目覚めはガングロギャル?!黒歴史は封印!清楚系美少女になって初恋の彼の闇落ちを阻止します!!

むぎてん

文字の大きさ
上 下
96 / 98

最終章④ ももか

しおりを挟む
    

『名前さー、ももかにすんべ!』

『男の子だったらどうすんのー?』

『えー女の子だよー、絶対! あー、でももし男の子だったら桃太郎にでもすっかなー』

『あはは!カズくんめちゃウケるー』

そんな幸せな時間は突然終わりを告げた。



『カズ! ゆかりと離婚するってどーゆーことだよっ! こんなに傷ついてるゆかりを捨てんのかよ!』

早苗が和弘の胸ぐらを掴んで叫ぶ。

『流産したのはゆかりのせいじゃないじゃん!何でゆかりばっか責めんだよ!』

『違う、責めてねーよ。俺はただ、ゆかりに立ち直ってほしい。また、前みたいに笑ってほしいんだ』

『じゃあ、あんたが支えてあげなよ!!』

『無理だよ。俺といたらゆかりは立ち直れない』

『そんなの分かんないじゃん!!』

『俺も一緒なんだ。ゆかりといると、俺も立ち直れない』

小さな位牌を抱えて、ただただ泣くしか出来ない私にも、和弘の悲しみは受け止められなかった。

『ゆかり、もう、全部忘れてさ、俺のことは忘れて、赤ちゃんのことも忘れてさ、また前みたいに笑いなよ。俺、ゆかりの笑った顔が大好きだったんだ』

『カズくん・・・・・・』

『ごめんな、ゆかり、支えてやれなくてごめん、弱い男でごめん。もう、離婚しよう』






「おねえちゃん、ないちゃメッなのよ?いーこ、いーこ」

『ももか』が私の頭を優しく撫でた。

私が生んで上げられなかった和弘の子ども。
ああ、よかったね、カズくん、『ももか』に会えてよかったね、幸せでよかったね。

「ママー、ももか、いーこいーこしてあげたー」

「す、すみません、この子ったら最近私の口真似ばかりで・・・・・・」

『ももか』の母親が優しい顔で『ももか』を抱き上げた。

「い、いえ、こちらこそすみません、羽目を外して飲み過ぎたみたいで。私、泣き上戸なんです」

涙を拭いてへへ、と笑って見せた。
もう涙は止まっていた。
『ももか』のいい子いい子のお陰かな。

ねぇ、和弘、今度は逃げちゃダメだよ?
『ももか』と、奥さんをちゃんと支えてあげて。
私も、もう絶対に逃げないから。

冬馬くんはきっと支えてくれる。
私も冬馬くんを支えてみせる。


冬馬くんの顔を見上げると、真っ赤になって固まっていた。

「・・・・・・・・・・」

そういえば私、居酒屋のど真ん中で物凄いこと叫んじゃった、よね・・・・・・

ありさも、もとみや君も、百合子も和弘も、みんなみんな、私を見ている。

シンとしたお店の空気に急に冷静になった私は、それはもう恥ずかし過ぎてありさに抱きついた。

「あ、ありさぁ! どうしよう、私恥ずかしくて死んじゃいそうだよぉ!」

「ゆかりー抱きつく相手、間違ってるー」

ありさが笑って私のほっぺたをムギュッとつまんだ。


──────────

最終章⑤プロポーズ へ


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラヴィスの華〜BADエンドが確定している乙女ゲー世界のモブに転生した私が攻略対象から溺愛されているワケ〜

アルト
恋愛
たった一つのトゥルーエンドを除き、どの攻略ルートであってもBADエンドが確定している乙女ゲーム「クラヴィスの華」。 そのゲームの本編にて、攻略対象である王子殿下の婚約者であった公爵令嬢に主人公は転生をしてしまう。 とは言っても、王子殿下の婚約者とはいえ、「クラヴィスの華」では冒頭付近に婚約を破棄され、グラフィックは勿論、声すら割り当てられておらず、名前だけ登場するというモブの中のモブとも言えるご令嬢。 主人公は、己の不幸フラグを叩き折りつつ、BADエンドしかない未来を変えるべく頑張っていたのだが、何故か次第に雲行きが怪しくなって行き────? 「────婚約破棄? 何故俺がお前との婚約を破棄しなきゃいけないんだ? ああ、そうだ。この肩書きも煩わしいな。いっそもう式をあげてしまおうか。ああ、心配はいらない。必要な事は俺が全て────」 「…………(わ、私はどこで間違っちゃったんだろうか)」 これは、どうにかして己の悲惨な末路を変えたい主人公による生存戦略転生記である。

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

妹ちゃんは激おこです

よもぎ
ファンタジー
頭からっぽにして読める、「可愛い男爵令嬢ちゃんに惚れ込んで婚約者を蔑ろにした兄が、妹に下剋上されて追い出されるお話」です。妹視点のトークでお話が進みます。ある意味全編ざまぁ仕様。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

ゆるふわな可愛い系男子の旦那様は怒らせてはいけません

下菊みこと
恋愛
年下のゆるふわ可愛い系男子な旦那様と、そんな旦那様に愛されて心を癒した奥様のイチャイチャのお話。 旦那様はちょっとだけ裏表が激しいけど愛情は本物です。 ご都合主義の短いSSで、ちょっとだけざまぁもあるかも? 小説家になろう様でも投稿しています。

メイドから家庭教師にジョブチェンジ~特殊能力持ち貧乏伯爵令嬢の話~

Na20
恋愛
ローガン公爵家でメイドとして働いているイリア。今日も洗濯物を干しに行こうと歩いていると茂みからこどもの泣き声が聞こえてきた。なんだかんだでほっとけないイリアによる秘密の特訓が始まるのだった。そしてそれが公爵様にバレてメイドをクビになりそうになったが… ※恋愛要素ほぼないです。続きが書ければ恋愛要素があるはずなので恋愛ジャンルになっています。 ※設定はふんわり、ご都合主義です 小説家になろう様でも掲載しています

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜

ボタニカルseven
恋愛
「今までお世話になりました」 あぁ、これでやっとこの人たちから解放されるんだ。 「セレス様、行きましょう」 「ありがとう、リリ」 私はセレス・バートレイ。四歳の頃に母親がなくなり父がしばらく家を留守にしたかと思えば愛人とその子供を連れてきた。私はそれから今までその愛人と子供に虐げられてきた。心が折れそうになった時だってあったが、いつも隣で見守ってきてくれた精霊たちが支えてくれた。 ある日精霊たちはいった。 「あの方が迎えに来る」 カクヨム/なろう様でも連載させていただいております

処理中です...