奴隷にされた美人聖騎士を助けたら、なぜか落ちこぼれ魔術師から賢者(笑)に成り上がっちゃいました~俺の奇声はルール無用のチート呪文~

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第8話 予想ガイ

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 あれから俺とエステルは、ヒキョンの住み家――ファースヘイムにある魔術ギルド支部へ意気揚々と向かった。……までは良かったのだが。

「……で、お前たちはノコノコと俺様の本拠地にやってきたと?」

「クッ、不覚だ……」
「クソッ、あんなにもあっさり捕まるなんて……」

 今の俺たちは手足を拘束された状態で、支部長室の中央に転がされていた。

 エステルは悔しげに歯噛みしながら、目の前の男を睨む。

 魔術ギルドの支部長、ヒキョン。年齢は20代前半ほどに見える大男だ。


「正面からやってくるなんて、お前ら馬鹿だろ。しかもそっちの魔術師。いきなり魔法を放ったかと思えば、初級の促成魔法って頭オカシイんじゃねぇのか!?」
「いやぁ、ははは」

 俺は苦笑いを浮かべながら頭を掻いた。

 おっかしいなぁ、どうして爆発しなかったんだろう?


「笑い事では済まないぞ、ガイ殿」
「だ、だよな……はははっ……」

 エステルは呆れたように首を横に振りながら、ため息をついた。

 マズいぞ……武器は奪われてしまったし、魔法も発動しなかった。当初の予定なんて何ひとつ上手くいかなかったな……。


「ククク。さっきはそこのクズのせいで邪魔が入ったが、こうして自分から会いに来たのなら許してやろう。どうだ、優しい御主人様だろう? じっくり調教して良い子になったら、お前の親父にお披露目してやるからな?」
「くッ……この外道が!」

 ヒキョンは下卑た笑みを浮かべながらエステルのあごを掴むと、無理矢理顔を上げさせた。エステルは顔をしかめるが、抵抗はしなかった。いや、隷属魔法のせいでできない状態なんだろう。せめてもの抵抗として、彼女は射殺すような鋭い眼光を向けた。


「おーおー、さすがは聖騎士サマだぜ。隷属させたっつーのに、まだ反抗的な態度を取れるとはな。いやぁ、そそるねぇ……」
「ヒキョン……貴族の男にあるまじき、なんと卑怯な真似を……」
「お? そうか? 男ならみんな、美女を言いなりにさせてぇって思っているはずだぜぇ? なぁ、魔術師クンよぉ?」

 やめろ、俺を見るな。そしてお前と一緒にするんじゃない。


「それに貴様、私にあんな甘い言葉を吐いておいて……本当は父上を救うつもりなど最初から無かったのだろう!!」
「なんだ、ようやく気が付いたのか? あの“辺境の鬼”と言われた英雄の娘とは思えない馬鹿っぷりだぜ」
「ぐぅ……」

 ヒキョンはヘラヘラとした軽薄な態度のまま答えると、エステルは悔しげに歯噛みした。

 おいおい、そんなに思い詰めなくてもいいじゃないか。
 だって、お前は初めっからこうなることを承知の上で付いてきたんだぜ? 俺がヒキョンの計画を見抜いた上で、敢えて乗ったことくらい分かってくれても良さそうなもんだが……。ま、その辺はコイツの性格上の問題か。


「まぁ、そんなに力むなって。……そうだ。せっかくだし、少し俺様のペットと遊んでいくか?」
「ペットだと?……なんだよ。どうして俺を見る!?」

 ヒキョンはなぜか俺のほうへ視線を向けると、ニタァと不気味な笑みを浮かべた。
 え、なに? 怖いんですけど?

  ヒキョンは俺の前まで来ると、しゃがみ込んで目線を合わせた。そして俺の頬に手を這わせる。

 うわ、キモチワルイ。鳥肌が立ったぞ。いったい俺になにするつもりだ!?


「テシーダ、そこの貧乏魔術師をその椅子に縛り付けろ。シッタパはアレをここへ連れて来い」
「――はっ? 椅子ってまさか、俺に拷問でもする気かよ!?」
「はい」
「分かりました」

 誰も俺の質問には答えない。手下たちはすぐに返事をすると、命令通りに行動を始めた。


「なっ! ガイ殿に何をする気だ!?」
「そ、そうだ! そこは俺じゃなくて彼女の方が先だろ!?」

 隷属魔法でエッチなことを強要するとかあるじゃん!? 男の俺をいたぶったって何も楽しくないだろ!!


「お前……」
「――ガイ殿?」

 あっ……ナ、ナンデモナイデスヨ?

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