目覚めはガングロギャル?!黒歴史は封印!清楚系美少女になって初恋の彼の闇落ちを阻止します!!

むぎてん

文字の大きさ
上 下
33 / 98

33 同類 side圭介

しおりを挟む
 

side圭介

「あーあ、俺、ゆかりのこと狙ってたのにさぁ。マジでこんなヤツでいーのかよぉー」
俺は冗談めかしてゆかりに言った。

違う。冗談なんかじゃない。

『人当たりが良くて優しくて、誰からも好かれるタイプで、話題が豊富で気遣いもできて、いつもみんなの中心にいる』

これが、俺に対するみんなの評価だ。
でも俺は本当はそんなできた人間じゃない。

誰かに嫌われたり笑われたりすることが怖い。
だから、ただニコニコ笑って相手に合わせるんだ。
否定も肯定もしない。
親身な振りをして、もっともらしい事を言う。
楽な方に流されるだけ。

俺とゆかりはよく似ていると思った。
だから気になったんだ。
彼女が他人と接するのを見る度に思う。
『俺と一緒、俺と一緒。俺と一緒』

ゆかりが三宅の事を好きだということは、前から気づいていた。
当たり前だ。ずっと見てきたんだから。

三宅はやめとけよ。
あいつはろくなヤツじゃない。
俺は知っている。

あいつは天才だ。
一応進学希望の俺は、誰にも言わず塾に通っている。
講師のファイルに挟まる、全国模試の結果を見たんだ。

あいつは全国一位だった。

こんな底辺高校のアホなやつらに『陰気』だの『ガリ勉』だの言われるような人間じゃない。
本物の天才だ。
ゆかりとはあまりにもレベルが違いすぎる。やめておけ。

それにあいつは俺たちを、いや自分以外の他人を全て馬鹿だと思ってる。
見下してるのが丸わかりだ。
何事もないような、すかした平然とした顔で心の中では猛毒を吐いている。
間違いない。

ゆかり、そんなヤツやめろよ。
ガングロやめたり勉強したり、無理すんなよ。

そんな天才と付き合ったってお前が苦労するだけだ。

俺とゆかりなら同じ景色が見れる。
同類だから。
俺ならゆかりを解ってやれる。


『救急車を呼べ!』
あいつが叫んだ。

ゆかりが倒れた時、貧血じゃね? って俺もみんなも思ったけど、そうじゃないことはすぐにわかった。

ゆかりは何度も吐いて、痙攣する。

みんなが固まったまま動けない中、三宅は大声で的確な指示を出していく。

ゆかりのゲロを指で掻き出し、人工呼吸をする。
教師に激しい口調で指示を出す。

ぐったりと死んだように動かなくなったゆかりに、必死で蘇生処置を繰り返す。

『川上!大丈夫だ!俺がいる!』

三宅は泣いていた。
泣きながら、必死にゆかりの命を繋ぎ止めていた。

ゆかり、こいつ、マジでお前に惚れてるよ。

ゆかり、こいつにはお前が必要だ。
お前もそうなんだろ?

分かるよ。俺たちは同類だからな。

だから、ゆかり、ゆかり、お願いだから。

・・・・・・死ぬな。


──────────
 34~夢を見ていた  へ
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

妹ちゃんは激おこです

よもぎ
ファンタジー
頭からっぽにして読める、「可愛い男爵令嬢ちゃんに惚れ込んで婚約者を蔑ろにした兄が、妹に下剋上されて追い出されるお話」です。妹視点のトークでお話が進みます。ある意味全編ざまぁ仕様。

メイドから家庭教師にジョブチェンジ~特殊能力持ち貧乏伯爵令嬢の話~

Na20
恋愛
ローガン公爵家でメイドとして働いているイリア。今日も洗濯物を干しに行こうと歩いていると茂みからこどもの泣き声が聞こえてきた。なんだかんだでほっとけないイリアによる秘密の特訓が始まるのだった。そしてそれが公爵様にバレてメイドをクビになりそうになったが… ※恋愛要素ほぼないです。続きが書ければ恋愛要素があるはずなので恋愛ジャンルになっています。 ※設定はふんわり、ご都合主義です 小説家になろう様でも掲載しています

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

クラヴィスの華〜BADエンドが確定している乙女ゲー世界のモブに転生した私が攻略対象から溺愛されているワケ〜

アルト
恋愛
たった一つのトゥルーエンドを除き、どの攻略ルートであってもBADエンドが確定している乙女ゲーム「クラヴィスの華」。 そのゲームの本編にて、攻略対象である王子殿下の婚約者であった公爵令嬢に主人公は転生をしてしまう。 とは言っても、王子殿下の婚約者とはいえ、「クラヴィスの華」では冒頭付近に婚約を破棄され、グラフィックは勿論、声すら割り当てられておらず、名前だけ登場するというモブの中のモブとも言えるご令嬢。 主人公は、己の不幸フラグを叩き折りつつ、BADエンドしかない未来を変えるべく頑張っていたのだが、何故か次第に雲行きが怪しくなって行き────? 「────婚約破棄? 何故俺がお前との婚約を破棄しなきゃいけないんだ? ああ、そうだ。この肩書きも煩わしいな。いっそもう式をあげてしまおうか。ああ、心配はいらない。必要な事は俺が全て────」 「…………(わ、私はどこで間違っちゃったんだろうか)」 これは、どうにかして己の悲惨な末路を変えたい主人公による生存戦略転生記である。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

ドアマット扱いを黙って受け入れろ?絶対嫌ですけど。

よもぎ
ファンタジー
モニカは思い出した。わたし、ネットで読んだドアマットヒロインが登場する作品のヒロインになってる。このままいくと壮絶な経験することになる…?絶対嫌だ。というわけで、回避するためにも行動することにしたのである。

処理中です...