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第21話:やはり王族は信用できません!
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「あ…あの、クリスティーヌ様、こちらに素敵なお花がございます。どうかご覧に…」
「申し訳ないけれど、今カリーナ殿下とお茶をしている最中なの。すぐに戻らないと」
「でも…」
なぜか私を引き留めようとするメイド。おかしい!メイドを無視し、急いで2人のいる部屋に戻ろうとした時だった。
「やあ、クリスティーヌ嬢。今日はカリーナの為に、王宮に来てくれたのだったね。僕が誘っても、全然応じてくれないのに。寂しいな…」
やって来たのは、胡散臭い微笑を浮かべた殿下だ。
「申し訳ございませんが、殿下に構っている暇はございません。それでは失礼いたします」
なんだか嫌な予感がするのだ。早く戻らないと。
「待って、クリスティーヌ嬢。悪い事は言わないから、アルフレッド殿の事は諦めた方がいいよ。カリーナに目を付けられたら、もうおしまいだ。だから僕と…」
「どうして私がアルフレッド様を諦めないといけないのですか?とにかく私は戻ります」
何なのよこの男!鬱陶しいことこの上ない。
「いいよ、じゃあ、カリーナの恐ろしさを見せてあげる。こっちに来て」
私の手を握り、カロイド殿下が歩き出した。ちょっと、気安く触らないでよ!
「殿下、どこに…えっ…」
殿下がある部屋に連れて行ってくれた。とても豪華な造りで、きっと王族の部屋なのだろう。ただ…部屋のあちらこちらに、アルフレッド様の似顔絵が貼っている。さらにアルフレッド様によく似たぬいぐるみや、私の似顔絵にナイフが刺さったものまで…
「この部屋は、カリーナ殿下の部屋なのですね…」
「ああ、そうだよ。すごいだろう?カリーナのアルフレッド殿に対する執着。カリーナはきっと、君たちを何が何でも引き裂くと思うよ。それにしても、カリーナって面白いでしょう?欲しいものを手に入れるためには、手段を択ばないのだよ。我が妹ながら、その執着、尊敬するよ…」
なぜかうっとりとした表情を浮かべている殿下。何なのこの男、気持ち悪い!やっぱりこの人、変態だわ!て、今は殿下の変態っぷりに引いている場合じゃない。アルフレッド様が心配だわ。
「殿下、申し訳ございませんが、アルフレッド様が心配ですので、私はこれで失礼いたします」
「待って、クリスティーヌ嬢…」
後ろで殿下が叫んでいるが、今はそれどころではない。急いで部屋へと戻る。
「お待たせしてごめんなさい。ちょっとお手洗いに手間取っておりまして」
部屋に入ると、なぜかアルフレッド様がカリーナ殿下を押し倒すような形になっていた。これは一体…
「違うんだ、これには訳が…」
「クリスティーヌ様、アルフレッド様が急に私に…」
ポロポロと涙を流すカリーナ殿下。来るのが遅かったのね…
「カリーナ殿下、お怪我はございませんか?それで一体、どうされたのですか?」
「アルフレッド様が急に私を押し倒してきて、その、みだらな事を…」
「違う!僕はそんな事をしていない。クリスティーヌが戻って来るタイミングを見計らって、彼女が僕の腕を無理やり引っ張って、押し倒すような形をとったんだ!本当だ、クリスティーヌ、信じてくれ」
必死に訴えかけてくるアルフレッド様。
「嘘ですわ。そもそもどうやって私が、クリスティーヌ様の動きを把握できるというのですか?」
確かにカリーナ殿下の言う通り、私がどのタイミングで部屋に入って来るかなんて、把握できないはずだ。でも…
ふと扉に背を付けて、こちらを見ているカロイド殿下の姿が目に入った。薄ら笑いを浮かべて、気持ち悪い顔でこちらを見ている。
「カリーナ殿下、アルフレッド様が申し訳ございませんでした。全て彼から目を離した私の責任です。もう二度とこのような事がない様に、アルフレッド様にはカリーナ殿下に近づかない様にさせます。王宮にも連れて参りませんので、どうかご安心を。さあ、アルフレッド様、帰りましょう」
「待って!私は別に、アルフレッド様から遠ざけて欲しいなどとは…」
「いいえ、これ以上アルフレッド様がカリーナ殿下に不快な事をしてしまうと、公爵家の名誉にもかかわります。本当に今回の件、申し訳ございませんでした。さあ、アルフレッド様、帰りましょう」
真っ青な顔をして小刻みに震えているアルフレッド様の手を握り、そのまま部屋を出る。部屋を出るとき、ニヤニヤとこちらを見ている殿下が目に入ったので、一応会釈だけはしておいた。
部屋から出る寸前、一瞬カリーナ殿下の方に目をやると、すごい形相でこちらを睨んでいた。やっぱり王族なんて、信用するべきではなかったわ。そのせいで、アルフレッド様を傷つけてしまったのだから…
「申し訳ないけれど、今カリーナ殿下とお茶をしている最中なの。すぐに戻らないと」
「でも…」
なぜか私を引き留めようとするメイド。おかしい!メイドを無視し、急いで2人のいる部屋に戻ろうとした時だった。
「やあ、クリスティーヌ嬢。今日はカリーナの為に、王宮に来てくれたのだったね。僕が誘っても、全然応じてくれないのに。寂しいな…」
やって来たのは、胡散臭い微笑を浮かべた殿下だ。
「申し訳ございませんが、殿下に構っている暇はございません。それでは失礼いたします」
なんだか嫌な予感がするのだ。早く戻らないと。
「待って、クリスティーヌ嬢。悪い事は言わないから、アルフレッド殿の事は諦めた方がいいよ。カリーナに目を付けられたら、もうおしまいだ。だから僕と…」
「どうして私がアルフレッド様を諦めないといけないのですか?とにかく私は戻ります」
何なのよこの男!鬱陶しいことこの上ない。
「いいよ、じゃあ、カリーナの恐ろしさを見せてあげる。こっちに来て」
私の手を握り、カロイド殿下が歩き出した。ちょっと、気安く触らないでよ!
「殿下、どこに…えっ…」
殿下がある部屋に連れて行ってくれた。とても豪華な造りで、きっと王族の部屋なのだろう。ただ…部屋のあちらこちらに、アルフレッド様の似顔絵が貼っている。さらにアルフレッド様によく似たぬいぐるみや、私の似顔絵にナイフが刺さったものまで…
「この部屋は、カリーナ殿下の部屋なのですね…」
「ああ、そうだよ。すごいだろう?カリーナのアルフレッド殿に対する執着。カリーナはきっと、君たちを何が何でも引き裂くと思うよ。それにしても、カリーナって面白いでしょう?欲しいものを手に入れるためには、手段を択ばないのだよ。我が妹ながら、その執着、尊敬するよ…」
なぜかうっとりとした表情を浮かべている殿下。何なのこの男、気持ち悪い!やっぱりこの人、変態だわ!て、今は殿下の変態っぷりに引いている場合じゃない。アルフレッド様が心配だわ。
「殿下、申し訳ございませんが、アルフレッド様が心配ですので、私はこれで失礼いたします」
「待って、クリスティーヌ嬢…」
後ろで殿下が叫んでいるが、今はそれどころではない。急いで部屋へと戻る。
「お待たせしてごめんなさい。ちょっとお手洗いに手間取っておりまして」
部屋に入ると、なぜかアルフレッド様がカリーナ殿下を押し倒すような形になっていた。これは一体…
「違うんだ、これには訳が…」
「クリスティーヌ様、アルフレッド様が急に私に…」
ポロポロと涙を流すカリーナ殿下。来るのが遅かったのね…
「カリーナ殿下、お怪我はございませんか?それで一体、どうされたのですか?」
「アルフレッド様が急に私を押し倒してきて、その、みだらな事を…」
「違う!僕はそんな事をしていない。クリスティーヌが戻って来るタイミングを見計らって、彼女が僕の腕を無理やり引っ張って、押し倒すような形をとったんだ!本当だ、クリスティーヌ、信じてくれ」
必死に訴えかけてくるアルフレッド様。
「嘘ですわ。そもそもどうやって私が、クリスティーヌ様の動きを把握できるというのですか?」
確かにカリーナ殿下の言う通り、私がどのタイミングで部屋に入って来るかなんて、把握できないはずだ。でも…
ふと扉に背を付けて、こちらを見ているカロイド殿下の姿が目に入った。薄ら笑いを浮かべて、気持ち悪い顔でこちらを見ている。
「カリーナ殿下、アルフレッド様が申し訳ございませんでした。全て彼から目を離した私の責任です。もう二度とこのような事がない様に、アルフレッド様にはカリーナ殿下に近づかない様にさせます。王宮にも連れて参りませんので、どうかご安心を。さあ、アルフレッド様、帰りましょう」
「待って!私は別に、アルフレッド様から遠ざけて欲しいなどとは…」
「いいえ、これ以上アルフレッド様がカリーナ殿下に不快な事をしてしまうと、公爵家の名誉にもかかわります。本当に今回の件、申し訳ございませんでした。さあ、アルフレッド様、帰りましょう」
真っ青な顔をして小刻みに震えているアルフレッド様の手を握り、そのまま部屋を出る。部屋を出るとき、ニヤニヤとこちらを見ている殿下が目に入ったので、一応会釈だけはしておいた。
部屋から出る寸前、一瞬カリーナ殿下の方に目をやると、すごい形相でこちらを睨んでいた。やっぱり王族なんて、信用するべきではなかったわ。そのせいで、アルフレッド様を傷つけてしまったのだから…
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