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28 告白 side三宅冬馬
しおりを挟むside三宅冬馬
俺は最低の人間だ。
川上は俺の事を優しいと、強いと言う。
俺は君がそんなふうに思ってくれるような奴じゃない。
俺は君のことを馬鹿で低能で最底辺の虫けらのような存在だと思っていた。
俺の事を陰気だガリ勉だと馬鹿にする、クラスの馬鹿な奴らの一員だと軽蔑していた。
ある日、化粧をやめた。
偶然泣いているところを見た。
少し話をした。
ただそれだけで、軽蔑していたはずの君の事を好きになるような、軽薄な人間だ。
それなのに、話せば話すほど、知れば知るど好きになっていく。
あの日の昼休み、君は
『私は努力する人をそんなふうには思わない』
と言った。
そして俺に笑いかけた。
嬉しかった。ああそうだ、俺は嬉しかったんだ。
優しいのは君だ。
あの日の放課後、君は頭が悪いと泣いていた。
そんな自分に素直に向き合える君。
自分を変えたいと努力する君。
強いのは君だ。
俺は、他人を見下すことでしかプライドを守れないような卑小な人間だ。
何でもないような顔で平然を装い、心の中で毒を吐く。
俺は強くなどないし、優しくもない。
最低の人間だ。
こんな俺は君には相応しくない。
「私は三宅君が好き」
静かで、それでも力強い君の声に、全ての音が消えた。
廊下の向こうから聞こえていた喧騒も、
窓の外から聞こえていた部活の掛け声も、
時計の針の音さえも。
ここにあるのは俺の心臓の音だけだ。
俺は、君には相応しくない。
そんな事は分かっている。
でも、それでも俺は
「君が好きだ」
自分でも、もう、どうしようもないほどに
「好きなんだ」
──────────
29~告白が成功したぞ、っておい! へ
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