためにこの街に滞在していたの。それで今朝の異変を聞いて、周囲の魔物が影響とか受けてないか調査していたのよ」
「そうだったのか。実はオレも気になることがあるんだ。あの魔人が言っていた大きな光って言葉。あれはオレが探している女の子かもしれないんだ」
ここでずっと気になっていたことを口にする。
あの魔人の言葉は、女神に勇者の使命を与えられシンヤが補佐する対象。トワのことをさしているはずなのだ。
「どういうことなの?」
「簡単に説明するとその子は特別な力を持っていて、世界を救うみたいな感じの使命を与えられているんだ。ちなみにオレは一応、その子の補佐役を命じられてるんだが」
ここまできたら少しぼかしつつも本当のことを伝える。
「えっと、いきなりすごい話が出てきたわね……」
あまりに突拍子のない話ゆえ、フローラはさすがに困惑するしかない様子。
「――ははは……、そこらへんは軽く流しといてくれ。問題は今、その子と離れ離れになっていて、合流しないといけないんだよな。そしてあの魔人の言ってたことが正しいなら、この近くにいるかもしれない」
「つまりシンヤくんは今からその子を探すのね」
「ああ、ここらでなにかが起こっている以上、彼女も使命をまっとうするために追おうとするはず。もしかしたらこの街にいる可能性が高いかも」
なにはともあれいったんトワと合流しておくべきだろう。彼女の力になれるかもしれないし、もしかするとあの魔人が彼女を襲う可能性も。なので注意喚起だけでもしてやりたかった。
「ちなみに銀髪のトワって女の子なんだけど、見たこととかないよな?」
「うーん、心当たりはないわね」
「そっか。まあ、とりあえず街中で聞き込みとかしながら、探してみるか」
さすがにそううまくはいかないみたいだ。こればっかりは地道に探すしかないらしい。
「ごめんね。本当は手伝ってあげたいんだけど、調査の仕事であまり手伝えそうにないのよね。今から教会に行って、進展についていろいろ聞いてこないといけないし」
「いや、こっちはこっちでやっとくから、フローラはフローラの仕事をがんばってくれ。資金面を援助してくれてるだけで、もう大助かりなんだからさ」
申しわけなさそうにするフローラに、精一杯の感謝を。
「あともしなにか進展とかあったら教えてほしい。もしかすると彼女の使命上、首を突っ込むことになるかもしれないし、いろいろ手伝えるかもしれない」
魔人の出現に邪神の眷属の復活の可能性。もはや世界を救う勇者としては、見逃せない案件ばかりだ。ここは彼女のためにも情報を集めておくべきだろう。
「わかったわ。そのときはよろしくね。さて、お互いやることは決まってるみたいだから、いったん解散しましょうか。夜にまた合流しましょう。このレストラン近くの宿屋で、シンヤくんの部屋もとっておくから拠点にしてちょうだい。じゃあ、私は先に行っておくわね」
フローラは立ち上がりお会計を。そしてそのまま外へと出て行った。
ちゃんと宿までとってくれるとは、ありがたいばかりである。
「よし、オレもがんばるとするか。まずはトワって子の情報を集めないと。うん?」
方針が決まったため店を出ようとすると、隣の席の話声が耳に入ってきた。
「聞いたか? 封印の森に侵入した怪しい銀髪の少女の話。あの邪神の眷属の封印に異変をもたらしたかもしれないって、教会の方でつかまったらしいぜ」
「え? 銀髪の少女って、もしかして……」
まさかの情報に、耳を疑うシンヤなのであった。
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