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第27話:過去の自分の行いを反省しました
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クタクタになりながら、なんとか家に帰って来た。ドレスを脱ぎ、湯あみを済ますと、ベッドに横になった。その時だった。通信が入ったのだ。
なぜか初めて騎士団の稽古を見に行って以降、通信機をずっと持っている。すぐに返そうと思ったのだが、ライアンが“何があるか分からないから、ずっと持っていろ”と言われたため、結局私が持つことになった。
ただ、ほぼ家に置きっぱなしなんだけれどね…
急いで通信機を手に取り、ボタンを押す。
“マリア、起きてたか?”
「ライアン、一体どうしたの?通信してくるなんて、珍しいわね」
“ああ…あの後お前、他の令息とずっと踊っていたから、最後話が出来たかったから…そもそも、あんなにたくさんの令息どもと踊らなくてもいいんだぞ!”
「あら、他の令息たちとも踊った事で、殿下が私にとって特別な存在ではないという証明になったと、お母様が言っていたわ。きっと私の為に、みんな気を使って踊ってくれたのよ。皆には感謝しているくらいあんだから!」
“お前な…まあいい、それより、俺が贈ったネックレス。明日からちゃんと付けて来いよ。あれは普段付けてもいい様にデザインしてあるんだ。大体お前は、通信機を持ち歩けってあれほど言っているのに、すぐに家に置きっぱなしにするからな”
「ネックレス?」
ふとライアンに貰ったアクセサリーを手に取った。このネックレス、普段使いにも使えそうね。それにとても可愛いし。
「確かにこのネックレス、可愛いものね。わかったわ、これからずっと付けておくわ」
“それなら今すぐ首につけろ。どうせそこらへんにおいてあるのだろう?”
「ライアン、あなたどうして私の行動が分かるのよ?まさか映像が映し出せる道具でも置いてあるとか?」
“そんな訳ないだろう。大体俺たち、何年一緒にいると思っているんだ。お前の行動なんて、お見通しだ。ただ…たまに予想だにしなかった行動をとるときがあるから、目が離せないけれどな”
「何よそれ、失礼ね」
文句を言いながらも、ライアンに貰ったネックレスを首につけた。
“とにかく、そのネックレスは肌身離さず持っていろよ。それじゃあ、また明日な、おやすみ”
「ええ、おやすみなさい」
通信機を切った後、ベッドに潜り込んだ。
今日は本当に疲れた。それに、あの令嬢たち、目を吊り上げてプリプリ怒っていて、はっきり言って美しさのかけらもなかったわね。あんなに嫉妬心をむき出しにして、恥ずかしくないのかしら。でも…
一度目の生の時の私も、きっとあんな感じだったのだろう。目を吊り上げ、いつも令嬢たちにマウントをとって。クラシエ様にも、酷い事をした。
きっとそんな姿を見ていたヒューゴ様は、私に嫌気がさしたのだろう。今ならわかる…
あの孤独な6年間は、私がそれまでに行ってきた行いに対する、罰だったのかもしれない。
本当は自分でもわかっていた。あんな風に令嬢たちの醜い争いを見せられたら、ヒューゴ様だって嫌になるだろうという事。だから6年もの間、私の元に来てくれなかったいう事も。
だから今回の生では、争いには参加しない様心がけているつもりだ。
いつかクラシエ様に謝れたらいいな…
なんて、今謝ったところで、何の事やらさっぱりって感じだろうけど。
とにかく私は、お妃候補争いに参加するつもりもないし、ヒューゴ様とどうこうなりたいとも思っていない。
その事だけは、変わらない事実。
「さあ、明日も早いし、そろそろ寝ましょう」
ゆっくり目を閉じ、眠りについたのであった。
翌日、朝食を食べるため食堂へと向かうと、既に両親が座っていた。ただ、食事は摂ってない様だ。
「おはよう、マリア。昨日ライアンが渡してくれた録音を聞いたよ。酷い暴言だ!早速今日、令嬢たちの家に抗議文を出そうと思っている。今回王宮で起こった事だから、陛下にもこの録音を聞いてもらって、然るべき対応ととってもらうつもりだ」
珍しくお父様が眉間に皺を寄せて怒っている。
「お父様、抗議文を出すのはよろしいのですが、陛下にお話しするのはお止めください。私は大事にしたくはないので」
抗議文は今後の抑止力になる為必要だろう。でも、わざわざ陛下に報告して、彼女たちの評価を下げる必要は無い。私はそう思っているのだ。
「マリア、あなたは本当に優しいのね。でも、こんな醜い暴言を吐く令嬢が、万が一王妃になったら大変よ。ここはしっかり報告しておいた方がいいわ」
醜い暴言を吐く令嬢か…
1度目の生の私は、まさに彼女たちみたいな感じだった。私の様な心の汚い令嬢が、王妃だったのだ。ヒューゴ様も気の毒よね…
ダメだ、考えれば考えるほど、1度目の生の時の黒歴史が…
そうよ、私が今回の生で幸せになる為には、1度目の生の時の行いを悔い反省して、同じ過ちを繰り返さない事なんだわ。
今回令嬢に絡まれた事で、自分の過去の醜さを再認識できた。その点に関しては、彼女たちに感謝しないと。
「とにかく、我が家からの抗議文だけで大丈夫ですわ。いいですね、くれぐれも陛下や王太子殿下など、王族には内緒にしておいてくださいね」
王妃様はともかく、ヒューゴ様が知ったら彼女たちに幻滅してしまうかもしれない。そんな事になれば、今後のお妃候補にも影響が出るだろう。
過去に戻った当初は心のどこかで、ヒューゴ様を憎んでいた。でも今は、あんな私なら嫌われても仕方がないと思っている。
どうかヒューゴ様も、クラシエ様やお妃候補の子たちと幸せになって欲しい。
今はそう願っている。
なぜか初めて騎士団の稽古を見に行って以降、通信機をずっと持っている。すぐに返そうと思ったのだが、ライアンが“何があるか分からないから、ずっと持っていろ”と言われたため、結局私が持つことになった。
ただ、ほぼ家に置きっぱなしなんだけれどね…
急いで通信機を手に取り、ボタンを押す。
“マリア、起きてたか?”
「ライアン、一体どうしたの?通信してくるなんて、珍しいわね」
“ああ…あの後お前、他の令息とずっと踊っていたから、最後話が出来たかったから…そもそも、あんなにたくさんの令息どもと踊らなくてもいいんだぞ!”
「あら、他の令息たちとも踊った事で、殿下が私にとって特別な存在ではないという証明になったと、お母様が言っていたわ。きっと私の為に、みんな気を使って踊ってくれたのよ。皆には感謝しているくらいあんだから!」
“お前な…まあいい、それより、俺が贈ったネックレス。明日からちゃんと付けて来いよ。あれは普段付けてもいい様にデザインしてあるんだ。大体お前は、通信機を持ち歩けってあれほど言っているのに、すぐに家に置きっぱなしにするからな”
「ネックレス?」
ふとライアンに貰ったアクセサリーを手に取った。このネックレス、普段使いにも使えそうね。それにとても可愛いし。
「確かにこのネックレス、可愛いものね。わかったわ、これからずっと付けておくわ」
“それなら今すぐ首につけろ。どうせそこらへんにおいてあるのだろう?”
「ライアン、あなたどうして私の行動が分かるのよ?まさか映像が映し出せる道具でも置いてあるとか?」
“そんな訳ないだろう。大体俺たち、何年一緒にいると思っているんだ。お前の行動なんて、お見通しだ。ただ…たまに予想だにしなかった行動をとるときがあるから、目が離せないけれどな”
「何よそれ、失礼ね」
文句を言いながらも、ライアンに貰ったネックレスを首につけた。
“とにかく、そのネックレスは肌身離さず持っていろよ。それじゃあ、また明日な、おやすみ”
「ええ、おやすみなさい」
通信機を切った後、ベッドに潜り込んだ。
今日は本当に疲れた。それに、あの令嬢たち、目を吊り上げてプリプリ怒っていて、はっきり言って美しさのかけらもなかったわね。あんなに嫉妬心をむき出しにして、恥ずかしくないのかしら。でも…
一度目の生の時の私も、きっとあんな感じだったのだろう。目を吊り上げ、いつも令嬢たちにマウントをとって。クラシエ様にも、酷い事をした。
きっとそんな姿を見ていたヒューゴ様は、私に嫌気がさしたのだろう。今ならわかる…
あの孤独な6年間は、私がそれまでに行ってきた行いに対する、罰だったのかもしれない。
本当は自分でもわかっていた。あんな風に令嬢たちの醜い争いを見せられたら、ヒューゴ様だって嫌になるだろうという事。だから6年もの間、私の元に来てくれなかったいう事も。
だから今回の生では、争いには参加しない様心がけているつもりだ。
いつかクラシエ様に謝れたらいいな…
なんて、今謝ったところで、何の事やらさっぱりって感じだろうけど。
とにかく私は、お妃候補争いに参加するつもりもないし、ヒューゴ様とどうこうなりたいとも思っていない。
その事だけは、変わらない事実。
「さあ、明日も早いし、そろそろ寝ましょう」
ゆっくり目を閉じ、眠りについたのであった。
翌日、朝食を食べるため食堂へと向かうと、既に両親が座っていた。ただ、食事は摂ってない様だ。
「おはよう、マリア。昨日ライアンが渡してくれた録音を聞いたよ。酷い暴言だ!早速今日、令嬢たちの家に抗議文を出そうと思っている。今回王宮で起こった事だから、陛下にもこの録音を聞いてもらって、然るべき対応ととってもらうつもりだ」
珍しくお父様が眉間に皺を寄せて怒っている。
「お父様、抗議文を出すのはよろしいのですが、陛下にお話しするのはお止めください。私は大事にしたくはないので」
抗議文は今後の抑止力になる為必要だろう。でも、わざわざ陛下に報告して、彼女たちの評価を下げる必要は無い。私はそう思っているのだ。
「マリア、あなたは本当に優しいのね。でも、こんな醜い暴言を吐く令嬢が、万が一王妃になったら大変よ。ここはしっかり報告しておいた方がいいわ」
醜い暴言を吐く令嬢か…
1度目の生の私は、まさに彼女たちみたいな感じだった。私の様な心の汚い令嬢が、王妃だったのだ。ヒューゴ様も気の毒よね…
ダメだ、考えれば考えるほど、1度目の生の時の黒歴史が…
そうよ、私が今回の生で幸せになる為には、1度目の生の時の行いを悔い反省して、同じ過ちを繰り返さない事なんだわ。
今回令嬢に絡まれた事で、自分の過去の醜さを再認識できた。その点に関しては、彼女たちに感謝しないと。
「とにかく、我が家からの抗議文だけで大丈夫ですわ。いいですね、くれぐれも陛下や王太子殿下など、王族には内緒にしておいてくださいね」
王妃様はともかく、ヒューゴ様が知ったら彼女たちに幻滅してしまうかもしれない。そんな事になれば、今後のお妃候補にも影響が出るだろう。
過去に戻った当初は心のどこかで、ヒューゴ様を憎んでいた。でも今は、あんな私なら嫌われても仕方がないと思っている。
どうかヒューゴ様も、クラシエ様やお妃候補の子たちと幸せになって欲しい。
今はそう願っている。
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