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第29話:性格が変わっていませんか?
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この声は…
ゆっくり声の方を振り向くと、そこにはクラシエ様が立っていた。まさか男爵令嬢のクラシエ様が、侯爵令嬢の私に話しかけてくるなんて…
そもそも1度目の生の時の彼女は、私に話しかけてくるどころか、目があっただけで、怯えた表情を見せていたのに…
まあいいわ、とにかく、何か用事があって話しかけてきたのよね。
「あなたは確か、男爵令嬢のクラシエ様ですわね。私に何かご用ですか?」
初めて話す風を装って、話をする。
「はい、あの…こんな事を言いたくはないのですが、どうして私にこんな酷い事をするのですか?私は何もしていないのに…どうかこれ以上、嫌がらせをするのはやめて下さい」
何を思ったのか、涙をポロポロと流しながら、私に訴えてくるクラシエ様。言っている意味が分からなず、首をかしげる。
「あの…私、今日お話しするのが初めてだとは思うのですが?誰かと勘違いしておりませんか?」
「そんな…酷い。私に酷い暴言を吐いたり、階段から突き落としたり、頬を打ったりしたじゃないですか」
ポロポロと涙を流しながら訴えている。そういえば、1度目の生の時、そんな事をしたような…いいや、さすがに階段から突き落としたり、叩いたりはしていない。それをしたのは、別の令嬢だ。て、今はそんな事どうでもいい。
「どうかお許しください。お願いします」
そう言って必死に頭を下げるクラシエ様。あまりにも大きな声で騒ぐため、周りの人たちが集まって来た。
「マリア、どうしたんだ」
私の側にやって来たのは、ライアンだ。
「あの…クラシエ様が、私が彼女に酷い暴言を吐いたり、階段から突き落としたり、頬を打ったりしたと訴えていて…」
「はっ?」
さすがのライアンも固まっている。さらに
「マリア嬢、一体何の騒ぎだい?」
さらにヒューゴ様までやって来た。ふと1度目の生の時の記憶が蘇る。あの時はいつもクラシエ様を庇う様に立ち、私を睨んでいたヒューゴ様。きっと今回も、クラシエ様を庇うのだろう…
「聞いて下さい。ヒューゴ様!クラシエ様が私に“あんたなんか全然可愛くないだの、図々しいだの、目障りだから消えろ”だの言ってくるのです。それにこの前なんて、階段から突き落とされましたし、頬を打たれた事もあるのです」
そう言って、ヒューゴ様に泣きながら訴えている。確かに1度目の生の時の私は、そう言っていたわね。こうやって本人の口からきくと、本当に酷い事を言っていたわ。
「あの…クラシエ様。ごめんなさい…」
無意識に謝っていた。たとえ1度目の生だったとしても、私が彼女にした事には変わりはないのだ。だから、せめて謝りたいと思ったのだ。
「おい、なんでお前が謝るんだよ。貴族学院に入学してから、ほとんどお前は俺や令嬢たちと一緒にいたんだぞ。第一なんで侯爵令嬢のお前が、男爵令嬢の彼女に酷い事をしないといけないんだ。言いがかりにも程がある」
「ライアンの言う通りだ。そもそも、どうして君は僕の事を馴れ馴れしく名前で呼んでいるのだい?その時点で、不敬に当たると思うのだが…それに、マリア嬢が君を傷つけたというなら、それはいつだい?本当ならきちんと調査しないといけないからね」
「えっと…たしか1ヶ月前の放課後だった様な…」
「おかしいな、先月はずっと俺が馬車まで送っていた気がするが…俺が送らない日は、令嬢たちと一緒に帰っていたはずだ」
「でも、その後馬車から降りていたかもしれないじゃないですか?」
「いいや、確かにライアンが送った後、マリア嬢はそのまま家に帰っていたよ。僕は毎日マリア嬢と話しがしたくて、帰るまで後を付けていたからね」
なんと!ヒューゴ様ったら、ずっと私の後を付けていたの?それはちょっと…
あまりにも当たり前の様に話しをしているので、他に集まって来た生徒は疑問を抱いていないが、ライアンだけはヒューゴ様をジト目で睨んでいた。
「確かに侯爵令嬢のマリア様が、男爵令嬢のクラシエ様に暴言を吐いたり、暴力を振るうなんて考えられないわよね。そんなことをする、理由がないもの…」
「そうだよな…100歩譲ってたとえマリア嬢が行っていたとしても、こんな皆がいるまで言う必要は無いしな…」
皆がクラシエ様を批判し始めた。
「そもそもマリアはそんな子じゃないわ。誰にでも優しい子よ。それにいつも私たちといるのよ。そういえばあなた、随分と王太子殿下に絡んではあしらわれていたわよね。まさか、王太子殿下に気に入られているマリアに嫉妬して、こんなバカな事をしたのではなくって?」
「そういえば君、やたら僕に絡んできていたよね。ただ…すぐにそばにいた令嬢たちに追い払われていたけれど」
「それは本当か?まさかマリアに嫉妬して、こんな酷い事をしたのか?お前、確かディースティン男爵家の令嬢だったな。今回の件は、マリアの家からしっかりと抗議をさせてもらうからな」
えっ?抗議?侯爵家から男爵家に抗議なんてしたら、さすがにクラシエ様の家は今後貴族界で生きていけなくなるだろう。
それに1度目の生の時、彼女に酷い事をしたのは事実だし…
「あの、きっとクラシエ様は何か勘違いをされたのではありませんか?ねえ、クラシエ様」
「え…あっ…はい。そういえば、別の令嬢に酷い暴言を吐かれたのでした。マリア様、勘違いとはいえ、申し訳ございませんでした」
「何が勘違いだ!こんな大事にして、マリアを傷つけてごめんで済むと思っているのか?」
ライアンが怖い顔でクラシエ様に詰め寄っている。
「ライアン、止めて。勘違いだと本人が言っているのだから、もういいじゃない。さあ、この話しはおしまいにしましょう。皆様、お騒がせして申し訳ございませんでした」
集まっていた生徒たちに向かって頭を下げた。
それにしても、まさかクラシエ様があんな行動にでるなんて。
大人しくていつもヒューゴ様の後ろで震えていたクラシエ様がね…
チラリとクラシエ様の方を見ると、ものすごい形相で私を睨んでいた。
やっぱり、1度目の生のクラシエ様と今のクラシエ様、性格が変わっているわよね…
ゆっくり声の方を振り向くと、そこにはクラシエ様が立っていた。まさか男爵令嬢のクラシエ様が、侯爵令嬢の私に話しかけてくるなんて…
そもそも1度目の生の時の彼女は、私に話しかけてくるどころか、目があっただけで、怯えた表情を見せていたのに…
まあいいわ、とにかく、何か用事があって話しかけてきたのよね。
「あなたは確か、男爵令嬢のクラシエ様ですわね。私に何かご用ですか?」
初めて話す風を装って、話をする。
「はい、あの…こんな事を言いたくはないのですが、どうして私にこんな酷い事をするのですか?私は何もしていないのに…どうかこれ以上、嫌がらせをするのはやめて下さい」
何を思ったのか、涙をポロポロと流しながら、私に訴えてくるクラシエ様。言っている意味が分からなず、首をかしげる。
「あの…私、今日お話しするのが初めてだとは思うのですが?誰かと勘違いしておりませんか?」
「そんな…酷い。私に酷い暴言を吐いたり、階段から突き落としたり、頬を打ったりしたじゃないですか」
ポロポロと涙を流しながら訴えている。そういえば、1度目の生の時、そんな事をしたような…いいや、さすがに階段から突き落としたり、叩いたりはしていない。それをしたのは、別の令嬢だ。て、今はそんな事どうでもいい。
「どうかお許しください。お願いします」
そう言って必死に頭を下げるクラシエ様。あまりにも大きな声で騒ぐため、周りの人たちが集まって来た。
「マリア、どうしたんだ」
私の側にやって来たのは、ライアンだ。
「あの…クラシエ様が、私が彼女に酷い暴言を吐いたり、階段から突き落としたり、頬を打ったりしたと訴えていて…」
「はっ?」
さすがのライアンも固まっている。さらに
「マリア嬢、一体何の騒ぎだい?」
さらにヒューゴ様までやって来た。ふと1度目の生の時の記憶が蘇る。あの時はいつもクラシエ様を庇う様に立ち、私を睨んでいたヒューゴ様。きっと今回も、クラシエ様を庇うのだろう…
「聞いて下さい。ヒューゴ様!クラシエ様が私に“あんたなんか全然可愛くないだの、図々しいだの、目障りだから消えろ”だの言ってくるのです。それにこの前なんて、階段から突き落とされましたし、頬を打たれた事もあるのです」
そう言って、ヒューゴ様に泣きながら訴えている。確かに1度目の生の時の私は、そう言っていたわね。こうやって本人の口からきくと、本当に酷い事を言っていたわ。
「あの…クラシエ様。ごめんなさい…」
無意識に謝っていた。たとえ1度目の生だったとしても、私が彼女にした事には変わりはないのだ。だから、せめて謝りたいと思ったのだ。
「おい、なんでお前が謝るんだよ。貴族学院に入学してから、ほとんどお前は俺や令嬢たちと一緒にいたんだぞ。第一なんで侯爵令嬢のお前が、男爵令嬢の彼女に酷い事をしないといけないんだ。言いがかりにも程がある」
「ライアンの言う通りだ。そもそも、どうして君は僕の事を馴れ馴れしく名前で呼んでいるのだい?その時点で、不敬に当たると思うのだが…それに、マリア嬢が君を傷つけたというなら、それはいつだい?本当ならきちんと調査しないといけないからね」
「えっと…たしか1ヶ月前の放課後だった様な…」
「おかしいな、先月はずっと俺が馬車まで送っていた気がするが…俺が送らない日は、令嬢たちと一緒に帰っていたはずだ」
「でも、その後馬車から降りていたかもしれないじゃないですか?」
「いいや、確かにライアンが送った後、マリア嬢はそのまま家に帰っていたよ。僕は毎日マリア嬢と話しがしたくて、帰るまで後を付けていたからね」
なんと!ヒューゴ様ったら、ずっと私の後を付けていたの?それはちょっと…
あまりにも当たり前の様に話しをしているので、他に集まって来た生徒は疑問を抱いていないが、ライアンだけはヒューゴ様をジト目で睨んでいた。
「確かに侯爵令嬢のマリア様が、男爵令嬢のクラシエ様に暴言を吐いたり、暴力を振るうなんて考えられないわよね。そんなことをする、理由がないもの…」
「そうだよな…100歩譲ってたとえマリア嬢が行っていたとしても、こんな皆がいるまで言う必要は無いしな…」
皆がクラシエ様を批判し始めた。
「そもそもマリアはそんな子じゃないわ。誰にでも優しい子よ。それにいつも私たちといるのよ。そういえばあなた、随分と王太子殿下に絡んではあしらわれていたわよね。まさか、王太子殿下に気に入られているマリアに嫉妬して、こんなバカな事をしたのではなくって?」
「そういえば君、やたら僕に絡んできていたよね。ただ…すぐにそばにいた令嬢たちに追い払われていたけれど」
「それは本当か?まさかマリアに嫉妬して、こんな酷い事をしたのか?お前、確かディースティン男爵家の令嬢だったな。今回の件は、マリアの家からしっかりと抗議をさせてもらうからな」
えっ?抗議?侯爵家から男爵家に抗議なんてしたら、さすがにクラシエ様の家は今後貴族界で生きていけなくなるだろう。
それに1度目の生の時、彼女に酷い事をしたのは事実だし…
「あの、きっとクラシエ様は何か勘違いをされたのではありませんか?ねえ、クラシエ様」
「え…あっ…はい。そういえば、別の令嬢に酷い暴言を吐かれたのでした。マリア様、勘違いとはいえ、申し訳ございませんでした」
「何が勘違いだ!こんな大事にして、マリアを傷つけてごめんで済むと思っているのか?」
ライアンが怖い顔でクラシエ様に詰め寄っている。
「ライアン、止めて。勘違いだと本人が言っているのだから、もういいじゃない。さあ、この話しはおしまいにしましょう。皆様、お騒がせして申し訳ございませんでした」
集まっていた生徒たちに向かって頭を下げた。
それにしても、まさかクラシエ様があんな行動にでるなんて。
大人しくていつもヒューゴ様の後ろで震えていたクラシエ様がね…
チラリとクラシエ様の方を見ると、ものすごい形相で私を睨んでいた。
やっぱり、1度目の生のクラシエ様と今のクラシエ様、性格が変わっているわよね…
応援ありがとうございます!
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