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第14話:毎日が幸せすぎて怖い~アルフレッド視点~

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その後義父上との話し合いにも付いて行ったが、その場でもはっきりと、公爵家を僕と一緒に継ぎたい、王太子殿下との事はなかった事にして欲しい!と、言ってくれたのだ。

昨日とは180度違う事を言うクリスティーヌに、さすがの義父上も半信半疑の様だが、義母上はものすごく喜んでいた。クリスティーヌの気持ちが変わらないうちに、僕たちの婚約をとの話まで出たが、この国では14歳以上でないと、婚約できないため、泣く泣く諦めた。

正直僕は、この時点でも不安だった。昔の優しくて僕の事を大切にしてくれていたクリスティーヌに戻ってくれた事はものすごく嬉しい。でも、また僕の事を嫌い、避けられたらどうしようと…

そんな僕の不安に気が付いているのか、極力僕の傍にいてくれる様になったクリスティーヌ。今まで1人で食べていた食事も一緒に食べるようになった。さらに僕が夜遅くまで勉強をしている事を知って、わざわざお茶とお菓子を持ってきてくれたのだ。

それが嬉しくてたまらない。早速クリスティーヌが持ってきてくれたお茶を頂きながら、勉強を進める。クリスティーヌが近くにいてくれるだけで、僕の勉強もはかどる。それにしても、随分と静かだな。

そう思い、クリスティーヌの方を見ると、なんとソファで眠っていた。

「クリスティーヌ、こんなところで眠ったら風邪をひくよ」

そう声を掛けるが、全く起きる気配がない。そう言えば、昔はよくこうやって僕のベッドで眠るクリスティーヌの寝顔を見つめていたな…

あの頃よりもずいぶん大きくなったクリスティーヌ。そっとクリスティーヌの頬に触れる。僕もソファに横になり、ギュッとクリスティーヌを抱きしめた。柔らかくて温かい…

「クリスティーヌ、僕の元に戻って来てくれてありがとう。でも僕は…またいつか君が僕の傍を離れていくのではないかと、心配でたまらないよ」

クリスティーヌに避けられ怯えられていた日々は、本当に辛かった。もう二度とあんな思いをしたくない。もう二度と、クリスティーヌを失いたくはない。このままずっと、僕の腕の中に閉じ込めておきたい。

そんな気持ちが溢れ出す。その時だった。無意識にクリスティーヌが、僕に抱き着いて来たのだ。さらにすり寄って来た。

やっぱりクリスティーヌは可愛すぎる。今日の勉強はこの辺にして、もう寝よう。それにこんな狭いソファの上にクリスティーヌを寝かしておいて、万が一クリスティーヌが風邪をひいたら大変だ。

急いで着替えを済ませ、クリスティーヌを僕のベッドに運んだ。そして僕もそのままベッドに入った。

「…アルフレッド様…」

クリスティーヌが僕の名前を呼び、再びすり寄って来たのだ。そのままギュッとクリスティーヌを抱きしめた。昔こうやってクリスティーヌを抱きしめながら寝ていたな。あの頃は両親を亡くして辛かったけれど、それでもクリスティーヌがいてくれたお陰で、僕は笑顔を取り戻した。

もう二度とあの日の様な日は訪れないかもしれない、頭の片隅でそんな事を考え絶望し、涙を流していたかつての自分。でも今、再びクリスティーヌが僕の元に戻って来てくれた。それが嬉しくて、気が付くと涙が溢れ出ていた。本当に僕は泣き虫だな。

そっと涙をぬぐい、クリスティーヌを抱きしめる。温かくて柔らかくて僕に安らぎを与えてくれるクリスティーヌの温もり。僕はこの日、久しぶりにゆっくり眠ったのだった。

朝起きると、目の前にはクリスティーヌの姿が。既に起きていた様で、僕を見るとにっこりと笑ったのだ。

「おはようございます、アルフレッド様。ごめんなさい、昨日私、あのまま眠ってしまったのですね。目を覚ましたらアルフレッド様のベッドで眠っていたので、びっくりしましたわ。でも、なんだか昔に戻ったみたいで、懐かしかったです」

嬉しそうにクリスティーヌがそう話してくれた。よかった、クリスティーヌは今日も、僕を好きでいてくれている。それが嬉しくてたまらない。それからというもの、クリスティーヌは僕にずっと寄り添い、時間が許す限り僕の傍にずっといてくれるのだ。

すっかり昔のクリスティーヌに戻ってくれた。でも僕は、やっぱり不安なのだ。万が一またクリスティーヌに嫌われ、避けられたらと…

ただ、僕の不安を打ち消すように、目いっぱいの愛情を僕に与えてくれるクリスティーヌ。

“私は昔も今も、アルフレッド様が大好きですわ。ですからもう二度と、あなた様を悲しませないと誓います。どうか安心してください”

そう何度も伝えてくれた。彼女は僕をよく見ていて、僕が不安な気持ちになると、すぐにフォローしてくれるのだ。それがまた嬉しくてたまらない。

このままずっと、クリスティーヌが僕の方を向いてくれていたら…でも、まだ油断は出来ない。来月には貴族学院の入学を控えている。貴族学院には、一度はクリスティーヌがほれ込んだ王太子殿下もいる。それに、あの女…カリーナ殿下も…
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