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第14話 放課後デート、莉子の企み。
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~莉子視点~
「うぅ、どうして拙がこんなことに……御主人様を恨むにゃ」
タカヒロ殿を殺害した黒幕の情報を得るため、拙は宇志川殿に近づいた。そこまでは良かったのだけど――。
「うふふふっ、放課後デートって楽しいですわね莉子様!」
そういって宇志川殿は拙の手を引っ張りながら、人通りの多い街中をルンルン気分で歩いている。彼女の表情は見えないけれど、きっと満面の笑みを浮かべていることだろう。
あの体育の一件から、拙は宇志川殿に物凄く気に入られてしまい、何故かこうして二人で遊びに出掛けることになった。
「(なぜにゃ!? どうしてこうなったにゃ!! そもそも拙はこの爆乳牛女が苦手なのにゃ! あんな見せつけるようにおっぱいをブルンブルンさせて腹が立つのにゃ!)」
宇志川殿はアメリカ人とのハーフなだけあって、日本人離れしたスタイルをしている。締まるところは締まっているし、出るところも出ていて、まるでグラビアアイドルのような体型だ。
それに比べて拙は貧相な体つきだし、背丈も彼女より低い。正直言って、拙とコイツが並ぶと格差が酷すぎる。
「おい、見ろよあのハーフの子……」
「あぁ、すげぇ美人だよな。しかもあの胸!」
「(どいつもこいつも胸ばっか見てるのにゃ!! 拙なんて見向きもされないのにゃ!!」
通り過ぎる人々はみな、彼女の方を振り返っている。拙なんて、誰も振り向かないというのに。
「ん? 隣の子は子供か?」
「なんだ、子連れかぁ」
「(拙は子供じゃないにゃああ!!)」
やはり胸の大きさというのは女性の魅力の一つなのだろうか。
身長はまだしも、暗殺者としては全く必要とされない要素だけに、今まで気にしてこなかった。……この学校に転校してくるまでは。
「(まったく、とんでもない化け物がいたものにゃ)」
隣のクラスに同業者がいると聞いて行ってみれば、その姿を見て驚いた。強さだけじゃなく、美貌も兼ね備えている暗殺者がいるなんて。
「(拙も体格に恵まれていれば、柳嶋家の忍としてお父様も認めてくれたかもしれないにゃ)」
悔しい、非常に悔しいけど、どうしようもない現実がそこにはある。
でも、だからといって負けなんかはいられない! 拙は絶対に巨乳なんかに屈しないのだ!
まだ成長期は終わっていない。毎日ミルクを飲んで、豊胸マッサージをしている。
いつかきっと、御主人様に振り向いてもらえるようなナイスバディになってみせるんだから!
「あら、どうなさいました? お顔が真っ赤になっていますわよ?」
「なな、なんでもないのにゃっ。それより宇志川殿はどこに向かっているのにゃ!?」
「もう、せっかちさんですね。イイところですよ、イ・イ・と・こ・ろ♡」
艶っぽい声を出しながら、宇志川殿が色っぽくウインクしてくる。女アピールが気持ち悪い。しかも、わざとらしく谷間を強調してくるところが余計にムカつく。
「ぐぬぬ、いつか拙の毒であの胸を小さくしてやるのにゃ……」
いつか拙がコイツの代わりに、巨乳キャラの座を奪ってやる。
「さ、着きましたわよ!!」
「ここは……カラオケ屋?」
宇志川殿が立ち止まったのは、繁華街のビルにあるカラオケボックスだった。
「はい、カラオケです! 一度行ってみたかったんですの!」
「えっと、宇志川殿はカラオケで歌うのが好きなのかにゃ?」
「いえ、実は私、一度も来たことがないのです! ずっと興味があったのですが、恥ずかしくて誘えずじまいで……」
今どきカラオケに行ったことのない女子高生というのも珍しい。しかも宇志川殿みたいな人気者なら、クラスメイトに誘われても良さそうなのに。
「でも今日、莉子様と知り合えましたし……聞けば莉子様はアイドル業をなさっているのでしょう? せっかくなので、歌の上手い御方にご教授を願おうかと……」
宇志川殿は少し照れた様子で頬を赤く染めている。
どうしてこの牛ゴリラは男を相手にコレができないんだろう。女子力の無駄遣いである。
「(そういえば自分には関係ないと思って、男嫌いの理由をマコト殿から聞いてなかったのにゃ。でもその男嫌いを上手く利用すれば、拙に心を開くかもしれないのにゃ)」
そして適当なタイミングで自分も同じ暗殺者だと明かせば、この女に仲間意識が芽生えるかもしれない。それに信頼を得られれば、タカヒロ殿を暗殺した人物の情報を掴めるかも。
「(それに歌は拙の得意分野なのにゃ。実力を見せつけて、拙が格上だと分からせてやるのにゃ!」
「ほら、行きますわよ~!」
「わ、分かったにゃ!」
そんなことを考えている間に、宇志川殿は受付を済ませて部屋に入ろうとしていた。拙も慌ててそのあとを追う。
「(それに御主人様から預かったアイテムもあるのにゃ。これさえあれば、任務成功は間違いなしなのにゃ!)」
鞄の中に潜ませたアイテムを思い浮かべる。ふふふ、拙も一度アイテムを使ってみたかった。その威力を試せる瞬間が今から楽しみだ。
――背後からついてくる御主人様の気配を感じながら、拙はニヤリと笑った。
「うぅ、どうして拙がこんなことに……御主人様を恨むにゃ」
タカヒロ殿を殺害した黒幕の情報を得るため、拙は宇志川殿に近づいた。そこまでは良かったのだけど――。
「うふふふっ、放課後デートって楽しいですわね莉子様!」
そういって宇志川殿は拙の手を引っ張りながら、人通りの多い街中をルンルン気分で歩いている。彼女の表情は見えないけれど、きっと満面の笑みを浮かべていることだろう。
あの体育の一件から、拙は宇志川殿に物凄く気に入られてしまい、何故かこうして二人で遊びに出掛けることになった。
「(なぜにゃ!? どうしてこうなったにゃ!! そもそも拙はこの爆乳牛女が苦手なのにゃ! あんな見せつけるようにおっぱいをブルンブルンさせて腹が立つのにゃ!)」
宇志川殿はアメリカ人とのハーフなだけあって、日本人離れしたスタイルをしている。締まるところは締まっているし、出るところも出ていて、まるでグラビアアイドルのような体型だ。
それに比べて拙は貧相な体つきだし、背丈も彼女より低い。正直言って、拙とコイツが並ぶと格差が酷すぎる。
「おい、見ろよあのハーフの子……」
「あぁ、すげぇ美人だよな。しかもあの胸!」
「(どいつもこいつも胸ばっか見てるのにゃ!! 拙なんて見向きもされないのにゃ!!」
通り過ぎる人々はみな、彼女の方を振り返っている。拙なんて、誰も振り向かないというのに。
「ん? 隣の子は子供か?」
「なんだ、子連れかぁ」
「(拙は子供じゃないにゃああ!!)」
やはり胸の大きさというのは女性の魅力の一つなのだろうか。
身長はまだしも、暗殺者としては全く必要とされない要素だけに、今まで気にしてこなかった。……この学校に転校してくるまでは。
「(まったく、とんでもない化け物がいたものにゃ)」
隣のクラスに同業者がいると聞いて行ってみれば、その姿を見て驚いた。強さだけじゃなく、美貌も兼ね備えている暗殺者がいるなんて。
「(拙も体格に恵まれていれば、柳嶋家の忍としてお父様も認めてくれたかもしれないにゃ)」
悔しい、非常に悔しいけど、どうしようもない現実がそこにはある。
でも、だからといって負けなんかはいられない! 拙は絶対に巨乳なんかに屈しないのだ!
まだ成長期は終わっていない。毎日ミルクを飲んで、豊胸マッサージをしている。
いつかきっと、御主人様に振り向いてもらえるようなナイスバディになってみせるんだから!
「あら、どうなさいました? お顔が真っ赤になっていますわよ?」
「なな、なんでもないのにゃっ。それより宇志川殿はどこに向かっているのにゃ!?」
「もう、せっかちさんですね。イイところですよ、イ・イ・と・こ・ろ♡」
艶っぽい声を出しながら、宇志川殿が色っぽくウインクしてくる。女アピールが気持ち悪い。しかも、わざとらしく谷間を強調してくるところが余計にムカつく。
「ぐぬぬ、いつか拙の毒であの胸を小さくしてやるのにゃ……」
いつか拙がコイツの代わりに、巨乳キャラの座を奪ってやる。
「さ、着きましたわよ!!」
「ここは……カラオケ屋?」
宇志川殿が立ち止まったのは、繁華街のビルにあるカラオケボックスだった。
「はい、カラオケです! 一度行ってみたかったんですの!」
「えっと、宇志川殿はカラオケで歌うのが好きなのかにゃ?」
「いえ、実は私、一度も来たことがないのです! ずっと興味があったのですが、恥ずかしくて誘えずじまいで……」
今どきカラオケに行ったことのない女子高生というのも珍しい。しかも宇志川殿みたいな人気者なら、クラスメイトに誘われても良さそうなのに。
「でも今日、莉子様と知り合えましたし……聞けば莉子様はアイドル業をなさっているのでしょう? せっかくなので、歌の上手い御方にご教授を願おうかと……」
宇志川殿は少し照れた様子で頬を赤く染めている。
どうしてこの牛ゴリラは男を相手にコレができないんだろう。女子力の無駄遣いである。
「(そういえば自分には関係ないと思って、男嫌いの理由をマコト殿から聞いてなかったのにゃ。でもその男嫌いを上手く利用すれば、拙に心を開くかもしれないのにゃ)」
そして適当なタイミングで自分も同じ暗殺者だと明かせば、この女に仲間意識が芽生えるかもしれない。それに信頼を得られれば、タカヒロ殿を暗殺した人物の情報を掴めるかも。
「(それに歌は拙の得意分野なのにゃ。実力を見せつけて、拙が格上だと分からせてやるのにゃ!」
「ほら、行きますわよ~!」
「わ、分かったにゃ!」
そんなことを考えている間に、宇志川殿は受付を済ませて部屋に入ろうとしていた。拙も慌ててそのあとを追う。
「(それに御主人様から預かったアイテムもあるのにゃ。これさえあれば、任務成功は間違いなしなのにゃ!)」
鞄の中に潜ませたアイテムを思い浮かべる。ふふふ、拙も一度アイテムを使ってみたかった。その威力を試せる瞬間が今から楽しみだ。
――背後からついてくる御主人様の気配を感じながら、拙はニヤリと笑った。
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