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44 バカップル
しおりを挟むパパとママに三宅冬馬と付き合ってる事を正直に話した。
誰にも彼の事を隠したくない。
やっぱりちょっと恥ずかしかったけど、ちゃんと話せてよかった。
パパはなんとなく分かってたのかな?
特に何も言わなかった。
ママはもっといろいろ聞いてくるかと思ってたんだけど、お付き合いをしている人が、蘇生処置をしてくれたと知って、すごく嬉しそうだった。
ママは昔からロマンチストなのだ。
土曜日のお出掛けというのは三宅冬馬のケータイを買いに行く。
彼、なんとケータイを持ってなかった!
今時、高校生になってケータイを持ってないとかびっくりしたけど、今までの彼の性格を考えるとなんとなく分かる気がする。
最近、三宅冬馬は変わった。
みんなとも喋るようになったし、笑うことも増えた。
「なんだか、みんなと仲良くなった?」
やんわりと聞いてみたら
「君に見合う人間になれるように努力をしている」
なんて言ってくれた。
それは私のセリフだよって返すと
「お互い努力して高め合えるのはいいことだ。君とそんな関係になれたことが嬉しい」
私の目を真っ直ぐに見て真剣な顔で言うから、私はもう幸せすぎて思わず
「うん! 私も嬉しい! 大好き!!」
と叫んでしまった。
皆から一斉に冷やかされてめちゃくちゃ恥ずかしかった!
三宅冬馬は真っ赤になった顔を右手で覆いながら
「それはよかった」
と小さな声で一言。
自分はしれっと恥ずかしいセリフを言うくせにせに、そんな顔するとかずるくない?
ヤバいでしょ、バカップル丸出しだよ!
「三宅、あんたケータイ買いなよ」
ありさが三宅冬馬の鼻先で人差し指を立てて言った。
私は彼がケータイを持っていないことに驚いたが、ケータイを持つことは、彼の勉強の邪魔になるのではないかと心配になった。
まあ、三宅冬馬にかぎってそんなことはないんだろうけど。
まだスマホはないしね。
今のガラケーで出来ることは電話、メール、写真を撮ることくらいだ。
写メって言う言葉が出来たのも今頃かな。
お友達が多い人は常にメールをカチカチやってるけど、三宅冬馬の場合は・・・・・・ないな。
「もしまた川上さんに何かあった時、携帯電話があればすぐに対応できるな。確かに必要だ」
「それはそうだけどさぁ、緊急用じゃなくてさぁ」
ありさが不満げに唇を尖らせる。
「ああ、何か大事な用事があるときは、もちろん連絡するが」
「もおっ! 用がなくても毎日かけなよ! 恋人どーしなんだから!」
「毎日学校で会うのに。何を話すんだ? 俺はあまり会話が得意ではないんだが」
「きぃぃぃ! めんどくさい! ゆかり、今すぐこんなめんどくさいヤツとは別れたほうがいいよっ!」
「えー、やだよ。三宅君のこと好きだもん」
私が言うとまた顔を真っ赤にして下を向いた。
段々と、彼の『照れポイント』が解ってきた。
彼は天才ゆえに、言葉が直接的すぎる。
だからキザっぽく聞こえるが、思った事を端的に伝えているだけだ。
国語のテストの主人公の気持ちを30文字以内にまとめているのと似ている。
だから恥ずかしいとは思わない。
逆に私から言われた事に対してはものすごく反応する。
要するに、自分が言うのは恥ずかしくないが、私から言われると恥ずかしいのだ。
私は二人の会話がおかしくて笑ってしまう。
ありさと三宅冬馬はいつもこんな感じの言い合いをしている。
ありさが言うには『三宅の思考回路は狂ってる』らしい。
でも、なんだか楽しそうでちょっと焼けちゃうな。
彼の耳元で小さく囁くとまた真っ赤になって咳き込んだ。
なんだこれ、かわいすぎるでしょ!
──────────
45~冬馬という息子 side母親 へ
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