旦那の元嫁と同居することになりまして

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第3話 元嫁と夜の営み談義

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「それで? クロードとの生活はどうなんだい。アイツのブツは立派だから、夜は大変だろう?」
「ぶふっ!?」

 とんでもないことを言い出すものだから、ハーブティーを盛大に噴き出してしまった。


「げほっ、ごほっ……」
「あはは! ごめんって、冗談のつもりだったんだ」
「もうっ! 昼間から下世話なことを言わないでくださいよ!」

 自分で汚したテーブルを拭きながら、目の前の人物を睨む。だけどサシャは気にした様子もなく、ニタニタとした表情を崩さない。

「でも、事実だろう?」
「……黙秘します」

 自分が小柄な体格をしているせいで、彼の相手をするのはひと苦労。しかもクロードは体力お化けなもんだから、朝になる頃にはもう私の姿は大変なことになってしまうのだ。

 だけどそんな赤裸々なことを初対面の人にぶちまけられるほど、私のハートは丈夫にできていない。

 そもそも女友達のいない私は、誰にもこの話題を口にしたことは無いけれど。


(……でも、そうよね。別れたとはいえ、奥さんだったんだもの。サシャもクロードのことを知っていて当然、か)

 私と違ってサシャさんは背が高く、スタイルも良い。ひょっとして、クロードもこういう女性らしい人が好きなのかな。

 そう思うと、なんだか心がモヤモヤとする。


「なんだか視線が痛いね」
「そう思うのなら、少しは自重してください」
「ははは。仲良くなるためには、互いに胸の内をオープンにしておいた方が良いと思てさ」

 それが商談を上手く運ぶコツさ、と言って椅子の背もたれに寄り掛かる。
 だからって、もっとマシな話題のチョイスはなかったんですか。

(でも、なんだろう。まさかこうして元奥さんとお話をする日が来るとは、夢にも思わなかったな)


「あ、もしかして嫉妬しているのかい?」
「……」
「エミリーは分かりやすい子だねぇ。だけど、その心配は杞憂だよ。アタシとクロードは、キスすらしたことが無いんだから」
「――えっ?」



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