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第1話 金の亡者が“呪いの宝玉”で正真正銘のアンデッドになり、そこへ天敵である聖女がやってくる話
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ノーマネー、ノーライフ。
金を集めることこそ、我が人生。
これが22年生きてきた俺の生き様だ。
ふふふ、金というのは良いよなぁ?
金さえあれば飛ぶ鳥も落ちるという格言があるように、世の中で起きる大抵の面倒事は金で解決できる。
誰が考えたのかは知らないが、実に良い言葉だ。
俺はポリシーに従って金を集め、誰にも奪われないように屋敷に溜め込んだ。
……もちろん、全てが順調とはいかなかった。
俺の財宝を狙った盗賊がやって来たのだ。
油断していた俺は奴らに襲われ、死に掛けた。
だが思い出してほしい。
俺には金がある。
『面倒事は金で解決』
持っていたとある財宝のお陰で、俺はアンデッドとして復活した。
「クックック。誰にも俺の金は譲らん。悪魔が来たって渡すもんか」
――だがやっぱり現実はそう甘くは無かったようだ。
悪魔の代わりに、聖女がやってきたのだ。
「すみませーん、ジャトレさんは居ますかー?」
それはとある日の昼下がり。
招かねざる客は突然、アポもなくやってきた。
「あのー、わたしぃー。教会の方からやって参りました、聖女のミカと申しますがー」
「……あん? クソがめつい教会の聖女が何の用……え?」
教会の聖女。
神聖な浄化魔法を使う、アンデッドの天敵――。
扉の向こうの人物は、間違いなくその“聖女”だと名乗った。
自分ん家の玄関で固まる俺の背中に、冷ややかな汗が流れた気がした。
アンデッドは汗なんてかかないはずなのに。
「もしもーし? 居ないんですか~? 勝手に入りますよ~?」
もう泣きそうだった。
新手の詐欺だと信じたかった。
実は教会方面からやってきた普通の人ってオチにならないか、俺は初めて神に祈った。
おそるおそる、玄関にある隠し窓からミカと名乗った人物を確認する。
見えるのは、ロングの銀髪で胸の大きな女の子。たぶん、18歳ぐらいだろうか。
ふーん、歳の割に育っているな……。
――って違う、今はそんな部分を気にしている場合じゃない。
身の回りは魔法発動用の杖、聖女特有のローブ。そしてあの聖の気を纏った佇まい。
「ま、まずい!! ありゃ本物の聖女じゃねぇか!! コイツ、俺を浄化しに来たのか!?」
クソッ。俺がアンデッドだと知って、わざわざやって来たのか!?
だがしかし、俺も屋敷の財宝を残したまま逃げるのは嫌だ!!
――バンッ!!
「ひいっ!?」
「あっ、こんにちはー。なんだぁ、やっぱり居たんじゃないですかぁ!!」
そんなことをしている間にも、ニコニコと笑顔を浮かべた聖女が俺の屋敷に突入してきてしまった。
おいおい、聖女が不法侵入してくんなよ。お陰で見つかっちまったぞ……ど、どうする!?
「あの……突然すみません、貴方がジャトレさんですよね? 私、貴方にお願いがあってやって参りました!!」
は? 俺にお願いだって……?
――ズザァッ!!
「お、おい。急に何を……」
問答無用で浄化されるのかと思いきや。
コイツは突然、玄関の床に這いつくばり始めた。
「お願いします!! 私のカラダを好きにしていいので! どうか私を、助けてください!!!!」
地面に頭を擦りつけ、ついでにケツを突きあげながら、この女は突拍子もないことを言い始めた。
「え、あ……はあっ? 助けるって、お前をか?」
「ここでですか!? 分かりました! さっそく脱ぎます!!」
「ちょ、やめろ!! 脱げなんて言ってない!!」
「脱ぐだけじゃ足りない……!? や、優しくしてくださいね?」
「だから何を!? ちょっ、近所のおばちゃんに見つかったら死ぬ!! いや、死んでるけど、マジで社会的に死ぬんだって!!」
やめて!! 浄化されるよりマジでつらい!!
社会的に死んだら、俺は復活出来ねぇぞ!?
「さぁ、どうぞ!!」
だから他人の家の玄関で服を脱ぐな!!
金を集めることこそ、我が人生。
これが22年生きてきた俺の生き様だ。
ふふふ、金というのは良いよなぁ?
金さえあれば飛ぶ鳥も落ちるという格言があるように、世の中で起きる大抵の面倒事は金で解決できる。
誰が考えたのかは知らないが、実に良い言葉だ。
俺はポリシーに従って金を集め、誰にも奪われないように屋敷に溜め込んだ。
……もちろん、全てが順調とはいかなかった。
俺の財宝を狙った盗賊がやって来たのだ。
油断していた俺は奴らに襲われ、死に掛けた。
だが思い出してほしい。
俺には金がある。
『面倒事は金で解決』
持っていたとある財宝のお陰で、俺はアンデッドとして復活した。
「クックック。誰にも俺の金は譲らん。悪魔が来たって渡すもんか」
――だがやっぱり現実はそう甘くは無かったようだ。
悪魔の代わりに、聖女がやってきたのだ。
「すみませーん、ジャトレさんは居ますかー?」
それはとある日の昼下がり。
招かねざる客は突然、アポもなくやってきた。
「あのー、わたしぃー。教会の方からやって参りました、聖女のミカと申しますがー」
「……あん? クソがめつい教会の聖女が何の用……え?」
教会の聖女。
神聖な浄化魔法を使う、アンデッドの天敵――。
扉の向こうの人物は、間違いなくその“聖女”だと名乗った。
自分ん家の玄関で固まる俺の背中に、冷ややかな汗が流れた気がした。
アンデッドは汗なんてかかないはずなのに。
「もしもーし? 居ないんですか~? 勝手に入りますよ~?」
もう泣きそうだった。
新手の詐欺だと信じたかった。
実は教会方面からやってきた普通の人ってオチにならないか、俺は初めて神に祈った。
おそるおそる、玄関にある隠し窓からミカと名乗った人物を確認する。
見えるのは、ロングの銀髪で胸の大きな女の子。たぶん、18歳ぐらいだろうか。
ふーん、歳の割に育っているな……。
――って違う、今はそんな部分を気にしている場合じゃない。
身の回りは魔法発動用の杖、聖女特有のローブ。そしてあの聖の気を纏った佇まい。
「ま、まずい!! ありゃ本物の聖女じゃねぇか!! コイツ、俺を浄化しに来たのか!?」
クソッ。俺がアンデッドだと知って、わざわざやって来たのか!?
だがしかし、俺も屋敷の財宝を残したまま逃げるのは嫌だ!!
――バンッ!!
「ひいっ!?」
「あっ、こんにちはー。なんだぁ、やっぱり居たんじゃないですかぁ!!」
そんなことをしている間にも、ニコニコと笑顔を浮かべた聖女が俺の屋敷に突入してきてしまった。
おいおい、聖女が不法侵入してくんなよ。お陰で見つかっちまったぞ……ど、どうする!?
「あの……突然すみません、貴方がジャトレさんですよね? 私、貴方にお願いがあってやって参りました!!」
は? 俺にお願いだって……?
――ズザァッ!!
「お、おい。急に何を……」
問答無用で浄化されるのかと思いきや。
コイツは突然、玄関の床に這いつくばり始めた。
「お願いします!! 私のカラダを好きにしていいので! どうか私を、助けてください!!!!」
地面に頭を擦りつけ、ついでにケツを突きあげながら、この女は突拍子もないことを言い始めた。
「え、あ……はあっ? 助けるって、お前をか?」
「ここでですか!? 分かりました! さっそく脱ぎます!!」
「ちょ、やめろ!! 脱げなんて言ってない!!」
「脱ぐだけじゃ足りない……!? や、優しくしてくださいね?」
「だから何を!? ちょっ、近所のおばちゃんに見つかったら死ぬ!! いや、死んでるけど、マジで社会的に死ぬんだって!!」
やめて!! 浄化されるよりマジでつらい!!
社会的に死んだら、俺は復活出来ねぇぞ!?
「さぁ、どうぞ!!」
だから他人の家の玄関で服を脱ぐな!!
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