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ヒューゴとマリアのIFストーリー
マリアに気持ちを伝えました
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「あの、殿下。あの方たちはよろしかったのですか?」
不安そうなマリア。
「ああ、いいんだよ。僕は君と話がしたかったのだから。さあ、こっちにおいで」
マリアを連れ、中庭の奥へとやって来た。そして、近くにあったベンチにマリアを座らせ、隣に僕も座った。
「マリア嬢、君は王妃に興味があるかい?」
マリアの気持ちが知りたくて、単刀直入に聞いた。一瞬大きく目を見開いたマリアだったが、すぐに冷静さを取り戻した様で、ゆっくり口を開いた。
「そうですね…王妃様に興味があると言われれば、正直よくわかりません。ただ…」
「ただ?」
「もし叶うのでしたら、その…あの…」
顔を真っ赤にして、俯いてしまった。少し意地悪な質問をしてしまった様だ。でも、きっとマリアは、僕を好意的に思っているはずだ。現に2度目の生の時、1度目の生の時、初めて会った夜会で僕を好きになったと言っていた。ここはもう、押していくしかない!
「マリア嬢、僕はね、君に初めて会った時から、君を好きになった。マリア嬢さえよければ、ずっと僕のそばにいて欲しい。ただ、王族は一夫多妻制だ。でもね、僕はマリア嬢だけを、愛し続けたいと思っているんだ」
マリアの目を見てはっきりとそう告げた。マリアにしてみれば、今日あったばかりの人間が、何を言っているのだろう?と思っているかもしれない。でも僕は…ずっとずっと君を求め続けてきた。もう1秒だって、離れたくはないのだ。
「あの…殿下。私も、殿下の事をお慕いしております。今日あったばかりで、こんな事を言うのは良くないかとは思いましたが、自分の気持ちに嘘は付きたくないので…」
頬を赤らめ、恥ずかしそうにマリアがそう言ってくれた。その言葉が、嬉しくて嬉しくて。やっと…やっとマリアが手に入る。そう思ったら、無意識に涙が溢れていた。
「殿下、どうされたのですか?」
急に僕が泣き出したからか、あわてだすマリア。ハンカチを取り出し、僕に渡してくれた。
「ありがとう、マリア嬢。君が僕を受けれいてくれたのが、嬉しくて…愛しているよ…マリア…」
マリアを自分の元に引き寄せ、そのまま抱きしめた。温かくて柔らかい…僕がずっと求めていたマリアが、今僕の腕の中にいる。それが嬉しくて、もう二度と離したくなくて、強く強く抱きしめた。
そんな僕の背中に、マリアが手を回してくれた。このままずっとこうしていたい、そんな気持ちが僕を支配する。でも…
ゆっくりマリアから離れ、再び彼女の瞳を見つめた。
「さっきも言ったけれど、僕はマリアだけを愛したい。その為にも、一夫多妻制を廃止しようと思っているんだ。でも、きっと並大抵な事じゃないと思っている。もし、一夫多妻制を廃止できなかったら、その時は…王太子を廃嫡してもらって、家臣に降りようと思っている。それでも、僕に付いて来てくれるかい?」
僕はどうしてもマリアだけを愛したい。たとえ形だけの側室だとしても、持ちたくはないのだ。それに、形だけの側室だなんて、相手にも失礼だ。1度目の生の時の第二、第三のマリアを生み出さないためにも、僕は絶対に一夫多妻制を認めるつもりはない。
でも…もしマリアが僕の考えを受け入れてくれなかったら…そんな不安が襲う。
「殿下…私の事をそこまで考えて下さっているのですね…ありがとうございます。でも、廃嫡はやりすぎでは?」
そう言って、マリアが苦笑いをしている。
「僕はね…君をそれほどにまで愛してしまったんだ。でも、君がどうしても王妃になりたいというなら、王太子でいるけれど」
「私は別に、王妃様になりたい訳ではないのです。それに私だけを見て下さるなら、側室を迎えても私は問題ありません」
「いいや、僕が側室を迎えたくはないのだよ。とにかく、なんとかして一夫多妻制を廃止に持って行こうと思っている。こんな僕だけれど、付いて来てくれるかい?」
マリアの瞳を見つめ、そう問いかけた。すると
「はい…私も殿下をお慕いしております。どんな事があっても、殿下の傍におりますわ。それにしても、こんなに惹かれ合うなんて、まるで運命みたいですわね」
そう言って笑ったマリア。運命か…
マリア、僕たちには運命なんてないんだよ…
なぜなら、今まで2度も引き裂かれてきたのだから…
だから僕は、運命なんて信じない。たとえ僕たちが引き裂かれる運命だとしても、今度はその運命をねじ伏せて見せる。絶対に…
「それでは早速父に頼んで、殿下のお妃候補に立候補いたしますわ。立候補しない事には、話が進みませんものね」
「ありがとう、マリア。僕も両親に一夫多妻制を廃止する様、働きかけてみるよ。それから、僕の事はヒューゴと名前で呼んでくれるかい?」
殿下と呼ばれると、なんだかよそよそしくて寂しくなる。それに、どんなに求めても受け入れられなかった、2度目の生の時の辛い記憶が蘇るのだ。
「わかりましたわ。それではヒューゴ様とお呼びいたしますね。ヒューゴ様」
ヒューゴ様…マリアの口から出た僕の名前。嬉しくて、再びマリアを抱きしめてしまった。
「ありがとう、マリア。これからよろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
不安そうなマリア。
「ああ、いいんだよ。僕は君と話がしたかったのだから。さあ、こっちにおいで」
マリアを連れ、中庭の奥へとやって来た。そして、近くにあったベンチにマリアを座らせ、隣に僕も座った。
「マリア嬢、君は王妃に興味があるかい?」
マリアの気持ちが知りたくて、単刀直入に聞いた。一瞬大きく目を見開いたマリアだったが、すぐに冷静さを取り戻した様で、ゆっくり口を開いた。
「そうですね…王妃様に興味があると言われれば、正直よくわかりません。ただ…」
「ただ?」
「もし叶うのでしたら、その…あの…」
顔を真っ赤にして、俯いてしまった。少し意地悪な質問をしてしまった様だ。でも、きっとマリアは、僕を好意的に思っているはずだ。現に2度目の生の時、1度目の生の時、初めて会った夜会で僕を好きになったと言っていた。ここはもう、押していくしかない!
「マリア嬢、僕はね、君に初めて会った時から、君を好きになった。マリア嬢さえよければ、ずっと僕のそばにいて欲しい。ただ、王族は一夫多妻制だ。でもね、僕はマリア嬢だけを、愛し続けたいと思っているんだ」
マリアの目を見てはっきりとそう告げた。マリアにしてみれば、今日あったばかりの人間が、何を言っているのだろう?と思っているかもしれない。でも僕は…ずっとずっと君を求め続けてきた。もう1秒だって、離れたくはないのだ。
「あの…殿下。私も、殿下の事をお慕いしております。今日あったばかりで、こんな事を言うのは良くないかとは思いましたが、自分の気持ちに嘘は付きたくないので…」
頬を赤らめ、恥ずかしそうにマリアがそう言ってくれた。その言葉が、嬉しくて嬉しくて。やっと…やっとマリアが手に入る。そう思ったら、無意識に涙が溢れていた。
「殿下、どうされたのですか?」
急に僕が泣き出したからか、あわてだすマリア。ハンカチを取り出し、僕に渡してくれた。
「ありがとう、マリア嬢。君が僕を受けれいてくれたのが、嬉しくて…愛しているよ…マリア…」
マリアを自分の元に引き寄せ、そのまま抱きしめた。温かくて柔らかい…僕がずっと求めていたマリアが、今僕の腕の中にいる。それが嬉しくて、もう二度と離したくなくて、強く強く抱きしめた。
そんな僕の背中に、マリアが手を回してくれた。このままずっとこうしていたい、そんな気持ちが僕を支配する。でも…
ゆっくりマリアから離れ、再び彼女の瞳を見つめた。
「さっきも言ったけれど、僕はマリアだけを愛したい。その為にも、一夫多妻制を廃止しようと思っているんだ。でも、きっと並大抵な事じゃないと思っている。もし、一夫多妻制を廃止できなかったら、その時は…王太子を廃嫡してもらって、家臣に降りようと思っている。それでも、僕に付いて来てくれるかい?」
僕はどうしてもマリアだけを愛したい。たとえ形だけの側室だとしても、持ちたくはないのだ。それに、形だけの側室だなんて、相手にも失礼だ。1度目の生の時の第二、第三のマリアを生み出さないためにも、僕は絶対に一夫多妻制を認めるつもりはない。
でも…もしマリアが僕の考えを受け入れてくれなかったら…そんな不安が襲う。
「殿下…私の事をそこまで考えて下さっているのですね…ありがとうございます。でも、廃嫡はやりすぎでは?」
そう言って、マリアが苦笑いをしている。
「僕はね…君をそれほどにまで愛してしまったんだ。でも、君がどうしても王妃になりたいというなら、王太子でいるけれど」
「私は別に、王妃様になりたい訳ではないのです。それに私だけを見て下さるなら、側室を迎えても私は問題ありません」
「いいや、僕が側室を迎えたくはないのだよ。とにかく、なんとかして一夫多妻制を廃止に持って行こうと思っている。こんな僕だけれど、付いて来てくれるかい?」
マリアの瞳を見つめ、そう問いかけた。すると
「はい…私も殿下をお慕いしております。どんな事があっても、殿下の傍におりますわ。それにしても、こんなに惹かれ合うなんて、まるで運命みたいですわね」
そう言って笑ったマリア。運命か…
マリア、僕たちには運命なんてないんだよ…
なぜなら、今まで2度も引き裂かれてきたのだから…
だから僕は、運命なんて信じない。たとえ僕たちが引き裂かれる運命だとしても、今度はその運命をねじ伏せて見せる。絶対に…
「それでは早速父に頼んで、殿下のお妃候補に立候補いたしますわ。立候補しない事には、話が進みませんものね」
「ありがとう、マリア。僕も両親に一夫多妻制を廃止する様、働きかけてみるよ。それから、僕の事はヒューゴと名前で呼んでくれるかい?」
殿下と呼ばれると、なんだかよそよそしくて寂しくなる。それに、どんなに求めても受け入れられなかった、2度目の生の時の辛い記憶が蘇るのだ。
「わかりましたわ。それではヒューゴ様とお呼びいたしますね。ヒューゴ様」
ヒューゴ様…マリアの口から出た僕の名前。嬉しくて、再びマリアを抱きしめてしまった。
「ありがとう、マリア。これからよろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
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