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17~パパのお迎え? side三宅冬馬
しおりを挟むside三宅冬馬
「パパが来ちゃう」と彼女は言った。
パパとは父親のことか?
しかし高校生にもなって父親のことをパパと呼ぶものなのか?
まさか違う意味の『パパ』か?
いや、そんな事はない。
しかし最近までの彼女の姿を考えると・・・・
違う。
ガングロギャルではあったが、彼女はそんな事はしない。
しかし、やはり気になる。
俺の使う最寄りのバス停は西門から出たほうが近いんだが・・・・・・
正門まで一緒に行ってみよう。そうしよう。
白いセダンが止まっている。
父親だ父親だ父親だ父親だ。
俺は心の中で祈るように繰り返す。
「今日は話を聞いてくれてありがとう。
迷惑を掛けちゃうと思うけど明日からよろしくね。バイバイ!」
こういうところで分かる。
やはり川上はしっかりした人間だ。
『パパ』は父親に違いない。
「おかえり、ゆかり。お友達か?」
『パパ』は、やはり父親だった。
童顔で優しげな雰囲気は、確かに『お父さん』というより『パパ』のほうがしっくり来るな。
「うん。同じクラスの三宅君」
川上が俺のことを紹介した。
「そうか、三宅君、いつもゆかりと仲良くしてくれてありがとう」
にこりと笑った顔が彼女とよく似ている。
川上の『父親』だ。
「いえ、こちらこそ、仲良くしてもらっています。」
たった一言の挨拶に緊張したのは初めてだった。
今日の俺は、イライラしたり、慌てたり、落ち込んだり、緊張したり、ほっとしたり。
こんな事は生まれて初めてで、ものすごく疲れた。
感情があっちにこっちに揺れ動いて、その振り幅が大きすぎて、おまけに生まれて初めて誰かを好きになったと自覚した。
川上のことを好きだと意識してしまったら、もうダメだった。
もっと色んな話をしてみたい。
彼女の事をもっと知りたい。
もっと、彼女に近づきたい。
もっと、もっと。
俺は馬鹿は嫌いだ。
すぐに泣く女もめんどくさい。
高校生にもなって父親のことをパパと呼ぶなど論外だ。
なのに川上だけは、そういう所も可愛く見えてしまう。
本当に俺は、重症だ。
──────────
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