目覚めはガングロギャル?!黒歴史は封印!清楚系美少女になって初恋の彼の闇落ちを阻止します!!

むぎてん

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58 ありがとう、大好き

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笑え。
いつも、ニコニコしてろ。

他人の言うことは否定するな。
自分の気持ちなんてどうでもいいじゃないか。

だって嫌われるよ? 仲間外れにされるよ?
パパもママも、みんな、みんなヘトヘトに疲れちゃうよ。

自分の感情なんて押し殺せ。
笑え、笑え、笑え。


ほら、泣くからだよ。
泣くから、夫は私を嫌いになったじゃないか。
私を捨てて行ってしまったじゃないか。


ただ壊れたおもちゃのように笑って、面白おかしく暮らしていればいい。
先のことなんて、未来のことなんて考えない。
今がよければそれでいいんだ。


みんな変わっていく。
みんな幸せになっていく。
早苗も、ありさも、みんな、みんな。
おいていかないで、ねえ、お願い。
幸せじゃない私はここから動けない。


ああ、一人になっちゃったじゃないか。


もういいか。
疲れたもん、一人でいいや。
一人なら、誰かに嫌われる心配もないね。


なのに、寂しい。
一人は寂しいね、私が弱いからかな。

ねえ、三宅冬馬、あなたもきっと寂しかったんだね。
だから殺人犯になってしまった。
自ら命を絶ってしまった。


17才の自分に戻ったとき、強くなろうと思った。
なのに、私はまた泣いた。

三宅冬馬の前で、弱さを晒した。
そんな弱い私に、あなたは優しくしてくれた。

何が弱さなのか、何が強さなのか、わからなくなった。

だから、ただ足掻いた。
なにもわからない中でただ足掻いた。

強くなる、強くなる、強くなる。
呪文のように自分に言い聞かせて。

早苗みたいになりたかった。
圭介のようになりたかった。
三宅冬馬に憧れた。

でも、私は、私は、私は?


『ゆかりの弱さは強さだ』


目の前にまぶしい光が走った。
ああ、そうか、そうなんだ。
そうだったんだ。

私は私でいいんだ。
冬馬くんがいる。
早苗がいる。ありさがいる。

こぼれる涙はそのままでいい。
隠さなくても、誰も笑わない。
だって、冬馬くんも早苗もありさも、泣いてる。
私を思って泣いてくれてる。

「みんな、ありがとう、大好き」


──────────
59~パパとママに挨拶 side三宅冬馬  へ

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