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第2章 とあるメイドの入学
第10話 そのメイド、屈さない。②
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「誰……?」
机の上にあるランプの明かりに照らされたその人影は、ゆっくりとこちらを向いた。
「あぁ、びっくりした……貴女がルーシー? もう、いるなら返事してよ」
「どうして貴方は私の名前を知っているの? というより、勝手に人の部屋に入って来ないでくださる?」
私は事務であらかじめ聞いていた名前で確認するも、彼女はツンとした態度を取ってくる。
だが彼女がルーシーで合っていたらしい。
ルーシーは夜空のような綺麗な濃い青の髪に、とても整った顔をしていた。
ちょっと釣り目がちで怖い印象だけど、アイスブルーの瞳は凄く綺麗だと思った。
「いつまでそんなところに突っ立っているんですの?」
「いや、あの。私はここの……」
「見れば同居人になる人だってことぐらい、私にも分かりますわよ。さっさと自己紹介してくださる?」
……この子、性格悪い!!
部屋を見渡してみれば、何故か二段ベッドは上も下も占領されている。
さらには部屋にそなえてある二つの机も、勝手にくっつけて独占している状態だった。
私が新しい同居人だって分かっているのに、配慮する気は微塵もないみたい。
ぐぬぬ、耐えるのよ私。ここでは私は新入りだ。とりあえず言われた通りに挨拶しなくっちゃ。
「アカーシャです。今日からこの学校にお世話になることになりました。これからよろしくお願いします」
「そう、よろしくね」
「……」
「……」
……えっ、それだけ?
「あの、貴方は「適当に私の物はよけて使ってくださる? 私、こう見えてとっても忙しいの」そ、そうなの……?」
キッパリと言われてしまった私は、部屋の中に入るといそいそとベッドの上の荷物を片付け始めた。
……っていうか私は挨拶したのに、そっちはしないんかいっ!!
もう用は済んだとばかりに、ルーシーは机に向かって作業を再開している。
それも私にも聞こえるような「はぁ、疲れたわ……」という大きな溜め息付きで。
「(こっちが仲良くしようとしているのだから、少しぐらい歩み寄りを見せたらどうなのよ……!!)」
事務の人が大げさに言っていたのかと思っていたけど、どうやらそうでもなかったみたいね。
『ルーシーさんは元々、それなりに有名な貴族のご令嬢だったのよ。だけどとある事情で家が没落しちゃって……彼女、貴族に戻ることを諦めきれないのか高飛車で、他の子と衝突しちゃうことが多いの。それで同室だった子も、みんな他の部屋に移動を希望してね……』
彼女は日常的に問題を起こしていたみたいね。
詳しくは教えてもらえなかったけれど、同級生と口論になった挙句に、魔法で攻撃しようとしたことまであったとか。
「ふふふ……生憎だけど素行の悪いお子ちゃまの扱いなんて、こっちは孤児院で散々鍛えられているのよ」
私はベッドの上段によじ登ると、そこにあったルーシーの私物をドサドサと落としていく。
「ちょ、ちょっと? どうして私の荷物を落とすのよ! あっ、その人形に触らないで!! やめてってば!!」
「ふふん。自分のモノも管理できない程にお忙しいのでしょう? だから私が代わりに掃除してあげているだけよ?」
私はルーシーの悲鳴を無視して、ベッドにあったウサギのぬいぐるみを掴んだ。
……いや、ぬいぐるみに罪は無いね。そっと布団の上に置いておこう。
「わ、分かりましたわ! ちゃんと片付けますから止めてください!!」
「まったく、最初っから素直にそう言えばいいのよ」
こういう子って、自分よりも傍若無人で自由奔放な人間に弱いのよね。嫌でもしっかりしないと、自分が嫌な目にあうから。
だからルーシーには申し訳ないけど、ここは私の好きにやらせてもらうわよ!!
机の上にあるランプの明かりに照らされたその人影は、ゆっくりとこちらを向いた。
「あぁ、びっくりした……貴女がルーシー? もう、いるなら返事してよ」
「どうして貴方は私の名前を知っているの? というより、勝手に人の部屋に入って来ないでくださる?」
私は事務であらかじめ聞いていた名前で確認するも、彼女はツンとした態度を取ってくる。
だが彼女がルーシーで合っていたらしい。
ルーシーは夜空のような綺麗な濃い青の髪に、とても整った顔をしていた。
ちょっと釣り目がちで怖い印象だけど、アイスブルーの瞳は凄く綺麗だと思った。
「いつまでそんなところに突っ立っているんですの?」
「いや、あの。私はここの……」
「見れば同居人になる人だってことぐらい、私にも分かりますわよ。さっさと自己紹介してくださる?」
……この子、性格悪い!!
部屋を見渡してみれば、何故か二段ベッドは上も下も占領されている。
さらには部屋にそなえてある二つの机も、勝手にくっつけて独占している状態だった。
私が新しい同居人だって分かっているのに、配慮する気は微塵もないみたい。
ぐぬぬ、耐えるのよ私。ここでは私は新入りだ。とりあえず言われた通りに挨拶しなくっちゃ。
「アカーシャです。今日からこの学校にお世話になることになりました。これからよろしくお願いします」
「そう、よろしくね」
「……」
「……」
……えっ、それだけ?
「あの、貴方は「適当に私の物はよけて使ってくださる? 私、こう見えてとっても忙しいの」そ、そうなの……?」
キッパリと言われてしまった私は、部屋の中に入るといそいそとベッドの上の荷物を片付け始めた。
……っていうか私は挨拶したのに、そっちはしないんかいっ!!
もう用は済んだとばかりに、ルーシーは机に向かって作業を再開している。
それも私にも聞こえるような「はぁ、疲れたわ……」という大きな溜め息付きで。
「(こっちが仲良くしようとしているのだから、少しぐらい歩み寄りを見せたらどうなのよ……!!)」
事務の人が大げさに言っていたのかと思っていたけど、どうやらそうでもなかったみたいね。
『ルーシーさんは元々、それなりに有名な貴族のご令嬢だったのよ。だけどとある事情で家が没落しちゃって……彼女、貴族に戻ることを諦めきれないのか高飛車で、他の子と衝突しちゃうことが多いの。それで同室だった子も、みんな他の部屋に移動を希望してね……』
彼女は日常的に問題を起こしていたみたいね。
詳しくは教えてもらえなかったけれど、同級生と口論になった挙句に、魔法で攻撃しようとしたことまであったとか。
「ふふふ……生憎だけど素行の悪いお子ちゃまの扱いなんて、こっちは孤児院で散々鍛えられているのよ」
私はベッドの上段によじ登ると、そこにあったルーシーの私物をドサドサと落としていく。
「ちょ、ちょっと? どうして私の荷物を落とすのよ! あっ、その人形に触らないで!! やめてってば!!」
「ふふん。自分のモノも管理できない程にお忙しいのでしょう? だから私が代わりに掃除してあげているだけよ?」
私はルーシーの悲鳴を無視して、ベッドにあったウサギのぬいぐるみを掴んだ。
……いや、ぬいぐるみに罪は無いね。そっと布団の上に置いておこう。
「わ、分かりましたわ! ちゃんと片付けますから止めてください!!」
「まったく、最初っから素直にそう言えばいいのよ」
こういう子って、自分よりも傍若無人で自由奔放な人間に弱いのよね。嫌でもしっかりしないと、自分が嫌な目にあうから。
だからルーシーには申し訳ないけど、ここは私の好きにやらせてもらうわよ!!
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