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第3章 桃尻と犬耳と鬼の子と
3-4 可愛い子鬼の秘密。
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むかぁしむかし、ある田舎の村に桃太郎と犬耳美少女のルナがやってきました。
二人は家主が鬼人の化けた姿だと看破し、逃がすことなく追い詰めたはずでしたが……?
「で? お前はいったい何者なんだ? 鬼人……じゃないのか?」
ルナの足にすり寄って抱き着いたまま動こうとしない、額に一本角を生やした鬼人にそう問いかける。
小さな子どもが大人の服を被ったような見た目をしているが、これでもれっきとした鬼人。つまりは人間の敵だ。
「ボクは悪い鬼じゃないよっ!! だからそんなアブナイモノを向けないでよ! ボク、なにも悪いことしてないよね!?」
「……そんなこと信じられるかってんだよ。俺は親を鬼人に殺されてんだ」
「ちょっ、ちょっと待ってよテイロー!! 」
問答無用で叩き斬ってやろうと刀を構えた俺を、身体を張って慌てて止めるルナ。
もしかしたら見た目や油断させておいて、隙を突いて攻撃しようとしているのかもしれねぇ。なのになぜかルナは敵であるコイツを自分の後ろに隠すようにして庇っている。
「おい、ルナ。鬼人を庇うなんてどうしたんだよ!?」
「どうしちゃったのはテイローの方よ! 貴方はこんな小さな子鬼を殺そうっていうの!?」
「……小さくても鬼人は鬼人だ。そもそも、コイツはこの家の元の持ち主を喰っているかもしれないんだぜ!? お前だってその背後からガブリとやられるかもしれねぇぞ」
「そっ、そう言われてみると……確かにそうね……?」
俺の言葉に納得したのかルナはクルリと向きを翻し、持っていた杖を鬼人に向けた。
よしよし、これで二対一だ。こんな怪しい奴より、俺の方をルナも信じてくれるはず……だよな?
だが鬼人もこのままではマズいと思ったのか、俺たちに反論を始めた。
「まっ、待ってよ! いいから、ボクの話を聞いてってば!」
「うるせぇ。それともそれがお前の最後の言葉になってもいいのか?」
「そうよそうよ!! 私たちを騙した罪は大きいんだからねっ!?」
腰に手を当ててプンプンと怒っている彼女。
いや、簡単に騙されるルナもルナだと思うんだが……。
「本当にボクは人なんて殺してなんかないだって! それこそ、鬼神様に誓ってもいいよ!」
「本人はそう言っているが……どう思う、ルナ」
「うーん。信じてあげたいんだけど、流石に人殺しを庇うのは……」
疑わし気な目で見られたことに慌てたのか「信じてよぉ~」と言いながら、ルナに再び抱き着こうとする鬼人。
そしてそれをスッと避けるルナ。
さすがに至近距離に近付かせるのはもう怖いのだろう。
ルナに助けてもらうのは諦めたのか、今度は潤んだ瞳で俺に助けを求めてくるが……取り合えずコイツが油断ならねぇのは確実だな。
「第一、お前がさっきまで化けていた人間はどうした。ここに住んでいた本物の狩人が居たんだろう?」
ヒトに化けるのだって、元の人間が居なければできやしないはず。
その人間をこの鬼人がどうしたかで、このまま殺すか否かを決めよう。
「そ、それは……」
「「それは?」」
「あの男は死んじゃ「よし、やっぱり殺そう」……待って! だからちょっと待ってってば!! 他人の話はちゃんと最後まで聞くものだよ!?」
「まぁまぁ、テイロー。どうやら事情があるみたいだし、聞いてあげなさいよ」
やっぱりコイツ、生かしておくべきじゃないと思うんだが……仕方ねぇ、ルナがそこまで言うんなら聞いてやるか。
俺は刀を鬼人に向けたまま、話すように促す。
それでも俺たちが話を聞く姿勢を見せたお陰か、少しほっとした表情でこれまでに何があったのかを話し始めた。
その後にこの鬼人――名前はリンというらしい――が語ったのは、中々に胸糞の悪い話だった。
「ボクが生まれた場所から逃げ出したのは、今から半年前ぐらいだったかな……」
なんでもコイツは鬼人の中でも異色の能力を持っていたせいで、集団の中でかなり浮いていたらしい。実力主義の世界で、相手を喰らって擬態する能力はかなり低く見られていたようだ。
そりゃあそうだろう、誰も自分を喰わせる奴なんて居るわけがないし、元々の力が弱いコイツでは強者を狩って喰うこともできない。
つまり擬態で強くなることは生まれたてのコイツにはほぼ不可能だったわけだ。弱い鬼人は要らない。そんな理由でこの鬼人は生まれ故郷から追い出された。
「ボクたちは魔力を糧に生きてるんだ。だから生まれてからマトモに魔力を喰えなかったボクは、ボロボロになりながら行く当てもなく彷徨い続けたんだ……」
「そうしてこの村に辿り着いた、っつーことか?」
「うん、そうなんだけど……」
「リン……可哀想……!!」
自分と同じく住んでいた場所から追い出されたルナは同情してしまっているようだ。だがコイツは見ての通り角の生えた鬼人だ。この村の人間がリンを歓迎するわけがない。
「ボクが辿り着いた時は真夜中だったよ。そんな時、この村のすぐそばの林で人影が見えたんだ。ボクは助けてもらえるチャンスかもしれないって思って、そっと近づいたんだけど……」
そこでリンが見たものは、なんと男が女を押し倒し、無理矢理に服を脱がそうとしている現場だったそうだ。女は必死に抵抗するも男に頭を殴られて意識を失い、男が持っていた縄で手足を縛られようとしていた。
「その女の人がイジメられていたボクと重なって……居ても立っても居られなかったんだ! だからボク……その男の人の腕に噛み付いたんだ」
そしてそのまま男の右腕を食い千切ったリンは、敵である鬼人であるにもかかわらず勇気を振り絞って女性を守ろうとしたそうだ。
突然の鬼人の襲撃にパニックになったその狩人は、慌ててその場から逃げ出した。
「そしたら、逃げた先の森の中から男の人の叫び声が聞こえてきて……」
「血の匂いに誘われたケモノどもにでも食われたってワケか」
「うん……。ボクが確認した時はそのケモノは居なかったけど、その人は酷い有り様だったよ」
「そんなの、自業自得よ!! リン、貴方偉いわよ!!」
人間よりも少しだけ赤黒い肌をした腕をプルプルと震えさせながら、その時の様子を語るリン。それを見たルナがリンを優しく抱きしめてやっている。
どうやら嘘は言っていないようだし、男の姿を得たのは女を守る時に偶然喰った腕のお陰だったみたいだな。
俺はいつでも斬れるように剥き出しにしていた刀を鞘にしまい、溜め息をついた。
そんな俺の背後に、誰かが近寄って来る気配があった。
「……どうやら気付かれてしまったようですな、御客人」
「村長の爺さんか……やはり知っていたんだな」
提灯の明かりを片手に杖を突きながらやってきたのは、優しそうな眼をリンに向けているこの村の長だった。
爺さんはリンの姿を見ても驚く気配は全く無く、落ち着き払った様子でフッと提灯の火を消した。
「えぇ、知っておりました。……というより、その襲われていた娘っ子は……実はワシの孫なんですじゃ……」
「なにっ!? そう……だったのか……」
隠すことを諦めたかのようにはぁ、と小さく溜め息を吐くと、爺さんは更に皺を深くさせながら口を開いた。
「ワシの孫娘は都会に憧れておりましてな。ある日突然、流行り病のように熱に浮かされて顔でこの村を出て行くと言い出したのですじゃ」
「それじゃあ、爺さんが昼間言ってた若者の行方が分からねぇっていうのは……」
「どうやらその狩人が若い女子を騙し、夜中に誘い出して襲い……挙句の果てに殺して森に埋めていたそうなのじゃ」
「そんな……ひどい!!」
なんだよ、オイ。鬼人よりよっぽど人でなしじゃねぇかソイツ。
もはや何の狩人かも分からねぇな。実の孫娘を襲われた村長もそうだが、俺もルナもその狩人には怒りしか湧かない。
「それを孫娘とそこのリンに聞きましてな。リンはどうやら住む場所に困っていたようじゃったし、あの変化の術を使ってもらうことを条件にリンを我が村に匿うことにしたんじゃよ……」
「そう、だったのか……」
それでリンは狩人の代わりに、この家で住むことになったんだな。
その方が村の住人的にも元の主よりよっぽど有益だろう。なにせ若者を狙って殺すような殺人鬼だったわけだし。
「しかしどうやら、村の中にはリンのことを怪しんでおる者が居るようなのじゃ。……そこで、折り入って御客人にはワシからお願いがあるんじゃが」
「ん、なんだ? 爺さんには食料もかなり融通してもらったし、できる限りのことはやるぜ?」
「そうよ! 私達でできることは何でも言ってよお爺ちゃん!」
少し泣いたのか、目元を潤ませながらルナも俺に同調してきた。
彼女は馬鹿だが、情に厚い優しい子なんだよな……。
「はは、やはり御客人たちは優しいお人ですじゃのう」
「そんなことはねぇけどよ……。まぁ、いいから言ってみなって」
「へい。……お願いとは、この鬼娘、リンをお主達の旅に連れて行ってほしいのですじゃ」
「ちょ、ちょっと待て。鬼……娘!?」
――も、もしかしてリンは……女っ!?
「何を言っているのよ、テイロー。こんなに可愛い顔をしているじゃないの。胸だってあるし」
「……え?」
俺はリンを見つめるが……たしかにそこらの村娘よりかは整った顔をしているし、大人の緩い服から覗く胸元も……。
「お姉ちゃん!! この人、ボクのことエッチな目で見てくる!!」
「うわ……最低ねテイロー」
「ちっ、違う!! 誤解だ!!」
「御客人……さっきの話はやはり無かったことに……」
「ちげぇええええ!!」
鬼人リンの過去を知った桃太郎達。
そして村長から依頼されたのはそんなリンを旅に連れて行ってほしいということでした。
鬼人を倒しに行く旅に、同じ鬼であるリンを供とさせたい村長の真意とは?
そしてそれに対する桃太郎達の答えは如何に――。
二人は家主が鬼人の化けた姿だと看破し、逃がすことなく追い詰めたはずでしたが……?
「で? お前はいったい何者なんだ? 鬼人……じゃないのか?」
ルナの足にすり寄って抱き着いたまま動こうとしない、額に一本角を生やした鬼人にそう問いかける。
小さな子どもが大人の服を被ったような見た目をしているが、これでもれっきとした鬼人。つまりは人間の敵だ。
「ボクは悪い鬼じゃないよっ!! だからそんなアブナイモノを向けないでよ! ボク、なにも悪いことしてないよね!?」
「……そんなこと信じられるかってんだよ。俺は親を鬼人に殺されてんだ」
「ちょっ、ちょっと待ってよテイロー!! 」
問答無用で叩き斬ってやろうと刀を構えた俺を、身体を張って慌てて止めるルナ。
もしかしたら見た目や油断させておいて、隙を突いて攻撃しようとしているのかもしれねぇ。なのになぜかルナは敵であるコイツを自分の後ろに隠すようにして庇っている。
「おい、ルナ。鬼人を庇うなんてどうしたんだよ!?」
「どうしちゃったのはテイローの方よ! 貴方はこんな小さな子鬼を殺そうっていうの!?」
「……小さくても鬼人は鬼人だ。そもそも、コイツはこの家の元の持ち主を喰っているかもしれないんだぜ!? お前だってその背後からガブリとやられるかもしれねぇぞ」
「そっ、そう言われてみると……確かにそうね……?」
俺の言葉に納得したのかルナはクルリと向きを翻し、持っていた杖を鬼人に向けた。
よしよし、これで二対一だ。こんな怪しい奴より、俺の方をルナも信じてくれるはず……だよな?
だが鬼人もこのままではマズいと思ったのか、俺たちに反論を始めた。
「まっ、待ってよ! いいから、ボクの話を聞いてってば!」
「うるせぇ。それともそれがお前の最後の言葉になってもいいのか?」
「そうよそうよ!! 私たちを騙した罪は大きいんだからねっ!?」
腰に手を当ててプンプンと怒っている彼女。
いや、簡単に騙されるルナもルナだと思うんだが……。
「本当にボクは人なんて殺してなんかないだって! それこそ、鬼神様に誓ってもいいよ!」
「本人はそう言っているが……どう思う、ルナ」
「うーん。信じてあげたいんだけど、流石に人殺しを庇うのは……」
疑わし気な目で見られたことに慌てたのか「信じてよぉ~」と言いながら、ルナに再び抱き着こうとする鬼人。
そしてそれをスッと避けるルナ。
さすがに至近距離に近付かせるのはもう怖いのだろう。
ルナに助けてもらうのは諦めたのか、今度は潤んだ瞳で俺に助けを求めてくるが……取り合えずコイツが油断ならねぇのは確実だな。
「第一、お前がさっきまで化けていた人間はどうした。ここに住んでいた本物の狩人が居たんだろう?」
ヒトに化けるのだって、元の人間が居なければできやしないはず。
その人間をこの鬼人がどうしたかで、このまま殺すか否かを決めよう。
「そ、それは……」
「「それは?」」
「あの男は死んじゃ「よし、やっぱり殺そう」……待って! だからちょっと待ってってば!! 他人の話はちゃんと最後まで聞くものだよ!?」
「まぁまぁ、テイロー。どうやら事情があるみたいだし、聞いてあげなさいよ」
やっぱりコイツ、生かしておくべきじゃないと思うんだが……仕方ねぇ、ルナがそこまで言うんなら聞いてやるか。
俺は刀を鬼人に向けたまま、話すように促す。
それでも俺たちが話を聞く姿勢を見せたお陰か、少しほっとした表情でこれまでに何があったのかを話し始めた。
その後にこの鬼人――名前はリンというらしい――が語ったのは、中々に胸糞の悪い話だった。
「ボクが生まれた場所から逃げ出したのは、今から半年前ぐらいだったかな……」
なんでもコイツは鬼人の中でも異色の能力を持っていたせいで、集団の中でかなり浮いていたらしい。実力主義の世界で、相手を喰らって擬態する能力はかなり低く見られていたようだ。
そりゃあそうだろう、誰も自分を喰わせる奴なんて居るわけがないし、元々の力が弱いコイツでは強者を狩って喰うこともできない。
つまり擬態で強くなることは生まれたてのコイツにはほぼ不可能だったわけだ。弱い鬼人は要らない。そんな理由でこの鬼人は生まれ故郷から追い出された。
「ボクたちは魔力を糧に生きてるんだ。だから生まれてからマトモに魔力を喰えなかったボクは、ボロボロになりながら行く当てもなく彷徨い続けたんだ……」
「そうしてこの村に辿り着いた、っつーことか?」
「うん、そうなんだけど……」
「リン……可哀想……!!」
自分と同じく住んでいた場所から追い出されたルナは同情してしまっているようだ。だがコイツは見ての通り角の生えた鬼人だ。この村の人間がリンを歓迎するわけがない。
「ボクが辿り着いた時は真夜中だったよ。そんな時、この村のすぐそばの林で人影が見えたんだ。ボクは助けてもらえるチャンスかもしれないって思って、そっと近づいたんだけど……」
そこでリンが見たものは、なんと男が女を押し倒し、無理矢理に服を脱がそうとしている現場だったそうだ。女は必死に抵抗するも男に頭を殴られて意識を失い、男が持っていた縄で手足を縛られようとしていた。
「その女の人がイジメられていたボクと重なって……居ても立っても居られなかったんだ! だからボク……その男の人の腕に噛み付いたんだ」
そしてそのまま男の右腕を食い千切ったリンは、敵である鬼人であるにもかかわらず勇気を振り絞って女性を守ろうとしたそうだ。
突然の鬼人の襲撃にパニックになったその狩人は、慌ててその場から逃げ出した。
「そしたら、逃げた先の森の中から男の人の叫び声が聞こえてきて……」
「血の匂いに誘われたケモノどもにでも食われたってワケか」
「うん……。ボクが確認した時はそのケモノは居なかったけど、その人は酷い有り様だったよ」
「そんなの、自業自得よ!! リン、貴方偉いわよ!!」
人間よりも少しだけ赤黒い肌をした腕をプルプルと震えさせながら、その時の様子を語るリン。それを見たルナがリンを優しく抱きしめてやっている。
どうやら嘘は言っていないようだし、男の姿を得たのは女を守る時に偶然喰った腕のお陰だったみたいだな。
俺はいつでも斬れるように剥き出しにしていた刀を鞘にしまい、溜め息をついた。
そんな俺の背後に、誰かが近寄って来る気配があった。
「……どうやら気付かれてしまったようですな、御客人」
「村長の爺さんか……やはり知っていたんだな」
提灯の明かりを片手に杖を突きながらやってきたのは、優しそうな眼をリンに向けているこの村の長だった。
爺さんはリンの姿を見ても驚く気配は全く無く、落ち着き払った様子でフッと提灯の火を消した。
「えぇ、知っておりました。……というより、その襲われていた娘っ子は……実はワシの孫なんですじゃ……」
「なにっ!? そう……だったのか……」
隠すことを諦めたかのようにはぁ、と小さく溜め息を吐くと、爺さんは更に皺を深くさせながら口を開いた。
「ワシの孫娘は都会に憧れておりましてな。ある日突然、流行り病のように熱に浮かされて顔でこの村を出て行くと言い出したのですじゃ」
「それじゃあ、爺さんが昼間言ってた若者の行方が分からねぇっていうのは……」
「どうやらその狩人が若い女子を騙し、夜中に誘い出して襲い……挙句の果てに殺して森に埋めていたそうなのじゃ」
「そんな……ひどい!!」
なんだよ、オイ。鬼人よりよっぽど人でなしじゃねぇかソイツ。
もはや何の狩人かも分からねぇな。実の孫娘を襲われた村長もそうだが、俺もルナもその狩人には怒りしか湧かない。
「それを孫娘とそこのリンに聞きましてな。リンはどうやら住む場所に困っていたようじゃったし、あの変化の術を使ってもらうことを条件にリンを我が村に匿うことにしたんじゃよ……」
「そう、だったのか……」
それでリンは狩人の代わりに、この家で住むことになったんだな。
その方が村の住人的にも元の主よりよっぽど有益だろう。なにせ若者を狙って殺すような殺人鬼だったわけだし。
「しかしどうやら、村の中にはリンのことを怪しんでおる者が居るようなのじゃ。……そこで、折り入って御客人にはワシからお願いがあるんじゃが」
「ん、なんだ? 爺さんには食料もかなり融通してもらったし、できる限りのことはやるぜ?」
「そうよ! 私達でできることは何でも言ってよお爺ちゃん!」
少し泣いたのか、目元を潤ませながらルナも俺に同調してきた。
彼女は馬鹿だが、情に厚い優しい子なんだよな……。
「はは、やはり御客人たちは優しいお人ですじゃのう」
「そんなことはねぇけどよ……。まぁ、いいから言ってみなって」
「へい。……お願いとは、この鬼娘、リンをお主達の旅に連れて行ってほしいのですじゃ」
「ちょ、ちょっと待て。鬼……娘!?」
――も、もしかしてリンは……女っ!?
「何を言っているのよ、テイロー。こんなに可愛い顔をしているじゃないの。胸だってあるし」
「……え?」
俺はリンを見つめるが……たしかにそこらの村娘よりかは整った顔をしているし、大人の緩い服から覗く胸元も……。
「お姉ちゃん!! この人、ボクのことエッチな目で見てくる!!」
「うわ……最低ねテイロー」
「ちっ、違う!! 誤解だ!!」
「御客人……さっきの話はやはり無かったことに……」
「ちげぇええええ!!」
鬼人リンの過去を知った桃太郎達。
そして村長から依頼されたのはそんなリンを旅に連れて行ってほしいということでした。
鬼人を倒しに行く旅に、同じ鬼であるリンを供とさせたい村長の真意とは?
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