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第32話:私、ライアンが好きみたいです
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その時だった。ライアンが私に気が付いた様だ。
「マリア、来ていたのか」
こちらにやって来るライアン。
「やっぱりお前は赤が似合うな。そのドレス、よく似合っているよ。て、お前、顔色悪くないか?どうしたんだ?大丈夫か?」
心配そうに声を掛けてくる。気が付くと、瞳から涙が溢れ出ていた。
「おい、急に泣き出してどうしたんだよ。どこか気分でも悪いのか?」
ライアンが心配そうに顔を覗き込んできた。
「ライアン…私…」
「マリアちゃん、久しぶりね。しばらく見ない間に、また綺麗になって」
先ほどの令嬢が、ゆっくり近づいて来た。あれ?令嬢?もしかして…
「アンネお姉様?」
間違いない、彼女はライアンの従姉弟のアンネお姉様だ。
「ちょっとライアン、あんた一体何したのよ。こんなに可愛い子を泣かせて!」
「別に俺は何もしていないよ。それよりマリア、急に泣き出してどうしたんだ?腹でも痛いのか?」
「令嬢に向かって腹でも痛いはないでしょう。本当にデリカシーがない男ね」
ライアンに向かってすかさず文句を言うアンネお姉様。そういえば、アンネお姉様は3年ほど前に結婚したのだったわ。1度目の生から数えて、もうずっと会っていなかったから、思い出すのに時間が掛かってしまった。
という事は、私の完全な早とちりだったのね。よかった…
一気に涙も引っ込んでいった。
「急に泣き出してごめんなさい。ちょっと目にゴミが入ってしまって。アンネお姉様、お久しぶりです」
「本当に目にゴミが入っただけなのか?それならいいが…」
まだライアンが、心配そうな顔をしている。どうしてライアンはこんなに優しいのかしら?私が勝手に泣き出しただけなのに…
「本当にゴミが入っただけなの?ライアンにイジメられたのではなくって?もしそうなら、遠慮なく言うのよ。私が締め上げてあげるから」
「ありがとうございます。でも、本当に大丈夫ですわ」
「そう、それならよかったわ。それじゃあ、私はもう行くわね」
笑顔で手を振って去っていくアンネお姉様。
「おい、本当に大丈夫なのか?お前が泣くなんて、王太子殿下の誕生日パーティの時以来だろう?誰かにまたイジメられたのか?」
アンネお姉様が去って行ってすぐ、再び心配そうなライアンが話しかけてきた。さすがにアンネお姉様に嫉妬して泣いていたなんて、口が裂けても言えない。とにかく、話題を変えないと。
「本当に何でもないのよ。そうだわ、ライアン。お誕生日おめでとう。これ、プレゼントよ」
ライアンの為に準備していたプレゼントを渡した。
「ありがとう、マリア。早速開けてもいいか?」
「ええ、もちろんよ」
嬉しそうに包み紙を外していくライアンを見守る。ライアン、喜んでくれるかしら?
「おぉ、これって今人気の腕時計じゃないか?これ買うの苦労したんじゃないのか?めちゃくちゃ嬉しいよ。ありがとう、マリア」
私があげたのは、今貴族の間でも人気の高い腕時計だ。あまりの人気に中々手に入らないとの事だったが、なんとかゲットすることが出来たのだ。
「どういたしまして。ライアンに喜んで貰えてよかったわ。腕時計なら、騎士団にも付けていけるでしょう?」
「ああ、もちろんだ。肌身離さず持っているからな」
そう言うと、嬉しそうにライアンが笑ったのだ。肌身離さず持っていてくれるか。そう言ってもらえると、嬉しいわ。
「こんなにも嬉しいプレゼントはないよ。そうだ、3ヶ月後のマリアの誕生日はうんと期待しておけよ。お前が泣いて喜ぶプレゼントを準備しておくからな」
泣いて喜ぶんだなんて、大げさね。でも、私はライアンが選んでくれたプレゼントなら、何でも嬉しいな。
そうか、3ヶ月後には私も婚約できる年齢になるのね。もし叶うのなら、私はライアンと結婚したい。きっとライアンとなら、私が思い描いた家庭が作れる気がする。
温かくて、優しい家庭が…
でも、ライアンは私を受けて入れくれるかしら?
元々親同士は私たちを結婚させたがっていたもの。きっと私が頼めば、お父様がおじ様に話しを付けてくれるだろう。でも、そんな事をしたら、また1度目の生の時みたいにならないかしら?もう二度と、あんな孤独な思いをしたくない。
あんな思いをするのなら、ずっと独身の方がまだましだ。
「また不安そうな顔をしてどうしたんだ?やっぱりお前、何か悩みがあるんじゃないのか?」
「大丈夫よ。それより、今日の主役がいつまでもこんなところにいてはダメでしょう。さあ、皆のところに行きましょう」
ライアンの手を握り、歩き出した。温かくて大きくて、繋いでいると安心する。出来ればこの手を離したくない。でも…もしライアンが他に結婚したい令嬢がいるなら、その時は潔く身を引こう。
だって私は、愛のない結婚生活がどれほど惨めで、寂しいものなのか痛いほど知っているのだから…
それでもライアンの婚約者が正式に決まるまでは、どうかライアンの側にいさせてください。
心の中で、そっとお願いしたのだった。
「マリア、来ていたのか」
こちらにやって来るライアン。
「やっぱりお前は赤が似合うな。そのドレス、よく似合っているよ。て、お前、顔色悪くないか?どうしたんだ?大丈夫か?」
心配そうに声を掛けてくる。気が付くと、瞳から涙が溢れ出ていた。
「おい、急に泣き出してどうしたんだよ。どこか気分でも悪いのか?」
ライアンが心配そうに顔を覗き込んできた。
「ライアン…私…」
「マリアちゃん、久しぶりね。しばらく見ない間に、また綺麗になって」
先ほどの令嬢が、ゆっくり近づいて来た。あれ?令嬢?もしかして…
「アンネお姉様?」
間違いない、彼女はライアンの従姉弟のアンネお姉様だ。
「ちょっとライアン、あんた一体何したのよ。こんなに可愛い子を泣かせて!」
「別に俺は何もしていないよ。それよりマリア、急に泣き出してどうしたんだ?腹でも痛いのか?」
「令嬢に向かって腹でも痛いはないでしょう。本当にデリカシーがない男ね」
ライアンに向かってすかさず文句を言うアンネお姉様。そういえば、アンネお姉様は3年ほど前に結婚したのだったわ。1度目の生から数えて、もうずっと会っていなかったから、思い出すのに時間が掛かってしまった。
という事は、私の完全な早とちりだったのね。よかった…
一気に涙も引っ込んでいった。
「急に泣き出してごめんなさい。ちょっと目にゴミが入ってしまって。アンネお姉様、お久しぶりです」
「本当に目にゴミが入っただけなのか?それならいいが…」
まだライアンが、心配そうな顔をしている。どうしてライアンはこんなに優しいのかしら?私が勝手に泣き出しただけなのに…
「本当にゴミが入っただけなの?ライアンにイジメられたのではなくって?もしそうなら、遠慮なく言うのよ。私が締め上げてあげるから」
「ありがとうございます。でも、本当に大丈夫ですわ」
「そう、それならよかったわ。それじゃあ、私はもう行くわね」
笑顔で手を振って去っていくアンネお姉様。
「おい、本当に大丈夫なのか?お前が泣くなんて、王太子殿下の誕生日パーティの時以来だろう?誰かにまたイジメられたのか?」
アンネお姉様が去って行ってすぐ、再び心配そうなライアンが話しかけてきた。さすがにアンネお姉様に嫉妬して泣いていたなんて、口が裂けても言えない。とにかく、話題を変えないと。
「本当に何でもないのよ。そうだわ、ライアン。お誕生日おめでとう。これ、プレゼントよ」
ライアンの為に準備していたプレゼントを渡した。
「ありがとう、マリア。早速開けてもいいか?」
「ええ、もちろんよ」
嬉しそうに包み紙を外していくライアンを見守る。ライアン、喜んでくれるかしら?
「おぉ、これって今人気の腕時計じゃないか?これ買うの苦労したんじゃないのか?めちゃくちゃ嬉しいよ。ありがとう、マリア」
私があげたのは、今貴族の間でも人気の高い腕時計だ。あまりの人気に中々手に入らないとの事だったが、なんとかゲットすることが出来たのだ。
「どういたしまして。ライアンに喜んで貰えてよかったわ。腕時計なら、騎士団にも付けていけるでしょう?」
「ああ、もちろんだ。肌身離さず持っているからな」
そう言うと、嬉しそうにライアンが笑ったのだ。肌身離さず持っていてくれるか。そう言ってもらえると、嬉しいわ。
「こんなにも嬉しいプレゼントはないよ。そうだ、3ヶ月後のマリアの誕生日はうんと期待しておけよ。お前が泣いて喜ぶプレゼントを準備しておくからな」
泣いて喜ぶんだなんて、大げさね。でも、私はライアンが選んでくれたプレゼントなら、何でも嬉しいな。
そうか、3ヶ月後には私も婚約できる年齢になるのね。もし叶うのなら、私はライアンと結婚したい。きっとライアンとなら、私が思い描いた家庭が作れる気がする。
温かくて、優しい家庭が…
でも、ライアンは私を受けて入れくれるかしら?
元々親同士は私たちを結婚させたがっていたもの。きっと私が頼めば、お父様がおじ様に話しを付けてくれるだろう。でも、そんな事をしたら、また1度目の生の時みたいにならないかしら?もう二度と、あんな孤独な思いをしたくない。
あんな思いをするのなら、ずっと独身の方がまだましだ。
「また不安そうな顔をしてどうしたんだ?やっぱりお前、何か悩みがあるんじゃないのか?」
「大丈夫よ。それより、今日の主役がいつまでもこんなところにいてはダメでしょう。さあ、皆のところに行きましょう」
ライアンの手を握り、歩き出した。温かくて大きくて、繋いでいると安心する。出来ればこの手を離したくない。でも…もしライアンが他に結婚したい令嬢がいるなら、その時は潔く身を引こう。
だって私は、愛のない結婚生活がどれほど惨めで、寂しいものなのか痛いほど知っているのだから…
それでもライアンの婚約者が正式に決まるまでは、どうかライアンの側にいさせてください。
心の中で、そっとお願いしたのだった。
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