目覚めはガングロギャル?!黒歴史は封印!清楚系美少女になって初恋の彼の闇落ちを阻止します!!

むぎてん

文字の大きさ
上 下
18 / 98

18 放課後の勉強会

しおりを挟む
                
「テストに出る漢字はこれとこれとこれ、これもたぶん出る。文章問題は教科書のままの文章で出るはずだから、この部分の主人公の気持ちを・・・・・・」

翌日の放課後。
三宅冬馬が、手際よく教科書に赤ペンで印を付けていく。

「うん、わかった。とりあえず、漢字から憶えてみるね!」

私は苦手な英語や数学からやった方がいいのでは? と言ったけど、三宅冬馬曰く、
『初っぱなから挫けると後が続かない』
らしい。
最初は自信を持つためにも得意なものからにしよう、と。
確かに! さすが三宅冬馬。
勉強だけじゃなくて心理面まで考えてるとか凄すぎない?

ここから私は暗記の時間、そして三宅冬馬は自分の勉強だ。
彼が訳のわからない数字や記号が並ぶ問題を、すらすらと解き始めた。

わ、私も頑張ろ!

印のついた漢字を一文字づつ丁寧に、何度も書いてみる。
とにかく、手が憶えてくれるまでひたすら書き続ける。

図書委員の男子生徒と私たち以外、誰もいない図書室には静かな空間が漂っている。


今日も、何人かのクラスメイトから絡まれたりしたが、適当に嫌味なくあしらった。

授業は相変わらず一ミリも解らなかったが、眠気と戦いながらも真面目に受けた。
ちゃんとノートの書き取りもした。

三宅冬馬とは、放課後まで特に話したりはしなかったが、時々目が合って嬉しかった。

早苗とありさに三宅冬馬と勉強会をすることになったと伝えると、驚きながらも凄く喜んでくれたことも嬉しかった。


 漢字を書き続けること30分。三宅冬馬がピックアップしてくれた漢字は憶えた。

すごい、完璧だ。やればできる子ゆかり。

文章問題の『主人公の気持ち』の問題に移ろう。
う~ん、なんとなくは解るんだけど、文章にするのはむずかしいな。
しかも30文字以内という条件までついている。
う~んう~ん、と頭をひねりつつ何とか書いてみたら、30文字ぴったりだった。

再び、さっき憶えた漢字を書いてみるとちゃんと書けて嬉しかった。

三宅冬馬が即席で作ってくれたテストでは、漢字はすべて正解だった。
文章問題はテストでこの解答をした場合、残念ながら○はもらえないらく、もしかしたら△はもらえるかも、とのこと。
模範的な解答例も丁寧に教えてくれた。

「君の頭は悪くない」

三宅冬馬が言ってくれた。

「そうかな?」
「ああ、漢字は全て時間以内に憶えたし、文章問題の解答も、文法がちゃんとしていれば余裕で正解だ。」
「う、嬉しいな。何だかちょっと賢くなったみたい。」

なんて、ちょっと調子に乗ってみる。

「ああ、賢くなった。こうして、ひとつづつ賢くなればいい」

さらりと気取らない言い方がカッコよすぎる。
こんなに優しい人だったなんて。

高校時代、ずっと好きだった。
でも今はあの頃よりもっと好きだと思う。

眺めているだけじゃ人の心の中なんて一生わからない。
知りたいな。
本当の三宅冬馬を知りたい。
誰も知らない本当の三宅冬馬を。


──────────
19~放課後の勉強会   side三宅冬馬  へ


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラヴィスの華〜BADエンドが確定している乙女ゲー世界のモブに転生した私が攻略対象から溺愛されているワケ〜

アルト
恋愛
たった一つのトゥルーエンドを除き、どの攻略ルートであってもBADエンドが確定している乙女ゲーム「クラヴィスの華」。 そのゲームの本編にて、攻略対象である王子殿下の婚約者であった公爵令嬢に主人公は転生をしてしまう。 とは言っても、王子殿下の婚約者とはいえ、「クラヴィスの華」では冒頭付近に婚約を破棄され、グラフィックは勿論、声すら割り当てられておらず、名前だけ登場するというモブの中のモブとも言えるご令嬢。 主人公は、己の不幸フラグを叩き折りつつ、BADエンドしかない未来を変えるべく頑張っていたのだが、何故か次第に雲行きが怪しくなって行き────? 「────婚約破棄? 何故俺がお前との婚約を破棄しなきゃいけないんだ? ああ、そうだ。この肩書きも煩わしいな。いっそもう式をあげてしまおうか。ああ、心配はいらない。必要な事は俺が全て────」 「…………(わ、私はどこで間違っちゃったんだろうか)」 これは、どうにかして己の悲惨な末路を変えたい主人公による生存戦略転生記である。

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

妹ちゃんは激おこです

よもぎ
ファンタジー
頭からっぽにして読める、「可愛い男爵令嬢ちゃんに惚れ込んで婚約者を蔑ろにした兄が、妹に下剋上されて追い出されるお話」です。妹視点のトークでお話が進みます。ある意味全編ざまぁ仕様。

ゆるふわな可愛い系男子の旦那様は怒らせてはいけません

下菊みこと
恋愛
年下のゆるふわ可愛い系男子な旦那様と、そんな旦那様に愛されて心を癒した奥様のイチャイチャのお話。 旦那様はちょっとだけ裏表が激しいけど愛情は本物です。 ご都合主義の短いSSで、ちょっとだけざまぁもあるかも? 小説家になろう様でも投稿しています。

メイドから家庭教師にジョブチェンジ~特殊能力持ち貧乏伯爵令嬢の話~

Na20
恋愛
ローガン公爵家でメイドとして働いているイリア。今日も洗濯物を干しに行こうと歩いていると茂みからこどもの泣き声が聞こえてきた。なんだかんだでほっとけないイリアによる秘密の特訓が始まるのだった。そしてそれが公爵様にバレてメイドをクビになりそうになったが… ※恋愛要素ほぼないです。続きが書ければ恋愛要素があるはずなので恋愛ジャンルになっています。 ※設定はふんわり、ご都合主義です 小説家になろう様でも掲載しています

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜

ボタニカルseven
恋愛
「今までお世話になりました」 あぁ、これでやっとこの人たちから解放されるんだ。 「セレス様、行きましょう」 「ありがとう、リリ」 私はセレス・バートレイ。四歳の頃に母親がなくなり父がしばらく家を留守にしたかと思えば愛人とその子供を連れてきた。私はそれから今までその愛人と子供に虐げられてきた。心が折れそうになった時だってあったが、いつも隣で見守ってきてくれた精霊たちが支えてくれた。 ある日精霊たちはいった。 「あの方が迎えに来る」 カクヨム/なろう様でも連載させていただいております

【完結】何回も告白されて断っていますが、(周りが応援?) 私婚約者がいますの。

BBやっこ
恋愛
ある日、学園のカフェでのんびりお茶と本を読みながら過ごしていると。 男性が近づいてきました。突然、私にプロポーズしてくる知らない男。 いえ、知った顔ではありました。学園の制服を着ています。 私はドレスですが、同級生の平民でした。 困ります。

処理中です...