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26エリーゼ
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今日は3年間通った学園の卒業パーティーだ。
同級生たちがにこやかに談笑したりダンスを踊る中、私はひとり壁際に立ち苛々していた。
婚約者であるアーロンが迎えに来なかった。
エスコートもない。
婚約者としての義務を怠り、このわたくしに恥をかかせるなど決して許されることではない。
アーロンは最近下蔑な男爵令嬢と仲良くしているようだから、それに引っ張られて益々愚かになっているのだろう。
唯でさえ愚かなのにこれ以上愚かになるなんて信じられない。
正に『ハズレの第二王子』という二つ名に違わぬ愚鈍な男。
それが私の婚約者、アーロンだ。
愚鈍なアーロンはわたくしなら3秒で出来ることを3日かけても満足に出来ない。
そんな彼が何をしても何を言っても、わたくしは苛々するばかり。
苛々するから、もう何もして欲しくないし黙っていて欲しい。
そもそも全てにおいて優秀なこのわたくしが、何故にあの男の婚約者なのか。
第二王子という肩書きにつられるような馬鹿な令嬢なら他にいくらでもいるではないか。
歯ぎしりをして地団駄を踏みたい衝動をグッと堪えていると、こめかみにギリリとした痛みが走り目の前が真っ白になった。
脳出血、脳梗塞、くも膜下出血
知らない単語が頭を駆け巡った瞬間、膨大な記憶が津波のように押し寄せた。
✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳
有名難関高校、難関国立大学を卒業し、国内有数の大企業に就職、社内最年少で女性部長に就任。
カチリとしたパンツスーツに身を包み、社内を颯爽と歩く私は鈴木えり子、42歳だ。
キャリアウーマンに男など必要ないとこの歳まで独身だったが、老後のことを考えて見合いで結婚をした。
しかしそれまで全て自分のペースで生活してきた私にとって、夫という名の他人と暮らすのはストレス以外の何ものでもなかった。
毎日毎日、苛々が募る。
『お金は私の給料で十分でしょう?』
『とにかく貴方は私の言うとおりに動いてくれたらいいの』
『余計なことはしなくていいから』
『それに触らないで!』
『もう貴方はなにもしないでよ!』
苛々は棘だらけの言葉になって夫を攻撃する。
そんな自分にも苛々して
『はあぁぁーーー』
漏れる溜息にうんざりしてまた溜息を漏らす。
そして、私たちの結婚生活は僅か一年で終わりを告げた。
夫が死んだのだ。自殺だった。
遺書には『ごめん、もう疲れた』とだけ書かれていた。
疲れた?
それはお互い様だ!
自分ばかりが被害者のように、まるで当てつけのように自殺をするなんて!
そんなに私が嫌なら離婚を提案してくれれば良かったじゃない!!
私のせいじゃない!
私は間違ってない!
だけど‥‥‥
私の目からは涙が止めどなく流れ、口からは意味のない謝罪の言葉が繰り返しこぼれ落ちて消えていく。
どれほど涙を流しても、謝罪の言葉を吐いても、もう、夫は生き返らない‥‥‥
『う、うう、何で、私は‥‥‥ごめん‥なさい、ごめんなさい、ごめんなさい‥‥』
✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳
同級生たちがにこやかに談笑したりダンスを踊る中、私はひとり壁際に立ち苛々していた。
婚約者であるアーロンが迎えに来なかった。
エスコートもない。
婚約者としての義務を怠り、このわたくしに恥をかかせるなど決して許されることではない。
アーロンは最近下蔑な男爵令嬢と仲良くしているようだから、それに引っ張られて益々愚かになっているのだろう。
唯でさえ愚かなのにこれ以上愚かになるなんて信じられない。
正に『ハズレの第二王子』という二つ名に違わぬ愚鈍な男。
それが私の婚約者、アーロンだ。
愚鈍なアーロンはわたくしなら3秒で出来ることを3日かけても満足に出来ない。
そんな彼が何をしても何を言っても、わたくしは苛々するばかり。
苛々するから、もう何もして欲しくないし黙っていて欲しい。
そもそも全てにおいて優秀なこのわたくしが、何故にあの男の婚約者なのか。
第二王子という肩書きにつられるような馬鹿な令嬢なら他にいくらでもいるではないか。
歯ぎしりをして地団駄を踏みたい衝動をグッと堪えていると、こめかみにギリリとした痛みが走り目の前が真っ白になった。
脳出血、脳梗塞、くも膜下出血
知らない単語が頭を駆け巡った瞬間、膨大な記憶が津波のように押し寄せた。
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有名難関高校、難関国立大学を卒業し、国内有数の大企業に就職、社内最年少で女性部長に就任。
カチリとしたパンツスーツに身を包み、社内を颯爽と歩く私は鈴木えり子、42歳だ。
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しかしそれまで全て自分のペースで生活してきた私にとって、夫という名の他人と暮らすのはストレス以外の何ものでもなかった。
毎日毎日、苛々が募る。
『お金は私の給料で十分でしょう?』
『とにかく貴方は私の言うとおりに動いてくれたらいいの』
『余計なことはしなくていいから』
『それに触らないで!』
『もう貴方はなにもしないでよ!』
苛々は棘だらけの言葉になって夫を攻撃する。
そんな自分にも苛々して
『はあぁぁーーー』
漏れる溜息にうんざりしてまた溜息を漏らす。
そして、私たちの結婚生活は僅か一年で終わりを告げた。
夫が死んだのだ。自殺だった。
遺書には『ごめん、もう疲れた』とだけ書かれていた。
疲れた?
それはお互い様だ!
自分ばかりが被害者のように、まるで当てつけのように自殺をするなんて!
そんなに私が嫌なら離婚を提案してくれれば良かったじゃない!!
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私は間違ってない!
だけど‥‥‥
私の目からは涙が止めどなく流れ、口からは意味のない謝罪の言葉が繰り返しこぼれ落ちて消えていく。
どれほど涙を流しても、謝罪の言葉を吐いても、もう、夫は生き返らない‥‥‥
『う、うう、何で、私は‥‥‥ごめん‥なさい、ごめんなさい、ごめんなさい‥‥』
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