擬態するカナリア ~担当になった男子高校生の患者が、女を絶対にイかせる系の人気イケボ配信者でした~

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後編:啼かせないでよ (主人公受け)

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「やっほー、満月君」

 ナース服のまま夕飯のお弁当を片手にやってきた私は、三度彼の個室へと訪れていた。

 ちょうど配信の準備が終わったみたいで、満月君はベッドの上でまったりと寛いでいる。とは言ってもここは病院なので、あるのは簡単なマイクとノートパソコンぐらいだ。

「満月君は普段、どんな配信をしているの?」

 やっぱりユベチューブかしら?
 学生だし、○○やってみたとかなのかな?
 いつもは見る側なので、今回は配信をする側を観れるとあってちょっとワクワクする。

「普段はねー、ASMRとつかってるよ」
「へっ? ASMRって、あの立体音響とかで実際に耳元で話されているみたいな感覚になる……アレのこと?」
「なんか最初はこのマイクを使ってたんだけど、もっといい機材使った方が良いよーって。でも僕はそんなお金ないし……って言ったら、リスナーのみんなが沢山送ってくれて」

 ASMRとか立体音響とか、下手すれば数十万以上する高価な機械だ。
 それを送ってくるリスナーとはいったい……?


「じゃあ始めたいんだけど……」
「あぁ、うん」

 ばれたらまずいので、ベッドサイドの照明を落としてから配信を始めることにする。
 右手が使えないと配信ボタンも押しづらいみたいだ。
 手伝うと言ったのだからそれぐらいはやるけども……



「あーあー、大丈夫かな? なんだか久しぶり過ぎて緊張する……リスナーさんきてくれるかなぁ」
「ふふふ、大丈夫だよ。来なくたって私が聞いててあげるから」

 チェックしていてほしいと言われ、スマホにイヤホンを繋げて聞く
 ベッドに腰かけて、配信画面の声の波を観ながら。
 幾つものウインドウがノートパソコンの画面に開かれていく。

「あ、これってもしかして」
「うん、僕のアバター。有志の人が僕をイメージして作ってプレゼントしてくれたんだよね」

 画面の端っこには黒じゃなくて銀色の髪をしている二頭身ぐらいの小さな満月君が居た。

 どうやって作ったのかは知らないけれど、満月君のちょっとタレ気味のクリクリな目、プニプニの頬っぺたといった特徴を良く捉えていて凄く可愛い。動くバージョンもあるのか、頭を左右に揺らしたり、ニッコリと微笑んだりしている。

 妄想でここまで描いたのだとしたら私はもう脱帽だね。


 そのチビ満月君に見惚れていたら、いつの間にか準備が整っていたようだ。

「恋枝お姉さん、どうしたの? もう始めるよ?」
「あっ、うん。ごめんごめん! いつでもいいよ!」

 いけないいけない。これから本番なんだった。
 配信するのを見るのは初めてだし、自分がやるわけじゃ無いのに緊張するなぁ。

 それにちょっと……テレビとかラジオの収録の裏側みたいでワクワクする。


 そんな私のことを見透かしたのか、満月君は左手で私の右手を掴むとマウスの上に置いて微笑んだ。
 どうやら私が満月君の代わりに放送のボタンを押させてくれるみたい。
 私は彼のその気遣いに甘えさせて貰うことにした。


 お互い目線を合わせた後、同時に頷く。最終確認はオッケーだ。

 そして私は画面の配信ボタンにカーソルを合わせて、深呼吸をひとつ。

 自分の心臓がいつも以上にドキドキしているのを自覚しながら、溜め込んだ息を吐いたタイミングに合わせて配信をスタートさせた。



 その瞬間、満月君の表情が一変した。


「やぁ、ひさしぶり」


(えっえっ!? だ、誰の声っ!?)

 イヤホン越しに私の耳に入ったのは、変声期が終わったばかりのような幼さの残る、やや擦れかかったハスキーボイスだった。普段はあんなにボソボソと喋っていたのに、スイッチが入ったかのように気弱な雰囲気なんて微塵も感じられない、スッと脳まで届くような声。そのギャップに、私の心臓が思わずドクンと高鳴った。

 そんな動揺しまくりの私なんて気付きもせずに、満月くんは画面に向かって話し続ける。

「ふふ、いっぱい待たせたちゃったかな? ごめんね、ちょっと事故に遭って今、病院なんだ……」

 普通の人間だったら思わず「だいじょうぶ?」と心配してしまうような、弱り切っている声色。実際にコメント欄も一瞬で心配するような文で埋め尽くされていった。
 中には久々の配信に狂喜乱舞で訳の分からないコメントで発狂している人までいる。
 初めて彼の配信を聞いた私でも、これは「あ、これは女をダメにさせる声だわ」と一撃で分からせられてしまった。

 でも、本当にあの満月君がこの声を……?

 隣りで久しぶりの配信を楽しそうに続ける満月君をじいっと覗く。
 ……彼の横顔からじゃ、満月君がどんな思いであんな声を出しているか分からない。



 たしかに、こんな庇護欲をそそるような甘えた言い方なんてズル過ぎるよ!!
 そして声を聞いただけでイッたとか嘘か本当か分からないような重症患者まで。
 この人こそ入院した方がいいんじゃ?とか内心思うレベルでお祭り状態になっていた。


「右手が思いっきりイッちゃってさ。もう色々と不便、なんだよね」

 言い方っ!? その言い方はちょっとどうなのよ?
 あぁもうう、妄想が天元突破したリスナーが恥も外聞も捨てて「オナニーは!?」「私が手伝ってあげる!!」「鼻血出る」とか言って暴走しちゃってるじゃないの……!!

 ていうかゴメン、そのお手伝いは私がさっきやってしまいました……

 すごかったよ? 彼のは……うん、はい。
 そのコメントを見た満月君がチラ、と私を見たので、ついスッと目を逸らす。
 本当にごめんって。お姉さん、可愛い男の子はついつい苛めたくなっちゃうんだよ……

 あの切なそうな表情でイッた時の満月君が一瞬フラッシュバックする。
 また機会があったらやってあげたいなぁ。
 ……バレたら怒られるどころじゃないけど。

 そんなことを考えている間も配信は淀みなく進行していく。


「だから今日は病室から配信するよ。機材も無いし、いつものASMRとかないけど……我慢できる?」

 我慢できなかったのはキミでしょぉおお!?
 あんな涙目になって段ボール箱に捨てられた仔犬みたいな顔をしていたのに、どの口でなにを仕方ないなぁみたいな感じでリスナーさんに「我慢できる?」とか聞いてるのよぉお!?

 だけどその返事はどれも肯定的なモノだった。
「声を聞けるだけで嬉しい」といった健気で優しいコメントから、「我慢するからご褒美ちょうだい?」といった変態さんまで。
 うん、この配信……通報したら一発で放送禁止になるだろうな。


「うん、ありがとう……みんな大好きだよ。今日は三十分ぐらいの短い時間だけど、俺についてきて」

 うっはぁ。お前はどこのアイドルだよ。
 いや、たしかにキレイな顔してるし声も……ぶっちゃけ私のドストライクだったけど、実際にそんなセリフを言っちゃう男の子が居るなんて。隣りで聞いてる私がキャーってなりそう。
 ネットアイドルかぁ……うーん、これは好きな人には沼にハマりますわ。


 これがまだ若干十八歳の高校生がやっているっていうのが、また恐ろしい。たぶん画面の向こう側の人たちは私と同じくいい大人だろうに……

 この子の将来がどうなっちゃうのか、赤の他人である私が無駄に不安に思っていたら、不意に肩をツンツンと突かれた。


「ん? どうしたの?」


 マイクに声が入らないように、そっと顔を近づけ合ってから話し掛ける。

「ねぇ、このあとプレイに入るから手伝って欲しいんだけど……」
「はあっ!? ぷ、プレイっ!? えっ、ちょっ、プレイって何!?」


 耳元でコショコショと話すだけなのに、なんかもうヤバイ。
 声が出ちゃいそうになるのをどうにか我慢していたのに、彼のプレイというワードにビクッと反応してしまった。だけど満月君はコショコショボイスを止めてくれない。

「シチュエーションボイスって言って、リスナーさんがリクエストしてくれた台本を僕が読み上げるんだけど……」

 あっ、もしかしてシチュエーションに合わせて声を当てるからロールプレイ……!!
 な、なんだ~それだけのことかぁ!!

 お姉さんてっきり、エッチなことかと思ってビックリしたよ。


「うん? でも、台本を読むだけなのに私が必要なの?」
「実はそうなんだよね。リアリティを出すために、ナマの環境音が要るからさ」

 ふーん、環境音? あぁ、演劇の効果音とかの一種なのかな? 私が普段見てるお笑いの動画でいうガヤの笑い声とか? それならなんとなく想像はつくし、出来る範囲ならやってあげるのはやぶさかではない。

 それに、このリスナーさんたちを満足させるお手伝いとか……なんだかちょっと面白そう。


「いいよ! 手伝うって言ったのは私なんだし、お姉さんに任せなさい」
「ありがとう! ふふ、言質は取ったからね?」
「えっ……言質?」

 ちょ、ちょっと!? なんなのよ、その怪しい言い方は!? 配信中と同じあの声で私の耳元で囁くのはやめてっ。

 ――ていうか今この子、こっちでも普通に喋ってなかった!?

 や、やっぱりそっちが素なの……??


 なんだか私が踏み入っていいレベルを超えてしまっている気がして、急に不安が押し寄せてきた。ううっ、やっぱり満月君に謝って止めさせて貰おう。
 涙目になってしまった私は、彼に泣きつこうとして口を開く。

 ……だけど、私があわあわしていた間に満月君はもうミュートを解除し、すでに配信に戻るところだった。

「お待たせ~。えっと、じゃあ今日はこんな状況だけどシチュボやるよ。ちなみに、たまに変な音が聞こえても許してね? それじゃ、リクエストある人はいつも通りよろしく」
「あっ、ちょっ……」
「ん? どうしたの?」
「えっ……あの……なんでもない、です」


 終わった……。もう私は後戻りが出来ない。
 完全に私の知らない世界だったことにもっと早く気付くべきだった。

 だって私がいつも見ている配信なんてゲームを実況したり、○○やってみただったりだよ?
 一人で缶チューハイ飲みながら、他の視聴者さんとワイワイ、ケタケタ笑って見ているだけだったのに!!


 ていうかそもそも、シチュエーションってどんなシチュエーションよ!?
 冷静に考えてみれば、あのケダモノのようなリスナーさんたちにリクエストなんてさせたら、絶対にロクなことにならないじゃない!!


 あぁ、もう。こうなったらヤケだ、どんなモノが来たってやってやろうじゃないの。
 ――あ、でもせめて普段はどんなのがくるのかを聞いてみよう。

「ね、ねぇ。いつも通りってどんなのが来るんですか……?」
「しーっ、声が入っちゃう。……まぁ見ててよ」

 思わず敬語で聞いちゃったけど、彼は質問に答えてくれなかった。
 その代わりに、左手で画面を指差した。

 私がスクリーンを覗いてみると、凄い勢いでデフォルメされた満月君のアバターがドカドカと降ってきているのが目に入った。


「な、なにこれ?」
「最初は普通にリクエストしていたんだけど、あまりにも応募が多くってさ。だから最近は課金アイテムでね、トップを取った人たちから抽選で採用するようにしているんだ~」
「か、課金ってこれ……この一瞬ですっごい額になっているんだけど……」


 これが満月君の収入源。
 パッと見でも私の時給を簡単に超えるような額だって分かる。たしかに一回の配信でこれだけお金を稼いでいたら色んな機材とか揃えられるよね。
 本人はあまりこの凄さを理解していないみたいだけど……。

「ええっと? それじゃあ今日はナオちゃんさん、にしようかな? いつも沢山の支援ありがとね!」

 当然のように阿鼻叫喚の嵐が巻き起こる。
 だけど選ばれた人を叩かないあたりが良く調教されているよね。
 内心はどう思っているか分からないけれど、満月君に嫌われたくないんだろうな。

 ランキング形式でつらつらとユーザーネームが一覧になっているけれど、一位の人は他の人を圧倒するような金額をつぎ込んでいた。たぶんこれって、上限いっぱいなんじゃないかなぁ。
 よく見たら名前の横に金色のトロフィーもついている。二位以下の人たちも、金銀の色は違えどトロフィーだらけだ。なんだか学校の応接室前にあるショーケースみたい。

 あぁ、うん。これ全部、満月君に捧げたって証なんだろうね。勲章をつけた人たちが「次は私を選んでー!!」ってコメントしてる。
 競争率は高い分、選ばれたときの嬉しさは相当だよね……


「それで? ナオちゃんさんが送ってきてくれたお題は……ふふっ。『放課後の教室で彼氏持ちなのに学園のアイドルである男子生徒にエッチな調教をされるシチュ』だって? キミ、相当良い趣味してるよね?」
「ぶふぉっ!?」

 いやいやいや、ダメでしょう!? アウトだよアウト!!そもそも、満月君はその男子高校生なんだよ!?

「わぁ」「いい!!」「うれしい」「私得だわ」じゃないよ!!

 それでなんでちょっと満月君も楽しそうにしているのさ!?


「じゃあ、時間も限られているし……さっそく始めようか」

 送られてきたテキストファイルを開いて「んっ、んっ」と喉の調子を確かめると、鋭い目つきになった満月君は真剣な表情で文字を読み上げ始めた。

「で? なんで俺を呼び出したの?」
「ふぅん? 俺とのエッチが忘れられないから、どうしても会いたくなったって? ……キミ、彼氏がいるからもうそういうのはしないって、そう言ってなかった?」

 満月君は何故か私の目を見ながら、挑発的な声を掛けてくる。
 ううっ……ただの演技なのに、私までなんだか罪悪感が出てきた。満月君は私を相手役だと思ってやってるのかな。もしかして、私もそれに乗っかっておいた方が良い?

 声は必要ないだろうし、こうして隣りに居るだけでいいんだろうけど……。

 リスナーも役に入り込んでいるのか「ごめんなさい」「これこれ!」「会いたかった」「エロい」といったコメントが流れている。


「しょうがないな……おいで?」
「えっ? わ、わたし……?」

 戸惑っていたら私の右手を掴まれて……

『チュッ……ちゅるっ……ちゅっ……』
「~~っ!?」

 手の甲にキスを落とされたかと思った次の瞬間にはもう、私の指が彼の口の中に飲み込まれてしまった。
 満月君の生暖かくて柔らかい舌が、私の人差し指を美味しそうに舐めしゃぶっている。

 くすぐったいような、ぞわぞわとした感覚が指を通してビリビリと脳を痺れさせてくる。
 ビックリして思わず手を引っ込めようとしても、意外に強い握力でガッチリ握られてしまっていて逃げられない。

「おい、逃げるなよ」
「んんっ……!!」

 抵抗したと思ったのか、完全に役に入ってる満月君にガリっ、と甘噛みされてしまう。

 それもまた刺激となって私の身体を駆け巡る。

 どうしよう、こんなので変な気分になってるだなんて。そ、そりゃあ男の人に攻められるのは嫌いじゃないけど。……ちょっとだけ好き。


「お前だってキス、好きだっただろ?」
「(そんなことっ……ああっ!)」


 そのまま手首をグイッと寄せられて、本物のキスをされてしまった。きっとさっきのお風呂場での仕返しのつもりなんだろう。

 でも舌を入れてくるのは反則っ!!


「声、出すなよ? 他の人にお前の声、聞かれても良いの?」
「(やあぁっ……それは嫌っ……)」


 こんな姿……しかも患者さんとイケナイことしてる場面なんて見られたらっ!!

 そう思うと更に顔が真っ赤になる。さっきまで指で感じていた感触がもっと敏感な部分で感じちゃう。

 満月君の味は歯磨き粉の味。
 だけど、不思議と嫌なモノじゃなくって、もっと甘い媚薬のような味がする。

 自分の舌じゃないものはまるで別の生き物みたいに私の腔内を侵略していく。
 ううん、正直に言っちゃうと、すっごく気持ちいい……。

 私の頭はもう、キスの快楽で現実世界に居ないみたいにボーっとしてきてしまっていた。


「俺とのキス、気持ちい?」


 コメント欄にあるのはもちろん、「はい」「興奮しちゃう」「大好き」。
 ……私も、おんなじ。


「ちゃんと正直に答えて偉いね。じゃあ、もっと気持ち良くしてあげる」
「(え……?)」


 もっとって……ま、まさか。


「指とオモチャ、どっちがいい? 好きな方で苛めてあげる」



「指が良い!!」「オモチャよりご主人様がいい!」というコメントがチラッと見えたけど、私はそれどころじゃない。
 本当に私を前戯する気なのこの子……!?


「ほら、おいで」
「(わたしっ!?)」
「逃がさないよ……ちゅっ」


 キスをされたかと思ったら、そのまま後ろから抱きしめられた。
 耳元と首筋をチロチロと蛇みたいに舌で擽られて、変な声が出そうになるのを必死に我慢する。だけど身動きが取れない、逃げられない。

 そして満月君の細い指が、私のナース服の中に入って来る。


「あっ……」
「すごい……もうグッチャグチャ……期待してたの?」
「(そんなことっ……)」


 だけど身体はどうしようもなく正直だ。
 はしたない水音が真っ暗の個室に響き渡る。
 ぼんやりと光るスクリーンに反射した満月君の顔が、怖い。


「熱い……それにキッツキツで狭いね。彼氏とシテなかったの?」


 ふるふると首を振って私は否定する。
 彼氏なんて存在は居ない。
 エッチをした男なんてアイツしかいない。
 だから何年も自分で慰める以外にはしていなかった。

 ずっとしていないって、満月君にバレちゃった……!?


 私のよりちょっとだけ大きな彼の中指が、私の膣内を攻略し始める。偶に入り口にあるぷっくりとした肉芽をカリカリって爪で擦ってくる。

 どの刺激も自分でするよりも、繊細で、巧みで、何よりキモチイイ。

 そして……容赦がない。


「あっ、もう二本入りそう。どうかな……あははっ、広がっていくね。そんなに俺の指、イイ?」


 もう何度もコクコクと頷いてしまう。
 私はもう彼に逆らえない。
 身体の主導権を満月君に奪われてしまっている。

 従順になった私を見て、満月君も満足そうだ。


「ンン……もうイク? 切なそうな顔になってるよ?」


 それも、また頷いてしまう。
 我慢していたけど、こっそり私は小さくイキまくっていた。
 だけど、本当はもっと深くイキたい。

 満月君で、イかせて欲しい。
 優しくなくていい、激しく、イカせてっ!!


「いいよ? 俺の指で……ほら、イケっ!!」
「(んあああっ!! イクっ……!!)」


 二本に増えた指で、私のドロドロにほぐされてしまった蜜壺の中をひと際激しくクチュクチュとかき回す。


 あっ、と思った瞬間――私の頭が、真っ白になった。同時に背筋がビクン、とのけ反り、脚がベッドの上でピンと伸びた。

 なんかもうキモチイイ以外、何も考えられない。
 感じたことの無い多幸感が全身を染め上げる。
 そんな時間がどれだけ過ぎたのか……次第にと弛緩して、満月君にもたれ掛かった。


「ふふふっ。激しくイッっちゃったね? すごく気持ち良さそうな顔してるよ……ちゅっ……」
「んんっ、ちゅうっ……ちゅるっ……」


 当然のようにキスを受け入れ、舌を絡ませる。
 脱力してすべてを任せた時のキスは、とても心地がいい。

 満月君ならぜんぶ、安心できる気がする。
 時間にして数分だったかもしれないけど、凄く幸せな時間。もっと、もっととキスをせがむ私はとてもはしたなかったと思う。
 だけど、我慢なんて出来なかった。


 しばらくすると、ゆっくりと満月君の顔が離れていく。

 どうしてやめちゃうの? そう思ったけど、彼は優しく首を振ってこう答えた。


「次は俺の事を気持ち良くさせてよ……もちろん、舐めてくれるよね? ほら、口開けて」
「(う、うそでしょ!?)」


 舐めるって、私が、満月君のアレをってこと!?
 少し我に返った私はまた挙動不審になるけれど、満月君はニッコリ笑ったまま。
 私の意思なんて問答無用で「やれ」と言っているんだろう。

 ふと彼の下半身を見れば、病院で支給しているパジャマの上からでもあのおっきな肉棒がパンパンに主張しているのが分かる。
 それを私に舐めろって……ことだよね?

 私がどうすればいいのか分かったのを察した満月君はコクンと頷く。


 うっ……どうしよう。断ることも出来るんだろうけど……
 私、満月君のおちんちん……舐めてみたいって思っちゃってる。自分をイカせてくれたように、満月君も気持ち良くさせてあげたい。


 気付けば自然と、私の手は彼のパジャマを降ろしていた。
 お風呂に入ったばかりなのに、満月君の雄の匂いがむわっと私を襲う。彼のイチモツはさっき見た時よりも立派にそそり立ち、どうしようもなく私を誘っている。我慢汁がカリをテラテラと怪しく光らせていた。
 間近で見ると恐ろしいほどに赤黒く、脈打つような太い血管が浮いていて、すごく男らしい。

 それが余計に私をこの淫靡な雰囲気に深く、深く酔わせていた。


 ――もう、難しいことは後で考えてしまえ。
 頭の中は完全にアヘっていた。配信のお手伝いなんて、もうとっくに忘れてる。今はもう、満月君のことをもっと知りたい。もっと、味わいたい。
 だから、あのバッキバキにそそり立っている肉棒に親愛とも言えるキスをした。


「……あむっ。ちゅっ、ちゅるっ……じゅるるっ」


 丁寧に、カリ周りから裏筋まで、アイスクリームを食べるように愛おしく舐め回す。少しずつ鈴口から透明な露がたらたらと涎のように溢れてきた。
 これでいいの?と上目遣いで彼の顔を見ると、すっごく悪い顔になっていた。


「ちゃんと俺のいいところ、覚えて? お前は俺のオナホになるんでしょ?」


 なんでそんな酷いこと言うの!?
 でもそんな思いとは裏腹に、私の下腹部は再び熱を持っていた。

 この私のフェラをしている音をたくさんのリスナーが聞いているっていうのも興奮を助長させているんだと思う。
 まさか満月君が私に対して本当にエッチなことをしているのを、そのまま配信をしているなんて想像もしていないだろうけど。


「そうそう……ううっ、もっと奥まで入れて。喉も締めて? うん、いい子いい子。ちゃんと上手くなるように俺が調教してあげるから。」
『じゅっ……。じゅぽっ、じゅぽ……!』


 その答えは口淫で返す。満月君も私の頭を優しく撫でてくれている。
 それがもう嬉しくて、気持ち良くて。
 私は夢中で彼のおちんちんをしゃぶっていた。


「んああっ、いい。いいよ……ほら、こっちみて? 口の中ちゃんと味わって、そのまま……噛んだらお仕置きだから」
「んんっ、んんんっ……」


 優しかったのに頭を押さえつけられた。
 急に無理やり奥まで、彼の熱くて、太くて、キノコ並みにエラの張ったカリが私を犯す。完全に私、オナホ扱いだ。
 でも、その度に私のアソコはジュワっとくる。


「え? 口に出されたいって? それとも掛けて欲しい?」
「(私の中に欲しいっ……!!)」


 もう私のストッパーは壊れていた。
 ただただ、満月君が欲しい。
 満月君のおちんちんで私を犯して欲しい。


 嗚咽する苦しさと喜びで涙目になった瞳を使って、精いっぱいの誘惑をする。
 余裕も恥じらいも無い、ただのおねだりだ。



「なに? どこに欲しいの? 俺とヤってる時は正直になれっていったよね?」


 満月君の性奴隷となった私は、名残惜しそうに肉棒からヨダレ塗れになった口を離すと、彼の耳元で熱い吐息交じりにこう言った。


「ください……満月くんの、立派なおちんちん、恋枝のオマンコに突っ込んで? たくさんほじって……犯してくださいっ」


 遂に、言ってしまった。
 年上の威厳なんて、もはや微塵も残っていない。
 いま私の頭にあるのは、雌が雄にただ精をねだるだけ。


「俺の匂い、他の男の前でも取れなくしてあげる。安心して、ちゃんと許してっていっても……もう、やめてあげないから」
「(いいの……はやく、私に満月君を刻み込んで……)」


 満左手でドン、とベッドに押し倒される。
 完全に彼の眼はケダモノのソレだ。
 私を凌辱し、犯すことしか考えていない。
 だけど、それにどうしようもなく喜んでしまっている。


「自分で、脱いで。おねだり、ちゃんとシテ?」


 言われたとおりに、ナース服のパンツを脱ぐ。
 彼が入れやすいように、開脚して準備を整える。
 アソコは既に、さっきの前戯の余韻で濡れきっていた。


 私は口パクで「おねがい、します」と訴える。
 ジュクジュクになった心が、はやく、はやくと彼を求めている。

 ゆっくりと、彼が私に覆いかぶさった。


「(ああああっ……!!)」
「あっつい……お前の中、トロットロじゃん。ふふふっ、もう答える余裕もない?」


 ――正解。
 私は彼のエグいほどに膨れ上がったカリ首を入れられただけで、一度イッてしまっていた。これは指でも、オモチャでも味わえない、特別の感覚。

 私の秘所が異物を飲み込んだんじゃない。侵略されたのだ。
 先っぽをまるで味見をするかのようにズクズクと出し入れされるだけで、完全に降伏の白旗を上げていた。
 これが奥まで達せられてしまったら、私はどうなってしまうのか。


「ほら、こっちみて? キスしながら犯してあげるから」


 ギュッと閉めていた目蓋を開けて、声のする方を見てみるとそこには満月君の顔が。
 そのままキスをして、上も下もゆっくりと満月君が入って来る。


 これで二回目。
 今度は深くイッた。
 声にならない喘ぎ声が、ただの息となって喉から抜けていく。その代わりに身体はブルブルと震えて絶頂を彼に伝える。
 だけど彼はやめるどころか、さらに激しい抽挿を開始する。


「(いくっ、いく、いくいぐっ!!)」
「もっとイケ。何度でも、俺じゃなくちゃイケない身体になるまで、教え込んでやるから」


 極太の剛直が、私の中で暴れている。
 曲がることも、折れることも無く、一直線に私の奥に向かって貫くのだ。溢れ出る愛液が潤滑油となり、一層の速さを持って私を攻め立てる。
 数え切れないほどの絶頂が私を襲い、意識を失いかける度に更なる刺激が覚醒させる。


 あの私の初体験とは、いったい何だったのか。
「こんなものか」と思って彼氏も作らず過ごしたこの数年が恨めしい。

 いや、これは恐らく満月君だからなのだ。
 満月君じゃなきゃ、このキモチイイことは教えてくれなかったはず。


 そう思うと、余計に彼が愛おしくなってくる。
 自分を天国に導いてくれる彼が天使のようで……絶頂の地獄に落とす意地悪な悪魔のようで。
 彼の腰に抱き着いて、自分でも腰を振っていた。
 もっと一緒に気持ち良くなりたい。
 その一心で。


 ――だけど、私が先にダウンした。
 仕事で体力をつけているのに、情けない。
 涎も、汗も、愛液も。体液塗れのだらしない姿でベッドに転がされていた。


 ……満月君はまだ、イッてない。
 私が一度お風呂でイカせてしまったのが原因かもしれない。

 満足しきっていない彼は、冷めた目付きで私をうつ伏せにさせた。



「(どうしたの? もう私に飽きちゃった……?)」


 だけどそれは間違いだった。


 ――パァン!!


「(ひぐうっ!?)」


 ――パァン!!!!


「(い、痛いよ満月君!! なんでお尻を!?)」
「なに一人で満足してるのかな~? 俺、まだイッてないんだけど?」


 ご、ごめんなさい。
 だけど、私はもう動く気力がないよ……


「仕方ないなぁ~。ま、いいよ。勝手に犯すから」
「(ま、まだ挿れるの!?)」


 振り返る前に、私の腰が持ち上げられ、お尻を彼に突き出す姿勢にさせられてしまった。
 そしてまた、大きさを失っていない肉棒を、だらしなく緩みきった私の中へと挿入した。


 パァン、パァン、と身体を打ち付ける音が再び木霊する。

 彼の体力は無尽蔵なのか?
 若いって凄すぎる。

 そして後背位なせいで、彼の反りがエゲつないほどに私の膣内を擦り上げる。もうイケ無いと思っていたのに、また絶頂地獄にどっぷりとハマってしまう。

 今まで出したことも無いような、くぐもった呻き声が自分から出ている。


「怖い? やめないよ?」
「(ゆるしてっ、もうイクのつらいよぉっ)」
「だーめ。 どう、今までの男と比べて? 俺のチンコ」
「(全然ちがうっ、すごいっ、すごいのぉ……)」
「じゃあ今から俺のオナホになる?」
「(なるっ、なりますっ。オナホでも性奴隷でもっ。だから、ご主人様……もっとぉ)」


 もう、こんなの味わったら満月くんでしかイケなくなっちゃう。

 満月君が、私のご主人様になってくれたら、たくさん可愛がって、イカせてくれるんだもん。ちょっとイジワルだけど、ちゃんと私を導いてくれる。
 だから、だいすき。


「もうすぐイクからちゃんと締めて? ねぇ、どこに欲しい?」
「(そのままっ、満月くんのちょうだいっ、ご主人様の子種、恋枝の奥にっ!)」


「ふふっ、ちゃんと言えたね。偉いえらい。心配しなくても、もう俺のこと忘れさせないように、ぜんぶ恋枝の膣内に注いであげる。一滴残らず、味わって」



 私の髪を後ろからグイっと引っ張りながら、優しい言葉で最低なセリフを吐いた。

 だけど、嬉しい……!!
 そう思った瞬間、ご主人様のおちんちんが熱く、ぶるぶると震えて膨らんだのが分かった。



 ――どぴゅっ。


 愛しいご主人様の、熱くてドロドロしたものが私の一番奥で爆発した。

 その瞬間、私の目の裏がチカチカして、だらしなく舌も口から伸びきって。とんでもない程の快楽が何度も押し寄せ、私の脳をショートさせる。

 身体も怖いぐらい痙攣した後、スイッチが切れたようにブラックアウトした。



 次に目が覚めた時、私は個室にあるソファーに寝かされていた。下着姿だったけど、ナース服はキチンと折りたたまれてテーブルの上に置かれていた。

「あ、れ……? 私、どうしちゃったんだろう……」

 むくりと起き上がると、そこにはやっぱり満月君が居た。ベッドの上で、ノートパソコンを見ながら何かをタイピングしている。

 もしかして、夢だったの……? でも、下着姿だし……。

「あ、起きた? 恋枝お姉さん、あれから気を失っちゃったから僕、かなり焦ったんだからね?」
「う、うん……ごめんね? 介抱してくれてありがとう……」

 あれ? もう、いつもの満月君に戻ったようだ。
 優しい笑顔で、私のことを心から心配してくれている。

 だけど、私のアソコから白い液体がツツーと流れ落ちていく。


「そ、それで、その……ごめんなさい、お姉さん。僕、つい調子に乗って……」

 あぁ、それでちょっと気まずそうな顔をしていたのね。あの凛々しい満月君もカッコいいけど、可愛い彼も好き。

「心配しないで。私、普段からピル飲んでるし、今日はもともと大丈夫な日だから」
「そっかぁ……良かった!!」

 花が咲いたように、ぱああぁと明るくなった。
 さすがに高校生でパパになるのは可哀想だよね。

「そういえば配信は?」
「もう切ってあるよ。ていうか、途中から時間が過ぎて強制的に終わっちゃってたみたい」


「もうだめ」「いく」「エッッ」という事後報告がコメント欄に残っていた。
 そしておびただしい数の投げ銭が乱れ飛んでいた。
 どうやら今までで最高の金額がこの放送内で貢がれたみたい。
 正直、私の日給を優に越えていた。


 なんにせよ、画面の先のリスナーたちも満月君の声でイキまくり、大変ご満足いただけたらしい。
 どこまで配信されていたのかは気になるところだけど……うん、これなら大丈夫だったみたい。


「満月君、途中で私の名前呼んでたでしょ? アレ、次からは本当に止めてね?」
「あっ……ご、ごめんなさい!! うん、分かったよ……って、次?」


 ポカーンとした表情で、私を見上げる満月君。
 ふふふ、私がこんなオイシイこと、逃すとでも思っているの?
 せっかく見つけた優良物件なんだもの……!!


「当たり前でしょ? 少なくとも退院までの期間、私が居なきゃ配信は許しませんからね。……末永くよろしくね? 私のご主人様?」

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