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41 天然?
しおりを挟む月曜日が来た。
待ちに待った月曜日だ!
嬉しいな、みんなに会える。
早苗とありさ。
そして三宅冬馬。
気合いを入れて準備しなきゃ。
そうそう、三宅冬馬との初めての会話で泣いた私は、涙もろいんだって気付いた。
泣いちゃいけないのは分かってるんだけどね。
だから、あの後すぐにウォータープルーフを買った!
ホントよかった!
告白したときもボロボロ泣いちゃったけど、黒い涙は流れなかった。
さすが私、自分の判断力に脱帽だ!
「ゆかりぃ! 元気になってよかったね!」
「退院おめでとー!!」
朝の教室、早苗とありさが勢いよく抱きついてきた。
「え、え、なに? 二人ともすっぴん?!」
二人が顔を見合わせて笑う。
「ゆかりが頑張ってんだもん!あたしたちも頑張ろうかってねー?」
「ウチのすっぴん、久しぶりっしょ?おかしくない?」
マジか! すごい、なんかすごく嬉しい!
「二人ともすごいかわいい! てか早苗はめっちゃ美人できれいになってるし! ありさはヤバい! 」
早苗は小学校の頃の姿を知ってるからね、もともと涼しげな感じの美人だった。
ありさはね、ホント可愛いのよ。
あの未来で初めて見たときは驚愕した。
メイクなんかいらないね、それ。
ぱっちりお目目に小振りでスッとした鼻、ぽてっとした唇は思わず奪いたくなっちゃう。
48人のグループ、入れるんじゃないの?
てか、センター張れるでしょ!
みんなが集まってきた。
「ゆかり、久しぶり!」
「元気になってよかったな!」
「マジでよかったよ! 死んじゃうかと思ったじゃんか!」
「もう大丈夫なの? キツイ時は言いなよ?」
みんなが口々に嬉しい言葉を掛けてくれる。
そんな中、圭介が言った。
「あん時の三宅マジカッコいかったよ。白目剥いてゲロまみれのゆかりに躊躇なく人工呼吸してさぁ」
・・・・・・は?
「そうそう!マジ凄かったし! 口ん中のゲロも指突っ込んで掻き出してたもん」
白目剥いてた? ゲロまみれ? 指突っ込んで掻き出した?
い・・・いやあぁぁぁあぁぁぁあ!!!
誰かっ! 誰か嘘だと言ってえぇええ!!!
私は完全にパニックになって叫んだ。
「みみみ三宅君! ごごごめんなさい! 私なにも覚えてなくてっ!! きっ嫌いにならないで! うわーん!!」
何がウォータープルーフだよ!
何が自分の判断力に脱帽だよ!
バカだろ、私!!
「は? 俺は川上さんが吐こうが漏らそうが嫌いにはならないが」
ももも漏ら…っ!
「漏らそうがって・・・・・・すげぇ、三宅、マジそんけーするわ」
「相手が川上さんなら何も問題はない」
「・・・・・・ゆかり、あんた、すごい物件捕まえたね」
みんな若干引き気味、というかドン引きだ。
三宅冬馬の物言いが直接的すぎることは気づいてた。
空気が読めないと本人は言っていた。
でも、これ違う、そうじゃない。
「三宅ってもしかして天然なのか?」
圭介の言葉にみんなが一斉に頷いた。
天然だ。間違いなく、三宅冬馬は天然だ!!
「川上さん、おはよう。思ったより元気みたいでよかった。安心した。」
あらためて三宅冬馬があいさつしてくれた。
「心配かけてごめんね。そ、蘇生処置も、ありがとう」
「いや、あの時は俺もパニックになって、出来る事しか出来なかった」
・・・・・・三宅君、出来ない事は出来ないよ?
やっぱり天然だ。
天才ゆえか。
「でも、出来る事がちゃんと出来てよかった。川上さんを助けられた」
「うん、うん!ほんとにありがとう・・・・っ」
ほらね、私はやっぱり涙もろい。
──────────
42~気付き side三宅冬馬 へ
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