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12話/12話

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 そんなやり取りをしてから数日後のこと。私は聖女の正装で、辺境にある街道を歩いていた。

「……どうして私はウォーレスと旅をすることになったのかしら」
「それは新たに魔王が復活し、俺が勇者代理として選ばれたからですよ」

 鎧を着こんだウォーレスは、ショッキングな話とは裏腹に楽し気な声で私に語り掛ける。

 ――そうなのだ。
 本来のペースなら数十年後に魔王が再臨するはずだったのだけれど、新たな悪が目覚めてしまったのだ。

「まさか勇者が魔王になるだなんて……」
「剣士が他の女に浮気したのがキッカケで魔王に目覚めたらしいですね」
「ほんっとに、余計なことばかりする人たちなんだから……」

 そんなくだらない理由のせいで、私は再び聖女として旅をすることになった。

 そして勇者に継ぐ実力者として神に選ばれたのが、ウォーレスだったというわけだ。

「でもこうして貴方と旅ができるわけですし、辺境で力を付けていて良かったですよ」
「私はもう安泰な老後を過ごすつもりだったのに……それに」

 私は自身の左手にめられたリングを眺める。

「どうしてウォーレスと結婚を……」
「俺は先代勇者とは違うので。今のうちに、貴方を捕まえておこうと思いまして」
「貴方って、けっこう強引よね」
「責任感が強いと言ってください。それに……」

 ウォーレスは手を伸ばすと、私の左手を優しく包み込んだ。

「レイだって満更じゃなかったでしょう?」
「――ッ!! あ、あはは……それじゃあ魔王退治の旅へしゅっぱーつ!」

 私は誤魔化すように右手の杖を振りかざした。

 今度の旅も、簡単には終わらなさそうだ。だけど楽しい旅になりそうだ。

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