鬼畜なエロゲ世界にモブ転生!?このままだと鬱ENDらしいので、ヒロイン全員寝取ってハピエン目指します!

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第29話 捨てた男、そして神になった男。

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「ふぅ~。ガチガチに拘束されていたおかげで、体が痛いぜ……」
「さすがはマコっちゃん。やっぱり何かを仕込んでいたんだね?」

 俺の手首から解放されたロープを手に取って、タカヒロは感心したように言った。

 使用したアイテムの名前は"テールネイル君"。
 爪に貼るシールタイプのシロモノでテールは尻尾、ネイルは爪という意味だ。……なんとも安直なネーミングである。

 この"テールネイル君"を使うと、指先が触手のように伸びて操れるようになる。ご想像の通り、本来はヒロインに対して拘束プレイをする用のアイテムだ。形状も自由自在に変えられるので、細くして狭い穴の中を移動させたり、薄く広げて覆ったりすることもできる。


「ただのおふざけアイテムであるテールネイル君を、こんな風に使うなんてね。これのアイデアを出した僕も、ちょっとビックリだよ」

「お前が考えたアイテムだったのかよ! ネーミングセンスなさすぎんだろ!」

「でも分かりやすくて使い勝手も良いでしょう? だけど女の子相手に悪用しちゃダメだよ? トワりんが知ったら泣いちゃうかも」

「お前にだけは言われたくねぇよ! それにトワりんには使ってない。今回だって何かあったときの保険に備えておいただけだ」

 ……本音を言えばトワりんを相手に使ってみたかったけど。だがそんな馬鹿正直に自分の性癖を語るつもりはない。仮にもこの世界での実姉が目の前にいるわけだし。

 ともあれ俺は改めてタカヒロと向き合った。そして彼に問う。


「で、お前は何を知っているんだ? トワりんが危険だとか、死を偽装する必要があったとか言ってたが、それは本当なのか?」
「僕がこのゲームの開発者だったことまでは言ったよね。それじゃあ今度は、僕がこの世界でしてきたことを少し話しておこうか」

 タカヒロは真剣な顔になって語り始めた。


「この世界に飛ばされて、僕はすぐに転生したことに気付いた。そしてそれは、ある人物が僕を殺そうと仕組んだということも」
「ある人物……?」
「そう。ソイツは僕よりも先にこの世界に飛び込み、恨みを持つ僕を殺すための準備を着々と進めていたんだ」

 タカヒロの話によると、その人物はゲームを開発した中核メンバーのひとりだったらしい。それも元の世界では天才的な頭脳を持つ男だった。

 しかしある日突然、彼は自ら命を絶ってしまった。その原因は不明だという。

 だが彼が遺していったメモの中に『俺はこんなクソな現実を捨てて、新しい世界で神になる』という一文があったそうだ。


「その男は生前から常々言っていたんだよ。自分は特別な存在であり、いずれ世界を支配する神様になれるはずだってね。事実、ハイクラの創造主である彼はここで神になったというわけさ」

 つまり俺たち転生者を含め、この世界の住人は彼の駒にすぎないというわけか。


「それで、そいつは今どこに……?」
「いやぁ、僕も彼を探し出すのに苦労したんだよ。なにせ誰に転生したのか、さっぱり分かんなかったんだもの」
「おい、それじゃどうしようもないじゃないか!」

 思わず声を荒げてしまう俺だったが、タカヒロは涼しい顔をしている。そしてこともなげにこう答えた。


「だって、名前も見た目も変わってしまっているんだよ? 僕も君も、そうだっただろう?」
「う、ぐ……それは……」

 たしかにタカヒロの言う通りだ。というか、俺は前世で自分がどんな名前でどんな姿をしていたかなんて、ほぼ覚えていないが。


「でも安心して。マコっちゃんたちのおかげで、その正体を掴めたんだ」
「本当か!? ……って、そうならそうと早く言えよ!」
「ごめんごめん。だけどマコっちゃんが次から次へと質問攻めにするから」

 それを言われると返す言葉がない。


「まあ、それはさておき。今回マコっちゃん達は、僕を殺すためにヒロイン達をけしかけた人物をスパイダーという情報屋から聞き出そうとしたでしょ?」
「……あぁ。結局は先に殺されちまって、失敗に終わったけどな」

 莉子と宇志川が情報屋のアジトに到着した時にはもう、何者かの手によって皆殺しにされてしまっていた。俺たちが向かうことが何故か事前にバレて……ん?


「おい、まさか」
「あははは……。実は僕たち、マコっちゃんたちよりも先にその情報屋を狙っていてね。沙月ちゃんのアイテムを使って、襲撃者たちを追跡していたんだ。当然だけど、マコっちゃんたちのことも監視させてもらっていたよ」
「つまり俺たちの情報を流していたのは、お前だったのかよ……」

 なるほど。コイツは俺たちを撒き餌にして、黒幕の正体を暴いたっていうことらしい。

 それにしても、味方を利用するとは侮れないヤツだ。


「やっぱりお前、性格が悪いよ……」
「自覚はしてるから、褒め言葉として受け取っておくよ」


 タカヒロはヘラヘラ笑いながら受け流す。

 まったく、調子の良い奴め。まぁそのおかげで黒幕の正体が判明したようだし、今回は許してやるとするか……。

 だがタカヒロが告げたその黒幕の正体に、俺は強い衝撃を受けた。


「彼の世界での名前は磯崎いそざき玄間げんま。……そう、トワちゃんのお父さんだったんだ」

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