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30 クラスメートと会話 side三宅冬馬

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    side三宅冬馬

「やっべー、ゆかり、凄いじゃん!」
「な、なんでみんながここにいるの?!」
「今日あたり告んじゃねーかって思ってたんだよ、マジ張ってた甲斐があったわ!」

さっきまでの、二人だけの幸せな空気は崩れ去り、クラスメイトの騒がしい声に俺は小さくため息を吐いた。

「馬鹿の冷やかしに用はない。帰れ」
言葉に出てしまった。

一瞬みんなの動きが止まる。

「・・・ってか優しいのはゆかりにだけかよ!」
「告んじゃ、って! なんで知ってるの!」

川上があわあわしている。可愛い。

「クラス全員知ってるわ!」
「教室でもチラチラ目ぇ合わせてさぁ、ゆかりは嬉しそうにしてるし三宅は顔真っ赤にしてさぁ」

俺は、あの時顔を真っ赤にしていたのか。

「あたし、三宅のあんな顔見たの初めてだったし!」
「放課後は図書室でイチャイチャ勉強してさぁ」
「い、イチャイチャとかしてないしっ!」

さっきの涙は乾いたはずなのに、また涙目になっている。可愛い。

「マジでゆかりにだけは優しいし。笑ってんの見てビックリだよ!三宅も人間だったんだって感じー」
「当たり前だ。俺を何だと思っていたんだ。」
「勉強にしか興味のないサイボーグとか?」
「だって三宅って、いっつも怒ったみたいな顔して勉強ばっかしてさぁ。しゃべってるとことか見たことなかったしぃ?」
「会話が合わない相手と喋る必要性は感じないからな」
「辛辣!」

馬鹿供が、やいのやいのとうるさい中、聞き捨てならないセリフが聞こえた。

「あーあ、俺、ゆかりのこと狙ってたのにさぁ。マジでこんなヤツでいーのかよぉー」

金髪のチャラ男が川上の肩に手を置いた。
こいつはよく彼女の周りをうろちょろしている。
彼女に触るな。

「離れろ。前から思っていたが、お前は川上さんと距離が近すぎる」
「うわ!ヤっべ、睨まれたし!」

チャラ男はヘラヘラと笑って彼女の肩から手を離した。よし。

「三宅ってやきもちとか焼くんだねー、マジウケるー」
「そうか、ウケたか。それは良かった」


川上を見ると俺を見て笑っていた。
「どうした?」
「三宅君とみんなの会話が面白くて」

そう言われて初めて、俺はこいつらと普通に話している事に気づいた。

馬鹿で低能な奴らと会話をする事はないと思っていたのに。

俺は今までの自分が馬鹿らしくなって笑ってしまった。


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31~神様、やっぱり駄目ですか?  へ

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