目覚めはガングロギャル?!黒歴史は封印!清楚系美少女になって初恋の彼の闇落ちを阻止します!!

むぎてん

文字の大きさ
上 下
43 / 98

43 ロマンチストsideママ

しおりを挟む


ママ目線

「ママ、私今週の土曜日、友達と出かけて来るね」
友達と、って誰かしら?
早苗ちゃんやありさちゃんならそう言うはずよね。

娘のゆかりは、しばらく前まで思春期の反抗期だった。
そのうち落ち着くだろう、とは思っていたけれどやっぱり心配だった。
だってあんなに派手な、露出の多い格好をしていて、もし事件にでも巻き込まれたり、悪い男に唆されたりしたら・・・・・・って。
親としては当然よね。
可愛い我が子のことだもの。

それが終わったのは突然だった。
ある日、学校から帰って来るなり、お化粧を落として髪を黒く染め直した。
そして、私と夫にガングロギャルをやめると宣言した。

それはもう嬉しかったわ。
思わず涙がこぼれそうになるくらいに。

格好だけでなく、私たちに対する態度も変わった。
お菓子を作っても『太るからいらない』って一言だったのが、今では『ママのお菓子美味しい!』とか『今度一緒に作ってもいい?』
なんて言ってくれる。
『ありがとう』という言葉もよく使うようになった。

きっと、何か変わろうと思うきっかけがあったはずだと思っているのだけど、やっぱり簡単には聞けないじゃない?
いくら反抗期が終わったといっても、年頃の女の子だもの。

「誰と行くんだ?」
夫がズバリと聞いた。
すごいわね。
ちょっとデリカシーに欠けるけど、私も気になってたからまあ、いいわ。

「み、三宅君と・・・・・・」
は?『三宅君?』誰かしら?
初めて聞く名前だわ。
ゆかりの顔が一瞬で赤く染まった!
その反応はつまり、そういうことかしら?!

「ああ、彼か」
ってあなた、知ってるの?!
「あなたも知ってる子なの?」
平静を装いつつも、夫をチラリと睨んだ。
「前にゆかりを迎えに行ったときに会ったんだよ。一言あいさつしただけだ」
誤魔化すように頭を掻きながら夫が答える。

もう、いいわ! 私だってズバッと聞いちゃうんだから!

「お付き合いしてるの?」
努めて軽い口調で聞いてみた。
「おおお付き合いというか、えっとまあ、うん」
赤い顔が更に赤くなった。
耳も、首まで真っ赤だ。

夫はどこか遠くを見ている。
現実逃避ね。

「どんな子なの?同級生?」
金髪のチャラチャラした子だったらショックだわ!
ゆかりが好きなら仕方ないけれど。

「うん、同じクラス。私が倒れたとき蘇生処置してくれたの、三宅君なんだよ」

なんてこと!!
「まあ! そうだったの?!  近くにいた男子生徒が蘇生処置をしてくれたって聞いていたから、お礼をしたいって思ってたのよ!」

その男子生徒の適切な処置がなければ、命を落としていた可能性が高いとお医者さんから言われた。

感謝してもしきれない。

お礼をしたいと、その男子生徒の名前を先生に聞いたけれど『本人が気にしないでほしいと言っている』ということで教えてもらえなかった。

その男子生徒とお付き合いをしているなんて、まるでドラマのような展開じゃないの!

一瞬で私の頭にお花が咲いた。
年甲斐もなく恥ずかしいけれど、昔からロマンチストなのよね、私。

「一度ちゃんと会ってお礼が言いたいわ。今度、彼の都合のいい時で構わないから、ぜひ連れていらっしゃいな。」
「うん! また学校で聞いてみる!」

恥ずかしそうな顔をしながらも嬉しそうに言う娘の姿は本当に可愛らしかった。


──────────
44~バカップル  へ

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラヴィスの華〜BADエンドが確定している乙女ゲー世界のモブに転生した私が攻略対象から溺愛されているワケ〜

アルト
恋愛
たった一つのトゥルーエンドを除き、どの攻略ルートであってもBADエンドが確定している乙女ゲーム「クラヴィスの華」。 そのゲームの本編にて、攻略対象である王子殿下の婚約者であった公爵令嬢に主人公は転生をしてしまう。 とは言っても、王子殿下の婚約者とはいえ、「クラヴィスの華」では冒頭付近に婚約を破棄され、グラフィックは勿論、声すら割り当てられておらず、名前だけ登場するというモブの中のモブとも言えるご令嬢。 主人公は、己の不幸フラグを叩き折りつつ、BADエンドしかない未来を変えるべく頑張っていたのだが、何故か次第に雲行きが怪しくなって行き────? 「────婚約破棄? 何故俺がお前との婚約を破棄しなきゃいけないんだ? ああ、そうだ。この肩書きも煩わしいな。いっそもう式をあげてしまおうか。ああ、心配はいらない。必要な事は俺が全て────」 「…………(わ、私はどこで間違っちゃったんだろうか)」 これは、どうにかして己の悲惨な末路を変えたい主人公による生存戦略転生記である。

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

妹ちゃんは激おこです

よもぎ
ファンタジー
頭からっぽにして読める、「可愛い男爵令嬢ちゃんに惚れ込んで婚約者を蔑ろにした兄が、妹に下剋上されて追い出されるお話」です。妹視点のトークでお話が進みます。ある意味全編ざまぁ仕様。

ゆるふわな可愛い系男子の旦那様は怒らせてはいけません

下菊みこと
恋愛
年下のゆるふわ可愛い系男子な旦那様と、そんな旦那様に愛されて心を癒した奥様のイチャイチャのお話。 旦那様はちょっとだけ裏表が激しいけど愛情は本物です。 ご都合主義の短いSSで、ちょっとだけざまぁもあるかも? 小説家になろう様でも投稿しています。

メイドから家庭教師にジョブチェンジ~特殊能力持ち貧乏伯爵令嬢の話~

Na20
恋愛
ローガン公爵家でメイドとして働いているイリア。今日も洗濯物を干しに行こうと歩いていると茂みからこどもの泣き声が聞こえてきた。なんだかんだでほっとけないイリアによる秘密の特訓が始まるのだった。そしてそれが公爵様にバレてメイドをクビになりそうになったが… ※恋愛要素ほぼないです。続きが書ければ恋愛要素があるはずなので恋愛ジャンルになっています。 ※設定はふんわり、ご都合主義です 小説家になろう様でも掲載しています

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜

ボタニカルseven
恋愛
「今までお世話になりました」 あぁ、これでやっとこの人たちから解放されるんだ。 「セレス様、行きましょう」 「ありがとう、リリ」 私はセレス・バートレイ。四歳の頃に母親がなくなり父がしばらく家を留守にしたかと思えば愛人とその子供を連れてきた。私はそれから今までその愛人と子供に虐げられてきた。心が折れそうになった時だってあったが、いつも隣で見守ってきてくれた精霊たちが支えてくれた。 ある日精霊たちはいった。 「あの方が迎えに来る」 カクヨム/なろう様でも連載させていただいております

【完結】何回も告白されて断っていますが、(周りが応援?) 私婚約者がいますの。

BBやっこ
恋愛
ある日、学園のカフェでのんびりお茶と本を読みながら過ごしていると。 男性が近づいてきました。突然、私にプロポーズしてくる知らない男。 いえ、知った顔ではありました。学園の制服を着ています。 私はドレスですが、同級生の平民でした。 困ります。

処理中です...