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27 告白
しおりを挟む三宅冬馬に将来の夢を聞いてみた。
『これという具体的な職種は特にないが・・・・・・安定していて、これから先も成長しそうな、名の通った企業に勤めるつもりだ』
ワイドショーで見た、未来の彼の姿が目の裏に映った。
『資格があれば食べるのに困らないでしょ?一人でも生きていける』
そして一人ぼっちで疲れた私の姿も映る。
「川上さんが一人で生きて行くのはあまり想像が付かないが」
三宅冬馬はなんだか困ったような、悲しそうな顔をした。
一人で生きる私を想像して、悲しんでくれてるのかな。
優しい人。
「君の周りにはいつも誰かがいるし、友達も沢山いるように見える」
三宅冬馬には友達がいるようには見えない。
それは、この学校のみんなと三宅冬馬ではレベルが違い過ぎるからだ。
もしかしたら、同じ塾に通ってる人や、中学時代の同級生の中には気の合う友人がいるのかもしれない。
あの未来で三宅冬馬が殺した妻『百合子』ともすでに出会っているのかもしれない。
私は三宅冬馬の事をなにも知らない。
「俺とは正反対だな。俺には友達と呼べる人間はいない」
やっぱりいないのか。
「俺はいつも空気が読めない。だから周りとうまくやれない。さっきも本当に悪気は無かったんだ」
「それは気にしてないよ、ホントに」
確かに言い回しは直接的過ぎるけど。
「心配する私を気遣ってくれたんでしょ?すぐ謝ってくれたのも傷つけたかも、って思ってくれたからでしょ?」
私はあなたの事を知らない。
でも、これだけは知っている。
あなたは優しいよ。
まっすぐに彼の目を見て伝える。
「三宅君は、優しいね。強いね。」
「え?」
過去の私は、
『人当たりが良くて優しくて、誰からも好かれるタイプで、話題が豊富で気遣いもできて、いつもみんなの中心にいる』
圭介のような存在になりたいと思っていた。
「友達、多くないよ。合わせてるだけ。嫌われないように相手の反応を見てるだけ。本音で話したりしない。怖いもん」
もう、圭介のようになりたいとは思わない。
強くなりたい。
拳をにぎりしめる。そしてゆっくりと開いた。
「私は誰かに嫌われたり笑われたりすることが怖かった。だから、ただニコニコ笑って相手に合わせるだけ。楽な方に流されるだけ。
でも、強くなるって決めた。三宅君が好きだから。」
私が憧れるのは、あなただ。
「私は三宅君が好き」
──────────
28~告白 side三宅冬馬 へ
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