次は絶対に幸せになって見せます!

Karamimi

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ヒューゴとマリアのIFストーリー

10年後のファリアム王国は…

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~まえがき~

いつもお読みいただき、ありがとうございます!
有難い事に、ヒューゴとマリアのIFストーリのリクエストを、他サイトの読者様から頂きました。
その為、3度目の生のヒューゴとマリアのお話を書いてみました。
ライアンとマリアの物語を気に入って下さっているかた、ヒューゴが苦手な方は、スルーでお願いします。

基本的にマリアを振り向かせるというよりは、マリアだけを愛するために不器用なヒューゴが奮闘するというお話になっております。

全話ヒューゴ視点です。
全11話ほどありますので、一旦連載中に戻しました。
よろしくお願いいたしますm(__)m

以下本編です。


******
ファリアム王国を出て早10年。僕は旅を続けながら、なんとか生きながらえている。この10年、マリアの事を忘れた日は1日もない。きっと今頃、マリアはライアンと幸せに暮らしているのだろう。

正直言うと、マリアが今どんな生活をしているのか気になる。ライアンに幸せにしてもらっているだろうか?1度目の生のときと同じように、寂しい思いをしていないだろうか…

そんな思いから、10年ぶりにこっそりとファリアム王国を訪れた。10年経っても、王都はほとんど変わっておらず、なんだか懐かしい。

僕はマリアの情報が知りたくて、騎士団たちが好んで利用する店へと向かった。本当は王宮に向かおうかと思ったが、きっと今更僕が王宮に行っても、迷惑なだけだろう。そう思ったのだ。

店に足を踏み入れると、たくさんの騎士たちが酒を飲んでいた。僕はあいている席にスッと座る。

「あれ?兄ちゃん見かけない顔だな。旅の人かい?」

話しかけてきたのは、騎士団員だ。今の僕は、髭を生やし、身なりも綺麗ではない。きっと僕が元王太子とは気が付かないのだろう。

「ああ、ずっと旅をしているんだ」

「そうなのか。この国は豊かで本当にいい国だぞ。まあ、ゆっくりして行け」

そう言うと、僕にお酒を進めてくれた騎士団員。その時だった。

「ライアン団長。マジで鬼だよな。今日の稽古も本当にきつかったな…」

そう言って、ぐったりとしている数名の騎士団員たち。ライアン…彼は団長になったのだな…

「確かにな…でも、団長のお陰で俺たちも強くなったのだから、感謝しないと」

そう言ってぐったりしている団員の方を叩く他の団員。

「ねえ、ライアン団長と言う人は、どんな人なんだい?」

もしかして、マリアの事が分かるかもしれない。そんな気持ちから、ついそんな事を聞いてしまった。

「ライアン団長かい?彼は18歳で騎士団長になった、すごい人だよ。大の愛妻家としても有名で、既に子供も3人いるよ。子供たちも溺愛している様で、いくら酒の席に誘っても、絶対に来ないんだ。まあ、奥さんも絶世の美女だから、気持ちはわかるけれどね」

そうか…ライアンはやっぱり、マリアを大切にしているのだな…
子供もいるのか…何となく想像はしていたが、正直ショックだった。

「さあ、飲もうぜ。来月は王太子殿下の就任式もあるし。俺たち騎士団は大忙しだな」

王太子の就任式か…
僕が廃嫡した後、一番上の異母兄上が王太子に就任したと聞いている。彼の子供が今度王太子に就任するのか…

「またあの熾烈なお妃争いが行われるのだな…この国は、一夫多妻制だから…」

ポツリとそんな事を呟いてしまった。

「一夫多妻制?そうか、お前は知らないのだな。今は王族も一夫多妻制は廃止されたんだぞ」

「えっ?一夫多妻制が廃止されただって?どういうことだ?」

「今の国王が王太子殿下に就任してすぐ、“私は今まで側室の子供として、ずっと冷遇されてきた。私だけじゃない、他の側室の子供たちもだ。私たちはれっきとした国王の子供なのにだ!私は一夫多妻制こそが、悪の根源だと思っている”と訴えたんだ。もちろん、前国王は反発した。でも、王太子殿下の説得に加え、一夫多妻制に疑問を抱いていた貴族たちによって、廃止に持ち込んだんだよ」

そんな…
まさか王族の一夫多妻制を廃止しただなんて…
僕にはそんな発想はみじんもなかった…

「陛下は7年前に王妃様と結婚して、今は2男1女に恵まれ、とても幸せそうだよ。その姿を見た前国王も、一夫多妻制を廃止してよかったと言っているくらいだ。そもそも、なんで王族だけ一夫多妻制だったのだろうな?そんなに王族に子供がいても、争いの元になるだけなのに」

「本当だな」

そう言って笑っている騎士団員たち。
僕は王族は一夫多妻制でなければいけないと思っていた。でも…

スッと立ち上がり、会計を済ます。

「兄ちゃん、もう帰ってしまうのか?もうちょっと飲もうぜ」

「すまない、僕はもう行かないといけないんだ」

引き留めてくれる騎士団員たちに頭を下げ、そのまま店を後にした。

僕はどうして、こんな単純な事に気が付かなかったのだろう…
一夫多妻制を廃止すれば、何ら問題がなかったのに…
もし一夫多妻制を廃止していれば、僕はマリアと幸せになれたのかな?

つい考えずにはいられない。
…いいや、一夫多妻制を廃止したとしても、彼女は僕を受け入れてはくれなかっただろう。なぜなら僕は、1度目の生の時に、過ちを犯したから…

気が付くと、瞳から涙が溢れていた。泣いても仕方がない、分かっていても、涙が止まらない。

その時だった。

「危ない!!」

気が付くと、目の前にスピードを出した馬車が。

僕はそのまま、命を落としたのだった。
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