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第51話:ライアンと幸せになります
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ヒューゴ様と最後にお話しをした2日後、正式にヒューゴ様が王太子の座を退き、代わりに兄君が王太子殿下になった。そして、ヒューゴ様は人知れず、旅立って行ったらしい。
もう二度とヒューゴ様に会う事はないかもしれない。それでも、どうか幸せに暮らして欲しい、そう私は願っている。
そして月日は流れ、ついに今日は私の15歳の誕生日だ。レィークス侯爵家では今日、私の誕生日パーティーが盛大に行われる予定だ。朝から使用人たちが、忙しく準備をしている。
私もエメラルドグリーンのドレスに着替えた。そう、ライアンの瞳の色だ。今日もライアンから貰ったネックレスを首から下げる。
そして会場でもある中庭へと向かった。雲一つない快晴だ。まるで私の誕生日を祝ってくれているかのように…
「マリア、今日のあなた、とても綺麗よ。さすが私の娘ね。きっとたくさんの婚約申込書が届くわよ」
そう言って笑っているお母様。隣でお父様が、何とも言えない顔をしていた。
「母上、何を言っているのですか。姉上はライアンと結婚するのですよ。そんなにたくさん婚約申込書が届いたら、断るのが大変じゃないですか」
何を思ったのか、そんな事を言いだしたのはヴァンだ。確かにライアンと婚約出来たら嬉しいけれど。でも、そんなに都合よく物事は運ばないものだ。
「さあ、こんなところで話していないで、そろそろお客様を迎える時間だぞ」
お父様に促され、皆で中庭の入り口付近までやって来ると、次々とお客様がやって来た。リリアやミリアナ、ジャック様、ジン様、さらに学院のクラスメートたちも。
「マリア、お誕生日おめでとう。これ、プレゼントよ」
「これは俺たちから」
「皆ありがとう。とても嬉しいわ」
次々と皆がプレゼントを渡してくれる。
「さあ、もうほとんどの貴族が着た様よ。早くメイン会場に行きましょう」
私の手を引き、歩き出したリリアとミリアナ。
「待って、まだライアンが来ていないの…」
そう、ライアンが来ていないのだ。こんな時、真っ先に来るライアンがまだ来ていないなんて。何かトラブルがあったのかもしれない。
「そのうち来るでしょう。ほら、行きましょう」
そう言って私をメイン会場でもある、中庭の中心に連れて来た2人。すると…
「マリア!!」
この声は!
「ライアン、あなたなんでそんな所にいるの?いつ来たの?」
なぜかライアンは、ちょっとした壇上の上にいた。あの場所は、私とお父様が挨拶をする時に使う壇上なのだが…
ライアンが壇上に登って叫んだため、皆が一斉に壇上の方を見ている。
「マリア、15歳の誕生日おめでとう。俺はこの日をずっと待ちわびていたんだ。マリア、俺は子供の頃からお前が大好きだ。お前を守る為、騎士団にも入団したし、お前にふさわしい男になれる様、勉強も頑張った。それもこれも、マリアに認めてもらうためだ。マリア、俺と結婚してくれ。俺はお前意外とは結婚するつもりはない。もし断られたら、俺は一生独身を貫くつもりだ。それくらいお前を愛している。もう二度と、お前を傷つけさせないから、どうかこれから、俺と共に歩んで行ってほしい」
そう言うと壇上から降り、ゆっくりと私のところにやって来た。そして、大きなエメラルドが付いた指輪を差し出したのだ。
「知っているか?隣国では、プロポーズをするとき、大きな宝石が付いた指輪を渡すそうなんだ。この指輪、受け取ってくれるか?」
ライアンも、私の事が好き?これは夢かしら…
何が起こったのか分からず、固まる私。
ふとライアンの方を見ると、まっすぐ私を見つめている。これは、夢ではないのよね…
「ライアン、私もあなたが大好きよ。いつもどんな時も隣で私を守ってくれるライアンが。私もあなたと一緒に、歩んでいきたいです」
そう言って、指輪を受け取った。その瞬間、周りから大きな拍手と歓声が沸き上がった。
そんな私を、ギューッと抱きしめるライアン。
「それじゃあ、この婚約届にサインを」
お父様とおじ様が、すかさず婚約届を持ってきた。もうお父様とおじ様の欄は埋まっている。もしかして今日の事、お父様もおじ様も知っていたのね。そういえば、リリアたちに誘導されてここまで来た。という事は、皆も知っていたのか。
ジト目でリリアとミリアナを睨むと、スッと目をそらされた。やっぱり知っていたのね!
「ほら、マリア。お前もサインしろ」
ライアンに促され、急いでサインをした。
「皆様、今ご覧いただいた通り、我が息子ライアンとレィークス侯爵家の長女、マリアが正式に婚約いたしました。未熟な2人ですが、どうか温かく見守っていてやってください」
「おめでとうございます、ライアン様、マリア様」
「おめでとう、末永くお幸せに」
あちらこちらから祝福の言葉が飛ぶ。その瞬間、ライアンが私を抱きかかえた。
「マリア、これだけたくさんの人の前で婚約したんだ。もう俺から逃げられないな」
「私は逃げるつもり何てないわよ。だって…その…」
「なんだ、恥ずかしがっているのか。毒を飲まされたとき、何度も俺の名前を呼びながら“愛している”と言っていたくせに」
「えっ?どうして知っているのよ。だってクラシエ様に閉じ込められたところまでしか、聞いていないって…」
「ああ、皆はな。でも俺は、すべて聞いたんだよ」
ニヤリと笑ったライアン。
「ちょっと、どうして今それを言うのよ!ヤダ、恥ずかしいじゃない」
顔を真っ赤にして抗議をする。本当に、恥ずかしくてたまらない。
「何が恥ずかしいんだよ。俺は嬉しかったぞ。あの時俺はお前に嫌われていると思っていたからな。お前のあの渾身の愛の告白を聞いて、今日のこの公開告白を思いついたんだ」
「もう、ライアンのバカ」
「なんとでも言え。とにかく、もうお前は俺の婚約者だ。今まで気を使って野放しにしていたが、これからはそうはいかないからな。しっかり行動を監視させてもらう」
「今までだって、私の行動を監視していたじゃない。今更何を言っているのよ」
「あの程度の事で、監視と言われても困る!これからは俺のいう事を、しっかり聞いてもらうからな。覚悟しろよ」
そう言うと、ライアンの顔が近づいてきて…唇に柔らかい感触が…
その瞬間、周りから大きな歓声が上がった。
「ちょっとライアン、恥ずかしい…ンンン」
再び唇が塞がれる。
「俺がどれほどお前を大切に思っていて愛しているか、これから嫌と言うほど教えてやるからな」
そう言ってライアンは笑った。
つい1年前まで、ずっと孤独で誰からも愛されていないと思っていたのに…
今はちょっと重いけれど、それでも私を愛してくれる人が現れた。
いいえ、現れた訳ではなく、私が気が付かなかっただけで、1度目の生の時からきっとライアンは、私を愛してくれていたのだろう。その証拠に、ライアンはずっと独身だった。
「ライアン、私もライアンを愛しているわ。これからずっと一緒よ。もう二度と離れないから」
これからはずっと、ライアンと一緒に生きていくのだろう。お互い唯一無二の存在として…
おしまい
~あとがき~
これにて完結です。
ヒューゴ殿下とマリアのすれ違いの恋、もし三度目の生があるなら、くっ付けてあげたいなという思いがある一方、ライアンの一途な思いも大切にしたい。そんな葛藤を抱えつつ、完結を迎えました。
最後までお読みいただき、ありがとうございましたm(__)m
もう二度とヒューゴ様に会う事はないかもしれない。それでも、どうか幸せに暮らして欲しい、そう私は願っている。
そして月日は流れ、ついに今日は私の15歳の誕生日だ。レィークス侯爵家では今日、私の誕生日パーティーが盛大に行われる予定だ。朝から使用人たちが、忙しく準備をしている。
私もエメラルドグリーンのドレスに着替えた。そう、ライアンの瞳の色だ。今日もライアンから貰ったネックレスを首から下げる。
そして会場でもある中庭へと向かった。雲一つない快晴だ。まるで私の誕生日を祝ってくれているかのように…
「マリア、今日のあなた、とても綺麗よ。さすが私の娘ね。きっとたくさんの婚約申込書が届くわよ」
そう言って笑っているお母様。隣でお父様が、何とも言えない顔をしていた。
「母上、何を言っているのですか。姉上はライアンと結婚するのですよ。そんなにたくさん婚約申込書が届いたら、断るのが大変じゃないですか」
何を思ったのか、そんな事を言いだしたのはヴァンだ。確かにライアンと婚約出来たら嬉しいけれど。でも、そんなに都合よく物事は運ばないものだ。
「さあ、こんなところで話していないで、そろそろお客様を迎える時間だぞ」
お父様に促され、皆で中庭の入り口付近までやって来ると、次々とお客様がやって来た。リリアやミリアナ、ジャック様、ジン様、さらに学院のクラスメートたちも。
「マリア、お誕生日おめでとう。これ、プレゼントよ」
「これは俺たちから」
「皆ありがとう。とても嬉しいわ」
次々と皆がプレゼントを渡してくれる。
「さあ、もうほとんどの貴族が着た様よ。早くメイン会場に行きましょう」
私の手を引き、歩き出したリリアとミリアナ。
「待って、まだライアンが来ていないの…」
そう、ライアンが来ていないのだ。こんな時、真っ先に来るライアンがまだ来ていないなんて。何かトラブルがあったのかもしれない。
「そのうち来るでしょう。ほら、行きましょう」
そう言って私をメイン会場でもある、中庭の中心に連れて来た2人。すると…
「マリア!!」
この声は!
「ライアン、あなたなんでそんな所にいるの?いつ来たの?」
なぜかライアンは、ちょっとした壇上の上にいた。あの場所は、私とお父様が挨拶をする時に使う壇上なのだが…
ライアンが壇上に登って叫んだため、皆が一斉に壇上の方を見ている。
「マリア、15歳の誕生日おめでとう。俺はこの日をずっと待ちわびていたんだ。マリア、俺は子供の頃からお前が大好きだ。お前を守る為、騎士団にも入団したし、お前にふさわしい男になれる様、勉強も頑張った。それもこれも、マリアに認めてもらうためだ。マリア、俺と結婚してくれ。俺はお前意外とは結婚するつもりはない。もし断られたら、俺は一生独身を貫くつもりだ。それくらいお前を愛している。もう二度と、お前を傷つけさせないから、どうかこれから、俺と共に歩んで行ってほしい」
そう言うと壇上から降り、ゆっくりと私のところにやって来た。そして、大きなエメラルドが付いた指輪を差し出したのだ。
「知っているか?隣国では、プロポーズをするとき、大きな宝石が付いた指輪を渡すそうなんだ。この指輪、受け取ってくれるか?」
ライアンも、私の事が好き?これは夢かしら…
何が起こったのか分からず、固まる私。
ふとライアンの方を見ると、まっすぐ私を見つめている。これは、夢ではないのよね…
「ライアン、私もあなたが大好きよ。いつもどんな時も隣で私を守ってくれるライアンが。私もあなたと一緒に、歩んでいきたいです」
そう言って、指輪を受け取った。その瞬間、周りから大きな拍手と歓声が沸き上がった。
そんな私を、ギューッと抱きしめるライアン。
「それじゃあ、この婚約届にサインを」
お父様とおじ様が、すかさず婚約届を持ってきた。もうお父様とおじ様の欄は埋まっている。もしかして今日の事、お父様もおじ様も知っていたのね。そういえば、リリアたちに誘導されてここまで来た。という事は、皆も知っていたのか。
ジト目でリリアとミリアナを睨むと、スッと目をそらされた。やっぱり知っていたのね!
「ほら、マリア。お前もサインしろ」
ライアンに促され、急いでサインをした。
「皆様、今ご覧いただいた通り、我が息子ライアンとレィークス侯爵家の長女、マリアが正式に婚約いたしました。未熟な2人ですが、どうか温かく見守っていてやってください」
「おめでとうございます、ライアン様、マリア様」
「おめでとう、末永くお幸せに」
あちらこちらから祝福の言葉が飛ぶ。その瞬間、ライアンが私を抱きかかえた。
「マリア、これだけたくさんの人の前で婚約したんだ。もう俺から逃げられないな」
「私は逃げるつもり何てないわよ。だって…その…」
「なんだ、恥ずかしがっているのか。毒を飲まされたとき、何度も俺の名前を呼びながら“愛している”と言っていたくせに」
「えっ?どうして知っているのよ。だってクラシエ様に閉じ込められたところまでしか、聞いていないって…」
「ああ、皆はな。でも俺は、すべて聞いたんだよ」
ニヤリと笑ったライアン。
「ちょっと、どうして今それを言うのよ!ヤダ、恥ずかしいじゃない」
顔を真っ赤にして抗議をする。本当に、恥ずかしくてたまらない。
「何が恥ずかしいんだよ。俺は嬉しかったぞ。あの時俺はお前に嫌われていると思っていたからな。お前のあの渾身の愛の告白を聞いて、今日のこの公開告白を思いついたんだ」
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「なんとでも言え。とにかく、もうお前は俺の婚約者だ。今まで気を使って野放しにしていたが、これからはそうはいかないからな。しっかり行動を監視させてもらう」
「今までだって、私の行動を監視していたじゃない。今更何を言っているのよ」
「あの程度の事で、監視と言われても困る!これからは俺のいう事を、しっかり聞いてもらうからな。覚悟しろよ」
そう言うと、ライアンの顔が近づいてきて…唇に柔らかい感触が…
その瞬間、周りから大きな歓声が上がった。
「ちょっとライアン、恥ずかしい…ンンン」
再び唇が塞がれる。
「俺がどれほどお前を大切に思っていて愛しているか、これから嫌と言うほど教えてやるからな」
そう言ってライアンは笑った。
つい1年前まで、ずっと孤独で誰からも愛されていないと思っていたのに…
今はちょっと重いけれど、それでも私を愛してくれる人が現れた。
いいえ、現れた訳ではなく、私が気が付かなかっただけで、1度目の生の時からきっとライアンは、私を愛してくれていたのだろう。その証拠に、ライアンはずっと独身だった。
「ライアン、私もライアンを愛しているわ。これからずっと一緒よ。もう二度と離れないから」
これからはずっと、ライアンと一緒に生きていくのだろう。お互い唯一無二の存在として…
おしまい
~あとがき~
これにて完結です。
ヒューゴ殿下とマリアのすれ違いの恋、もし三度目の生があるなら、くっ付けてあげたいなという思いがある一方、ライアンの一途な思いも大切にしたい。そんな葛藤を抱えつつ、完結を迎えました。
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