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1 目覚めはガングロギャル?!
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1~目覚めはガングロギャル
目を覚ますと白い天井が見えた。
消毒液の臭い。
固いベッドに固い枕。
カサカサの白いシーツ。
ベッド横には生成り色の布張りの衝立て。
ここは・・・・・・病院?
ああ、私、助かったのか。
今、何時頃だろう。
職場に連絡しなきゃ。
無断欠勤なんかするわけにはいかない。
ナースコールを鳴らそうとキョロキョロしながら起き上がると、ズキリとこめかみに痛みが走った。
「いたた・・・・・・あ、あれ?ナースコールのボタンがない・・・・・・すみませーん、誰かいませんか?看護師さーん」
「ゆかり!」
誰かが私の名前を呼んだ。
若い女の子特有の甲高い声。
「ゆかり!!」
衝立ての向こうから慌ててかけ寄って来た少女がもう一度私の名前を呼んで顔を覗き込んできた。
「ひいっ!!!」
少女の顔面に驚いた私はヘッドの際まで大きくのけ反った。
ななな何!? 何!? 何よこの子!!!
かぎりなく金に近い茶髪。
黒く塗りたくった肌。
さらに真っ黒のアイメイク。
そしてその周りを囲う白いハイライト。
唇も白い。
目の下には小さなハートのシールがキラキラ光ってる。
が、ガングロ?
「ゆかり、大丈夫!?」
ガングロの少女が私に向かって話しかけて来る。
なな何で私の名前を知ってるの?
その顔は眉間にシワをよせ、私の目を覗き込んでいる。
本当に心配しているようだ。
あれ?・・・・・・この顔・・・・・・どこかで・・・・・
「ゆかりったら、いきなり階段ですっ転んで落ちんだもん。マジびっくりしたじゃん!」
「あ、え・・・・・・と」
「痛いとこない?」
「・・・・・・あなた、だ、誰・・・・?」
「は? ちょ、ちょっと、ゆかり大丈夫? 頭打った? マジでヤバくね?! ウチだよ、早苗だよ!」
は? え? 早苗? 早苗?!
早苗だ!!
高校時代のガングロ仲間、早苗だ。
は? は? 何これ、何で早苗、高校生なの?
訳がわからない。何だこれ? 何の冗談?
「あ、あ・・・・・」
「ゆかり! 病院いこう! 頭のレントゲン撮んなきゃ!」
病院に? ここは病院じゃないの?
「あゆちゃん先生呼んでくるから!」
ガングロの早苗があわてて部屋から出ていった。
一人残された私は、頭が真っ白だ。
真っ白な煙みたいな物がぐるぐると回って目眩がする。
どうなってるの?
自分の体を見下ろしてみる。
は? 何で私まで、女子高生の制服を着てるの?
体のあちこちを触ってみる。
どこも痛くない。吐き気もない。
ポケットに手を入れてみると、小さな手鏡があった。
それを手に取り、恐る恐るのぞき込む・・・・・・
「ひぃぃっ」
思わず悲鳴をあげ手鏡を放り投げた。
パンダのような真っ黒い目元が映ってた。
ガングロ、ガングロだ・・・・・・
こ、これ私だ。高校生の頃の私だ。
確かに私は高校時代ガングロギャルだった。
人生最大の黒歴史!
何で? 何で私、高校生になってるの?
ま、まさか今流行りのタイムリープってやつ?
いやいや、これはどっきりでしょ!?
このどぎついガングロメイクを落としたら、今の "42歳" の私が現れるって、そういう設定の!
カタカタと震える手をグッと握りしめる。
落ち着け落ち着け。グーパー、グーパー。
開いた手のひらを見れば、それは苦労を知らない白魚のような少女の手だった。
早苗が白衣を着た30代の女性と駆け込んできた。
高校時代の保険医『あゆちゃん先生』だ。
こ、これは、もう、間違いない。
私、高校生に戻ってる・・・・・・
「川上さん!大丈夫? 私がわかる?!」
あゆちゃん先生が私の体を確かめて、いろいろと質問してくる。
本当のことを言って、頭おかしい認定されたら大変だ!
「あ、だ、大丈夫です。ちょっと、びっくりして混乱したみたいで・・・・・・どこも痛くありません」
とりあえず何とか答えることができた。
「ああ、良かったわ。今日はもう、帰りなさい。何かあったらすぐに病院にいくのよ?」
早苗と先生がほっとしたようにため息をはいた。
「はい、ありがとうございます」
「ウチも一緒に帰るよ。教室からカバン持ってくる。ありさと来るよ」
早苗が待ってて、といい残し、部屋を出て行った。
ああ、私、これからどうなるんだろう。
───────
2~川上ゆかりという人間① へ
目を覚ますと白い天井が見えた。
消毒液の臭い。
固いベッドに固い枕。
カサカサの白いシーツ。
ベッド横には生成り色の布張りの衝立て。
ここは・・・・・・病院?
ああ、私、助かったのか。
今、何時頃だろう。
職場に連絡しなきゃ。
無断欠勤なんかするわけにはいかない。
ナースコールを鳴らそうとキョロキョロしながら起き上がると、ズキリとこめかみに痛みが走った。
「いたた・・・・・・あ、あれ?ナースコールのボタンがない・・・・・・すみませーん、誰かいませんか?看護師さーん」
「ゆかり!」
誰かが私の名前を呼んだ。
若い女の子特有の甲高い声。
「ゆかり!!」
衝立ての向こうから慌ててかけ寄って来た少女がもう一度私の名前を呼んで顔を覗き込んできた。
「ひいっ!!!」
少女の顔面に驚いた私はヘッドの際まで大きくのけ反った。
ななな何!? 何!? 何よこの子!!!
かぎりなく金に近い茶髪。
黒く塗りたくった肌。
さらに真っ黒のアイメイク。
そしてその周りを囲う白いハイライト。
唇も白い。
目の下には小さなハートのシールがキラキラ光ってる。
が、ガングロ?
「ゆかり、大丈夫!?」
ガングロの少女が私に向かって話しかけて来る。
なな何で私の名前を知ってるの?
その顔は眉間にシワをよせ、私の目を覗き込んでいる。
本当に心配しているようだ。
あれ?・・・・・・この顔・・・・・・どこかで・・・・・
「ゆかりったら、いきなり階段ですっ転んで落ちんだもん。マジびっくりしたじゃん!」
「あ、え・・・・・・と」
「痛いとこない?」
「・・・・・・あなた、だ、誰・・・・?」
「は? ちょ、ちょっと、ゆかり大丈夫? 頭打った? マジでヤバくね?! ウチだよ、早苗だよ!」
は? え? 早苗? 早苗?!
早苗だ!!
高校時代のガングロ仲間、早苗だ。
は? は? 何これ、何で早苗、高校生なの?
訳がわからない。何だこれ? 何の冗談?
「あ、あ・・・・・」
「ゆかり! 病院いこう! 頭のレントゲン撮んなきゃ!」
病院に? ここは病院じゃないの?
「あゆちゃん先生呼んでくるから!」
ガングロの早苗があわてて部屋から出ていった。
一人残された私は、頭が真っ白だ。
真っ白な煙みたいな物がぐるぐると回って目眩がする。
どうなってるの?
自分の体を見下ろしてみる。
は? 何で私まで、女子高生の制服を着てるの?
体のあちこちを触ってみる。
どこも痛くない。吐き気もない。
ポケットに手を入れてみると、小さな手鏡があった。
それを手に取り、恐る恐るのぞき込む・・・・・・
「ひぃぃっ」
思わず悲鳴をあげ手鏡を放り投げた。
パンダのような真っ黒い目元が映ってた。
ガングロ、ガングロだ・・・・・・
こ、これ私だ。高校生の頃の私だ。
確かに私は高校時代ガングロギャルだった。
人生最大の黒歴史!
何で? 何で私、高校生になってるの?
ま、まさか今流行りのタイムリープってやつ?
いやいや、これはどっきりでしょ!?
このどぎついガングロメイクを落としたら、今の "42歳" の私が現れるって、そういう設定の!
カタカタと震える手をグッと握りしめる。
落ち着け落ち着け。グーパー、グーパー。
開いた手のひらを見れば、それは苦労を知らない白魚のような少女の手だった。
早苗が白衣を着た30代の女性と駆け込んできた。
高校時代の保険医『あゆちゃん先生』だ。
こ、これは、もう、間違いない。
私、高校生に戻ってる・・・・・・
「川上さん!大丈夫? 私がわかる?!」
あゆちゃん先生が私の体を確かめて、いろいろと質問してくる。
本当のことを言って、頭おかしい認定されたら大変だ!
「あ、だ、大丈夫です。ちょっと、びっくりして混乱したみたいで・・・・・・どこも痛くありません」
とりあえず何とか答えることができた。
「ああ、良かったわ。今日はもう、帰りなさい。何かあったらすぐに病院にいくのよ?」
早苗と先生がほっとしたようにため息をはいた。
「はい、ありがとうございます」
「ウチも一緒に帰るよ。教室からカバン持ってくる。ありさと来るよ」
早苗が待ってて、といい残し、部屋を出て行った。
ああ、私、これからどうなるんだろう。
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