2 / 57
第2話 力と権力に溺れた女冒険者が呪いで聖女になったので、解呪のために男から金を奪おうとする話。
しおりを挟む
「……それで? お前はどうして俺のところに来たんだ?」
俺は今、自室の執務室の椅子に座り、聖女ミカに向かって冷たく言い放った。
一方の彼女は、首根っこを掴まれた猫のように、シュンとして縮こまっている。
「お騒がせして、すみませんでした……」
「いいから、早く要件を言え。俺も忙しいんだ」
まったく、突然やって来たかと思えば、いきなり家の玄関で脱ぎ始めやがって。
邪な奴を浄化する聖女の癖に、コイツが一番邪悪だったぞ!? 近所の奴から、俺が変態だと思われたらどうするんだ。
「実は私、とある呪いにかかっておりまして」
「はぁ? 呪い? なんだ、それは。変態にでもなる呪いか?」
「ちっ、違いますよぉ!! そんなエッチな呪いなんかじゃありません!!」
よっぽど癪に障ったのか、ミカという聖女は赤面してローブの裾を握りしめる。
いや、呪いじゃない方が問題だと思うんだが? 素でヤバい奴ってことじゃないか。
早くも俺は目の前の痴女を屋敷から追い出したい気分になったが、他に少し気になるところがある。
コイツ自身には興味なんて一切無いが、今コイツの口から出た『呪い』という言葉は別だ。呪いは代償と引き換えに、人間の願いを叶えるという特徴がある。
つまり今の俺の状況とも、何かしらの関係がありそうだ。
コイツを追い出すのは、もう少しだけ話を聞いてからにしよう。
「今は聖女として教会で働いていますが、少し前までは冒険者をしていたんです。自分で言うのもなんですが、腕はかなり良かったんですよ?」
「ふむ、冒険者か……」
ふふん、と胸を張ってドヤ顔をしているミカはさておいて。
冒険者といえば、探索困難なフィールドやダンジョンでモンスターを倒し、財宝を得るという職業の人間だ。特にダンジョンは神が人間に試練を与える代わりに、様々な恩恵を与えてくれる場として人気がある。
俺が今居るガルデン王国も、貴重な資源をもたらしてくれる冒険者を優遇しているぐらいだしな。
まぁその分、多くの人間が冒険者として活動している。
要するに、実力がピンからキリの奴まで居るってこった。その中で本当に優秀だといえる人材は、極僅かだと言える。
「本当ですよ!? こう見えて、魔法の扱いは天才的なんですから~。難関なダンジョンだって、何度も踏破しましたからね! あ、そうだ。国選のバッジも持っていました!」
「おぉ、凄いじゃないか。国選って、王に認められた証だろ。この国には十人ぐらいしか居ないって話だし」
国選ってのは、いわゆる国のお抱え冒険者だ。他の国に優秀な冒険者が流出しないように、豪邸や金を用意して囲い込むってやつだな。
「ありとあらゆる名誉を手に入れた私は、それはもうノリに乗っていました」
「いいんじゃねーの? 国選まで行ったら、そりゃあもう誇っていいと思うぜ」
「えぇ、ありがとうございます。ですがその誇りも、そう長くは続きませんでした……」
それまで自信満々に語っていたミカが、あからさまにシュン、とした態度になった。
どうしたんだ? 何かやらかして、クビになったのか?
「ある日の私は、ダンジョンの最奥でとある宝玉を手に入れたんです」
「宝玉? そうか、宝玉か……それで?」
「私はそれが、伝説の『願いを叶える秘宝』だとすぐに分かりました。だからその場で、願ったんです。――誰にも負けない力が欲しい、と」
あぁ、やっぱりな。
その宝玉っていうのは、俺が持っていたやつと同系統のシロモノだろう。
俺が宝玉を使ってアンデッドになったのと同じように、ミカも宝玉に願いを叶えてもらったってわけか。
つまり呪いとは、やはりその代償があったってことだろう?
「……御想像の通りです。そのせいで『持っている物が無ければ無いほど、強くなれる』というヘンテコな呪いが私についてしまいました」
「おおう……」
うーん、何と言うかまぁ。
俺とミカのケースだけでも、呪いってのは結構タチが悪いってのは分かった。
あの宝玉を創り出した奴が居るとするならば、相当性格が悪いよな。
願いを叶える代わりに、ソイツにとって一番大事なモノを奪うことになるんだから。
「もう最悪ですよ!! お金や肩書きを持っている限り、私は雑魚冒険者なんですよ!? 私の築き上げた栄誉が! 力が!! この『無償の愛』なんて呪いのせいで、ぜーんぶ無くなっちゃったんです!!」
思い出して苛立ったのかは知らないが、ダンッダンッと持っている杖を床に突き刺すように叩く。
コイツ、ここが俺の屋敷だって分かっているのか?
「ミカが望んだ力ってのは、アレか? 冒険者としての実力だけじゃなく、権力も含めてなのか」
「当ったり前です!! それさえあれば、他人なんて私の思い通りになるんですから。あの尊敬の眼差しを受ける優越感。女だからと舐めてかかった男たちをひれ伏させる達成感……あぁ、きもちいいぃっ」
俺の目の前で、ミカは銀色の長髪を振り乱しながら、自分の身を抱えてブルッと震えた。
「うわぁ、思った以上にヤベェなコイツ」
あー、なんだ。何となく分かった。コイツ、種類は違うけど俺と同族だわ。
こんな変態と同じだとは思いたくもないが、たぶん俺が金を見ている時も似た顔をしているんだと思う。
「おーい、そろそろ戻って来い。頼むから他人の家の床を汚さないでくれよ?」
「え? あっ……コホン。失礼しました。という訳で国選だった私は、ただの雑魚に逆戻りしました。途方に暮れた私は仕方なく、教会を頼ることにしたんです」
「ここで教会が出て来るのか……」
「実際に頼ったのは、厳密には教会というよりも、トップの教皇様にでしたけどね」
なんでも教皇は、宝玉の呪いを解除することができるらしい。
しかしそのためには、とんでもない額の寄付が必要だった。
悩んだ末、ミカは名誉を取り戻すために、所持していた全ての財産を手放したそうな。
「それでもお金は足りませんでした。絶望する私に教皇様は、『聖女として生活し、教会に貢献をすれば呪いを解く』と仰いました。だから私、ジャトレさんの噂を聞いた時、ピーンと来たんです!!」
ん、どうしてそこで俺が出て来るんだ?
ミカはそれまで深刻そうに話していたのに、突然明るい声になった。さらには持っていた蒼い宝石付きの杖を俺に向け、喜色満面の表情をしている。
っていうかその杖に嵌まってるのって、呪いの宝玉じゃねぇか!!
「おいおい。ピーンと来たってお前まさか、俺を浄化する気か! あわよくば屋敷の財宝まで奪う気だろ!?」
「えへっ、バレちゃいました……?」
「お前ッ……俺の屋敷から今すぐ出ていけ!! さもなきゃ殺すぞ!!」
すっかり死んだはずの表情筋を無理矢理動かし、怒りの形相を見せる。
ここまで理由を聞いてやったのに、コイツはなんてことを言いやがるんだ。
結局は、俺の大事な財宝を奪いに来たってことじゃねぇか。
ってことはだ。コイツは客なんかじゃねぇ、俺の敵だ。
「ま、待ってください!! だから言ったじゃないですか。私のカラダを好きにしていいって! 一発ヤったら大人しく成仏してくださいよぉ!!」
「だから言い方ァ!! そもそもこっちは金の亡者だ。生憎と金以外には執着してねぇんだ。オンナなんて興味無いんだよ!」
「えっ……もしかして、男色?」
「そういう意味じゃねぇ!!」
もういい。こいつは賊と違って、生かしておいても得が無い。
屋敷の中だし、今この場でやっちまうか……?
しかし当の本人であるミカは、俺の殺意を受けても余裕の表情だ。
「ふふふっ。良いんですかぁ? 私だって、紛いなりにも聖女なんですよ? ジャトレさんごとき、一発で昇天させちゃうんですから」
「ははは! だからどうした。胸しか誇るところのない貧乏聖女が、俺に何をするって言うんだ?」
「む、胸しかっ……ふふっ、ふふふふ。良いでしょう。そんなにも死にたいのでしたら、私が天国に送って差し上げますよ!!
ミカは杖を振り上げ、呪文を唱え始める。
魔力が急速に高まっていき、杖の宝石に力が集まっていくのが俺にも分かった。
たしかに、中々の魔力だ。詠唱もクソ早い。腕が良かったっていうのも頷ける。
……ていうかこいつ、マジで容赦ねぇな。本気で俺を滅殺しにきてやがる。
「さぁ! 覚悟はできましたか!?」
「おい、無駄なことはやめ……!!」
「だーめ♪」
胸をぶるんぶるんさせながら、恍惚の表情で俺に魔法を放つ。
やべぇ、コイツ。トリップしてやがる……!!
「必殺☆ターンアンデッド!!」
魔法の発動と共に、聖なる魔力の奔流が俺の部屋を埋め尽くす。
こりゃすげぇ。
マトモなアンデッドだったら一瞬で塵となるレベルの大魔法だ。
「やった……かしら?」
魔力が可視化された光が収まった後、部屋にはミカだけが立っていた。
「ふっ、ふふ……ふふふふっ!! やった、倒した!! やーい、ジャトレさんのざぁこ♡ ざぁこ♡」
「……随分と機嫌が良さそうだな?」
「もちろんですっ! やっぱり魔法で敵を消し去るって、とってもキモチイイですから!」
「そうか、良かったなぁ」
「はいっ!! さぁって、邪魔は消えたし♪ 私のお宝ちゃんを探さなきゃ♪」
ミカは「私のお宝はどこかな~?」と、ルンルン気分で俺の部屋を荒らし始める。
それを俺は、床に座ったまま見詰めていた。
「気は済んだか? この気狂い聖女」
「……あ、あれ?」
ミカは狂喜乱舞したポーズのまま、首だけ動かして俺の方を振り返る。
そう。当たり前だが、決して俺は昇天なんかしていなかった。
「え、えへへ……あれ? な、なんで?」
うん、決めた。
やっぱりコイツは、今ここで殺そう……!!
俺は今、自室の執務室の椅子に座り、聖女ミカに向かって冷たく言い放った。
一方の彼女は、首根っこを掴まれた猫のように、シュンとして縮こまっている。
「お騒がせして、すみませんでした……」
「いいから、早く要件を言え。俺も忙しいんだ」
まったく、突然やって来たかと思えば、いきなり家の玄関で脱ぎ始めやがって。
邪な奴を浄化する聖女の癖に、コイツが一番邪悪だったぞ!? 近所の奴から、俺が変態だと思われたらどうするんだ。
「実は私、とある呪いにかかっておりまして」
「はぁ? 呪い? なんだ、それは。変態にでもなる呪いか?」
「ちっ、違いますよぉ!! そんなエッチな呪いなんかじゃありません!!」
よっぽど癪に障ったのか、ミカという聖女は赤面してローブの裾を握りしめる。
いや、呪いじゃない方が問題だと思うんだが? 素でヤバい奴ってことじゃないか。
早くも俺は目の前の痴女を屋敷から追い出したい気分になったが、他に少し気になるところがある。
コイツ自身には興味なんて一切無いが、今コイツの口から出た『呪い』という言葉は別だ。呪いは代償と引き換えに、人間の願いを叶えるという特徴がある。
つまり今の俺の状況とも、何かしらの関係がありそうだ。
コイツを追い出すのは、もう少しだけ話を聞いてからにしよう。
「今は聖女として教会で働いていますが、少し前までは冒険者をしていたんです。自分で言うのもなんですが、腕はかなり良かったんですよ?」
「ふむ、冒険者か……」
ふふん、と胸を張ってドヤ顔をしているミカはさておいて。
冒険者といえば、探索困難なフィールドやダンジョンでモンスターを倒し、財宝を得るという職業の人間だ。特にダンジョンは神が人間に試練を与える代わりに、様々な恩恵を与えてくれる場として人気がある。
俺が今居るガルデン王国も、貴重な資源をもたらしてくれる冒険者を優遇しているぐらいだしな。
まぁその分、多くの人間が冒険者として活動している。
要するに、実力がピンからキリの奴まで居るってこった。その中で本当に優秀だといえる人材は、極僅かだと言える。
「本当ですよ!? こう見えて、魔法の扱いは天才的なんですから~。難関なダンジョンだって、何度も踏破しましたからね! あ、そうだ。国選のバッジも持っていました!」
「おぉ、凄いじゃないか。国選って、王に認められた証だろ。この国には十人ぐらいしか居ないって話だし」
国選ってのは、いわゆる国のお抱え冒険者だ。他の国に優秀な冒険者が流出しないように、豪邸や金を用意して囲い込むってやつだな。
「ありとあらゆる名誉を手に入れた私は、それはもうノリに乗っていました」
「いいんじゃねーの? 国選まで行ったら、そりゃあもう誇っていいと思うぜ」
「えぇ、ありがとうございます。ですがその誇りも、そう長くは続きませんでした……」
それまで自信満々に語っていたミカが、あからさまにシュン、とした態度になった。
どうしたんだ? 何かやらかして、クビになったのか?
「ある日の私は、ダンジョンの最奥でとある宝玉を手に入れたんです」
「宝玉? そうか、宝玉か……それで?」
「私はそれが、伝説の『願いを叶える秘宝』だとすぐに分かりました。だからその場で、願ったんです。――誰にも負けない力が欲しい、と」
あぁ、やっぱりな。
その宝玉っていうのは、俺が持っていたやつと同系統のシロモノだろう。
俺が宝玉を使ってアンデッドになったのと同じように、ミカも宝玉に願いを叶えてもらったってわけか。
つまり呪いとは、やはりその代償があったってことだろう?
「……御想像の通りです。そのせいで『持っている物が無ければ無いほど、強くなれる』というヘンテコな呪いが私についてしまいました」
「おおう……」
うーん、何と言うかまぁ。
俺とミカのケースだけでも、呪いってのは結構タチが悪いってのは分かった。
あの宝玉を創り出した奴が居るとするならば、相当性格が悪いよな。
願いを叶える代わりに、ソイツにとって一番大事なモノを奪うことになるんだから。
「もう最悪ですよ!! お金や肩書きを持っている限り、私は雑魚冒険者なんですよ!? 私の築き上げた栄誉が! 力が!! この『無償の愛』なんて呪いのせいで、ぜーんぶ無くなっちゃったんです!!」
思い出して苛立ったのかは知らないが、ダンッダンッと持っている杖を床に突き刺すように叩く。
コイツ、ここが俺の屋敷だって分かっているのか?
「ミカが望んだ力ってのは、アレか? 冒険者としての実力だけじゃなく、権力も含めてなのか」
「当ったり前です!! それさえあれば、他人なんて私の思い通りになるんですから。あの尊敬の眼差しを受ける優越感。女だからと舐めてかかった男たちをひれ伏させる達成感……あぁ、きもちいいぃっ」
俺の目の前で、ミカは銀色の長髪を振り乱しながら、自分の身を抱えてブルッと震えた。
「うわぁ、思った以上にヤベェなコイツ」
あー、なんだ。何となく分かった。コイツ、種類は違うけど俺と同族だわ。
こんな変態と同じだとは思いたくもないが、たぶん俺が金を見ている時も似た顔をしているんだと思う。
「おーい、そろそろ戻って来い。頼むから他人の家の床を汚さないでくれよ?」
「え? あっ……コホン。失礼しました。という訳で国選だった私は、ただの雑魚に逆戻りしました。途方に暮れた私は仕方なく、教会を頼ることにしたんです」
「ここで教会が出て来るのか……」
「実際に頼ったのは、厳密には教会というよりも、トップの教皇様にでしたけどね」
なんでも教皇は、宝玉の呪いを解除することができるらしい。
しかしそのためには、とんでもない額の寄付が必要だった。
悩んだ末、ミカは名誉を取り戻すために、所持していた全ての財産を手放したそうな。
「それでもお金は足りませんでした。絶望する私に教皇様は、『聖女として生活し、教会に貢献をすれば呪いを解く』と仰いました。だから私、ジャトレさんの噂を聞いた時、ピーンと来たんです!!」
ん、どうしてそこで俺が出て来るんだ?
ミカはそれまで深刻そうに話していたのに、突然明るい声になった。さらには持っていた蒼い宝石付きの杖を俺に向け、喜色満面の表情をしている。
っていうかその杖に嵌まってるのって、呪いの宝玉じゃねぇか!!
「おいおい。ピーンと来たってお前まさか、俺を浄化する気か! あわよくば屋敷の財宝まで奪う気だろ!?」
「えへっ、バレちゃいました……?」
「お前ッ……俺の屋敷から今すぐ出ていけ!! さもなきゃ殺すぞ!!」
すっかり死んだはずの表情筋を無理矢理動かし、怒りの形相を見せる。
ここまで理由を聞いてやったのに、コイツはなんてことを言いやがるんだ。
結局は、俺の大事な財宝を奪いに来たってことじゃねぇか。
ってことはだ。コイツは客なんかじゃねぇ、俺の敵だ。
「ま、待ってください!! だから言ったじゃないですか。私のカラダを好きにしていいって! 一発ヤったら大人しく成仏してくださいよぉ!!」
「だから言い方ァ!! そもそもこっちは金の亡者だ。生憎と金以外には執着してねぇんだ。オンナなんて興味無いんだよ!」
「えっ……もしかして、男色?」
「そういう意味じゃねぇ!!」
もういい。こいつは賊と違って、生かしておいても得が無い。
屋敷の中だし、今この場でやっちまうか……?
しかし当の本人であるミカは、俺の殺意を受けても余裕の表情だ。
「ふふふっ。良いんですかぁ? 私だって、紛いなりにも聖女なんですよ? ジャトレさんごとき、一発で昇天させちゃうんですから」
「ははは! だからどうした。胸しか誇るところのない貧乏聖女が、俺に何をするって言うんだ?」
「む、胸しかっ……ふふっ、ふふふふ。良いでしょう。そんなにも死にたいのでしたら、私が天国に送って差し上げますよ!!
ミカは杖を振り上げ、呪文を唱え始める。
魔力が急速に高まっていき、杖の宝石に力が集まっていくのが俺にも分かった。
たしかに、中々の魔力だ。詠唱もクソ早い。腕が良かったっていうのも頷ける。
……ていうかこいつ、マジで容赦ねぇな。本気で俺を滅殺しにきてやがる。
「さぁ! 覚悟はできましたか!?」
「おい、無駄なことはやめ……!!」
「だーめ♪」
胸をぶるんぶるんさせながら、恍惚の表情で俺に魔法を放つ。
やべぇ、コイツ。トリップしてやがる……!!
「必殺☆ターンアンデッド!!」
魔法の発動と共に、聖なる魔力の奔流が俺の部屋を埋め尽くす。
こりゃすげぇ。
マトモなアンデッドだったら一瞬で塵となるレベルの大魔法だ。
「やった……かしら?」
魔力が可視化された光が収まった後、部屋にはミカだけが立っていた。
「ふっ、ふふ……ふふふふっ!! やった、倒した!! やーい、ジャトレさんのざぁこ♡ ざぁこ♡」
「……随分と機嫌が良さそうだな?」
「もちろんですっ! やっぱり魔法で敵を消し去るって、とってもキモチイイですから!」
「そうか、良かったなぁ」
「はいっ!! さぁって、邪魔は消えたし♪ 私のお宝ちゃんを探さなきゃ♪」
ミカは「私のお宝はどこかな~?」と、ルンルン気分で俺の部屋を荒らし始める。
それを俺は、床に座ったまま見詰めていた。
「気は済んだか? この気狂い聖女」
「……あ、あれ?」
ミカは狂喜乱舞したポーズのまま、首だけ動かして俺の方を振り返る。
そう。当たり前だが、決して俺は昇天なんかしていなかった。
「え、えへへ……あれ? な、なんで?」
うん、決めた。
やっぱりコイツは、今ここで殺そう……!!
0
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
果たして、阿宮は見知らぬ世界でどう生きていくのか————。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる