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第53話:ジョーン殿下には勝てない
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次の瞬間、誰かが後ろから抱き着いて来たのだ。この感じは…
「イヤ、離してください!ジョーン殿下」
一瞬にて背筋が凍り付くのを感じた。
「嬉しいな、どうして僕だとわかったのだい?顔も見ていないのに、僕だと気づいてくれるだなんて。運命を感じるよ」
何が運命よ。私はあなたの持つオーラを感じ取っただけよ。
「ふざけないで下さい。この様な事をして、許されると思っているのですか?とにかく離して」
何なの、この人。全く動かないじゃない。
「許されると思っている?どうして僕が、許しを乞わないといけないのだい?生まれるタイミングがちょっと遅かっただけで、愚かな兄上が何もかも持って行くのはおかしいだろう?シャレル、僕は君が欲しい。君がいれば何もいらないよ。だから、どうか僕のものになって」
この人、何を言っているの?そんなの、嫌に決まっている。
「私は…」
「もし君が僕の言う事を聞くなら、これ以上何もしないよ。君だってマリアの様になりたくないだろう?」
耳元で呟くジョーン殿下の声。恐怖から体がガタガタと震える。
「兄上たちが僕が席を外した事で、慌てだしたね。そろそろ君を返さないと。シャレル、僕は君をずっと見ているよ。これからもずっとね。シャレルをあの男の元に、一旦返してあげて」
「承知いたしました。さあ、シャレル様、参りましょう」
ガタガタと震える私を連れて、そのまま部屋を後にした。
「あなたは一体何者なの?ただのメイドではないのでしょう?あの部屋は一体…」
「シャレル、こんなところまで来ていたのだね。よかった、心配したのだよ」
この声は。
「ダーウィン様!」
ダーウィン様にギュッと抱き着いた。
「シャレル、どうしたのだい?震えているじゃないか。まさかジョーンに何かされたのかい?」
「何でもありませんわ。ちょっとお手洗いが近くになくて。迷子になってしまったのです。さあ、参りましょう」
「迷子って、メイドは…あれ?さっきまでいたメイドがいないね。どこに行ったのだろう」
さっきまでいたメイドがいないですって?確かにメイドの姿がない。きっとあの女性は、メイドではないわ。ジョーン殿下の手下なのだろう。
「食堂に戻ると、何食わぬ顔で待っていたジョーン殿下。
「シャレル嬢、随分と遅かったね。さあ、食事にしよう」
何食わぬ顔で食事をするジョーン殿下。あの男、一体何を考えているのかしら?でも、わざわざあのお部屋を見せたという事は、きっと私に対する警告だろう。もし今、私があの男の元に向かえば、ダーウィン様には手出ししない。でも、もし言う事を聞かなれば…
ふと視線を感じる。恐る恐る視線の先を見ると、そこには不敵な笑みを浮かべたジョーン殿下の姿が。
その瞬間、一気に血の気が引いた。あの顔、1度目の生の時にダーウィン様を殺した時の顔にそっくりだ。実の兄の血潮を浴びながらも、あんな風に笑っていた。
怖い…怖いわ。私はきっと、あの男には勝てない。今回もきっと、あの男に負けてしまう。
「シャレル、どうしたのだい?顔色が悪いよ。ジョーン、シャレルの体調があまり思わしくない様なんだ。一旦部屋に戻るよ」
「それは大変だね。シャレル嬢、大丈夫かい?兄上、僕の事は気にしなくていいから、早くシャレル嬢を部屋に連れて行ってあげてくれ。無理をすると大変だからね」
「ああ、そうさせてもらうよ。それじゃあ、行こうか。シャレル」
ダーウィン様に支えられ、部屋から出ていく。
「ダーウィン様、申し訳ございません。今日はもう公爵家に帰りますわ」
「分かったよ、それじゃあ、送って以いこう」
ダーウィン様が私を抱きかかえ、馬車に乗せてくれた。そして
「シャレル、ジョーンと何かあったのかい?君が出て行ってしばらくたった後、ジョーンのズボンに料理が落ちるというハプニングがあってね。少し席を外したんだ。そのタイミングと同時に、このブローチが壊れたから、心配で…」
「このブローチには、私の居場所が特定できる機能が付いているのでしたね。ダーウィン様、私、怖くてたまらないのです。あの男が、怖くて…」
今まで抑えていた感情が、一気に爆発して、ダーウィン様に強く抱き着いた。近くには使用人も護衛もいる。泣く訳にはいかない。それでも、恐怖から涙がとめどなく溢れてくるのだ。
そんな姿を見られない様に、必死で声を殺して泣いた。ダーウィン様の胸に顔をうずめて。
そんな私の頭を、優しく撫でてくれるダーウィン様。私はあの男に、きっと勝てない。また私は、ダーウィン様を失ってしまう。
私は何のために、2度目の生を生きているのだろう。結局また、彼を失うかもしれない。自分の不甲斐なさと絶望、どうしようもない悲しみが一気に襲う。これから私は、どうすればいいのだろう。
「イヤ、離してください!ジョーン殿下」
一瞬にて背筋が凍り付くのを感じた。
「嬉しいな、どうして僕だとわかったのだい?顔も見ていないのに、僕だと気づいてくれるだなんて。運命を感じるよ」
何が運命よ。私はあなたの持つオーラを感じ取っただけよ。
「ふざけないで下さい。この様な事をして、許されると思っているのですか?とにかく離して」
何なの、この人。全く動かないじゃない。
「許されると思っている?どうして僕が、許しを乞わないといけないのだい?生まれるタイミングがちょっと遅かっただけで、愚かな兄上が何もかも持って行くのはおかしいだろう?シャレル、僕は君が欲しい。君がいれば何もいらないよ。だから、どうか僕のものになって」
この人、何を言っているの?そんなの、嫌に決まっている。
「私は…」
「もし君が僕の言う事を聞くなら、これ以上何もしないよ。君だってマリアの様になりたくないだろう?」
耳元で呟くジョーン殿下の声。恐怖から体がガタガタと震える。
「兄上たちが僕が席を外した事で、慌てだしたね。そろそろ君を返さないと。シャレル、僕は君をずっと見ているよ。これからもずっとね。シャレルをあの男の元に、一旦返してあげて」
「承知いたしました。さあ、シャレル様、参りましょう」
ガタガタと震える私を連れて、そのまま部屋を後にした。
「あなたは一体何者なの?ただのメイドではないのでしょう?あの部屋は一体…」
「シャレル、こんなところまで来ていたのだね。よかった、心配したのだよ」
この声は。
「ダーウィン様!」
ダーウィン様にギュッと抱き着いた。
「シャレル、どうしたのだい?震えているじゃないか。まさかジョーンに何かされたのかい?」
「何でもありませんわ。ちょっとお手洗いが近くになくて。迷子になってしまったのです。さあ、参りましょう」
「迷子って、メイドは…あれ?さっきまでいたメイドがいないね。どこに行ったのだろう」
さっきまでいたメイドがいないですって?確かにメイドの姿がない。きっとあの女性は、メイドではないわ。ジョーン殿下の手下なのだろう。
「食堂に戻ると、何食わぬ顔で待っていたジョーン殿下。
「シャレル嬢、随分と遅かったね。さあ、食事にしよう」
何食わぬ顔で食事をするジョーン殿下。あの男、一体何を考えているのかしら?でも、わざわざあのお部屋を見せたという事は、きっと私に対する警告だろう。もし今、私があの男の元に向かえば、ダーウィン様には手出ししない。でも、もし言う事を聞かなれば…
ふと視線を感じる。恐る恐る視線の先を見ると、そこには不敵な笑みを浮かべたジョーン殿下の姿が。
その瞬間、一気に血の気が引いた。あの顔、1度目の生の時にダーウィン様を殺した時の顔にそっくりだ。実の兄の血潮を浴びながらも、あんな風に笑っていた。
怖い…怖いわ。私はきっと、あの男には勝てない。今回もきっと、あの男に負けてしまう。
「シャレル、どうしたのだい?顔色が悪いよ。ジョーン、シャレルの体調があまり思わしくない様なんだ。一旦部屋に戻るよ」
「それは大変だね。シャレル嬢、大丈夫かい?兄上、僕の事は気にしなくていいから、早くシャレル嬢を部屋に連れて行ってあげてくれ。無理をすると大変だからね」
「ああ、そうさせてもらうよ。それじゃあ、行こうか。シャレル」
ダーウィン様に支えられ、部屋から出ていく。
「ダーウィン様、申し訳ございません。今日はもう公爵家に帰りますわ」
「分かったよ、それじゃあ、送って以いこう」
ダーウィン様が私を抱きかかえ、馬車に乗せてくれた。そして
「シャレル、ジョーンと何かあったのかい?君が出て行ってしばらくたった後、ジョーンのズボンに料理が落ちるというハプニングがあってね。少し席を外したんだ。そのタイミングと同時に、このブローチが壊れたから、心配で…」
「このブローチには、私の居場所が特定できる機能が付いているのでしたね。ダーウィン様、私、怖くてたまらないのです。あの男が、怖くて…」
今まで抑えていた感情が、一気に爆発して、ダーウィン様に強く抱き着いた。近くには使用人も護衛もいる。泣く訳にはいかない。それでも、恐怖から涙がとめどなく溢れてくるのだ。
そんな姿を見られない様に、必死で声を殺して泣いた。ダーウィン様の胸に顔をうずめて。
そんな私の頭を、優しく撫でてくれるダーウィン様。私はあの男に、きっと勝てない。また私は、ダーウィン様を失ってしまう。
私は何のために、2度目の生を生きているのだろう。結局また、彼を失うかもしれない。自分の不甲斐なさと絶望、どうしようもない悲しみが一気に襲う。これから私は、どうすればいいのだろう。
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