目覚めはガングロギャル?!黒歴史は封印!清楚系美少女になって初恋の彼の闇落ちを阻止します!!

むぎてん

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8 約束の月曜日①

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目覚ましのベルの音。
両腕を上げてグーッと伸びをする。
時計の針は縦に一直線、6時だ。

月曜日、今日から学校だ。

高校生に戻ったあの日の夜は、眠るのが怖かった。
眠って 目が覚めたら あの未来に戻っているんじゃないかって。
でも私は高校生のまま、今日もここにいる。


土曜日、日曜日と ショッピングに行ったり部屋の片付けをしたりと忙しく過ごした。

ママが新しいワンピースを買ってくれて、パパは部屋の片付けを手伝ってくれた。
パパが一生懸命働いたお給料で買った、ギャル服や小物を捨てるのがすごく申し訳なくて何度も謝った。

そして今、 スッキリとした部屋で月曜日の朝を迎えている。
早苗とありさに三宅冬馬を好きだと打ち明けると決めた、約束の月曜日。
ガングロの化粧はしない。
正直な自分で向かい合おう。

緊張する。グーパーグーパー

大丈夫、きっと笑ったりなんかしない。
信じてる。二人は私の親友だ。

栗色の髪の毛を、ゆるふわの内巻きにしてサイドは耳に掛けた。
血色の良いツルツルのお肌に、リキッドファンデーションを薄く伸ばしパウダーで押さえる。
ハイライトはおでこ、目頭、鼻筋、顎にブラシを使って薄く乗せる。
間違ってもグリグリと大量に塗りたくったりしてはいけない。
眉は慎重に。
可愛らしく、庇護欲をそそる形(あざといともいう)になるように角度に気を付ける。
アイラインは目のきわギリギリに、まつげとまつげのの間を埋めるように書いていく。
目尻は少し下げ気味に。
一見アイラインを引いているようには見えないところがミソだが、かなりしっかりと書いている。
ビューラーでまつげを持ち上げる。
マスカラは定着兼保護用の透明のものを使う。
わざとらしさがなく、より清楚に見えるからね。
重くならずにパッチリ感もちゃんとアップする。
唇は薬用リップを塗った上から透明感のあるローズピンクのグロスのみ。
童顔の唇には派手な色より艶が大事。
最後にほんのりピンクのチークを頬骨の一番たかい位置に軽くのせる。
何度もいうが、薄く、うすーくだ。
大量にグリグリ塗りたくるとただの酔っぱらいになってしまう。

シャツのボタンをしっかり止めてリボンを結ぶ。
斜めにならないように慎重に、大きくふんわりと。
リボンが大きいと小顔にみえるからね。
これは結構効果がある。

新しいスカートにシャツの裾をキチンと仕舞い、パっパとはたいてプリーツを整える。

姿見の前に立ち、 にっこりと微笑んだ。
土曜、日曜で何度も何度も練習した、自称『天使の微笑み』だ。

くるりと回り、おかしなところがないか確認する。
うん、大丈夫。
私は可愛い! 私は清楚系美少女だ!
 自分に暗示を掛けて、部屋を出た。

「おはようゆかり。今朝は早いのね」
「うん、 お腹空いて目が覚めちゃった」
ママがクスクス笑いながらトーストにバターを塗る。
パパは新聞から目を上げると、私の制服姿を見て うん、うんと頷いた。

朝食を終え、かばんを肩に描けた。
「じゃ、行ってきます」
ローファーを履いて玄関のドアを開けようとした時、パパが追いかけて来た。

「 ゆかり、今日はパパ、仕事の都合で 車で出勤するんだ。帰り、時間が合えば迎えに行くが」

 ・・・・・・うーん、別にいいんだけど、みんなの前でパパのお迎えはちょっとなぁ、やっぱり恥ずかしいっていうか?

ふと、親孝行という文字が頭に浮かぶ。

「じゃあ 5時半に 正門の前でもいいかな?」

帰りのホームルームが終わるのは4時半だから、一時間もずらせば大丈夫でしょ。

「ああ、大丈夫だ。じゃあ5時半な」
パパが嬉しそうで良かった。

「行ってらっしゃい」
「行ってきまーす」
両親に見送られて今度こそ家を出た。


──────────
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