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第4話:久ぶりに幼馴染に会いました
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「マリア、こんなところにいたのか。ずっと探していたんだぞ。お前、今日がデビュータントだったんだろ。ウロウロするなよ、迷子になるぞ」
燃えるような真っ赤な髪に、エメラルドグリーンの瞳。間違いない、ライアンだ。彼は侯爵令息で、私の幼馴染。何でも相談できる親友の様な存在だ。
「ライアン、あなたも来ていたのね。それより、迷子になるとは失礼ね。私はこれでもしっかり者なのよ」
一度目の生では確かに迷子になったが、もうあの時の私とは違うのだ。
「何がしっかり者だ!よく言うよ。それよりお前、もうダンスは踊ったのか?」
「ダンス?そういえば踊っていないわね。ずっと両親に連れまわされていたから」
「よかった!それじゃあ、俺と踊るぞ」
私の手を掴むと、そのままホールへとやって来た。そして、音楽に合わせてゆっくりと踊り出す。
「今日のドレス、俺の髪の色に合わせたのか?よく似合っているぞ」
「はぁ?そんな訳ないでしょう?今日は私の瞳の色に合わせたのよ」
「そうか、まあ何でもいい。それよりお前、王太子殿下と何かあったのか?」
「えっ?どうして?」
「さっきからずっと王太子殿下がこっちを見ているからさ。でも、気のせいだな。お前まさか、王太子殿下の妃候補になりたいなんて考えていないよな」
「考える訳ないでしょう。私は私だけを大切にしてくれる人と結婚したいの。一夫多妻制の王族なんて、興味がないわよ」
一度ならず二度までも失敗する程、私はバカではない。
「そうか、そうだよな。それならいいんだ」
なぜか嬉しそうな顔をしているライアン。今日のライアン、なんだか変ね。
そんな話をしている間に、ダンスが終わった。その瞬間
「ライアン様!私とも一緒に踊ってください」
「いいえ、私と」
ものすごい数の令嬢が、ライアンを一瞬にして取り囲んだ。一体何なのかしら?この令嬢たち…
「大丈夫?マリア」
声を掛けてきたのは、リリアだ。隣にはミリアナもいる。彼女たちは、私の大切な親友だ。
「ええ、私は大丈夫だけれど。ライアン、すごい人気ね…」
「そりゃそうよ。侯爵家の嫡男で、騎士団の期待の星。聡明で武術も優れているのよ。王太子殿下の次に人気の殿方なのだから」
「ライアンってそんなに人気なの?確かに騎士団ではかなり期待されているとお父様が言っていたけれど…それにしても、あの人気はないわよ」
「あら、知らないの?ライアン様はデビュータントを迎えた3ヶ月前から、誰ともダンスを踊らなかったのよ。それが今日あなたと踊った事で、ダンスを解禁したと解釈されたのでしょうね」
「あら、そうなの?でもどうしてライアンは、今まで誰とも踊らなかったのかしら?」
「は~、本当に鈍いわね…あなたとファーストダンスを踊りたかったからに決まっているじゃない…」
小さな声でブツブツと呟くリリア。
「リリア、何て言ったの?聞こえなかったわ」
「もう、何でもないわよ。あなたは本当に鈍いんだから!あっ、ライアン様が逃げ出したわよ」
ふとライアンの方を見ると、令嬢たちに断りを入れ逃げていく姿が目に入った。あんなにも沢山の令嬢に囲まれているのに、誰とも踊らないなんて…
「ねえ、今日はマリアのデビュータントでしょう。知ってる?王宮のお料理って本当に美味しいのよ。一緒に食べましょう」
王宮の料理か。確かに美味しいけれど、食べ慣れているのよね…でも、せっかく誘ってくれたのだ。一緒に食べる事にした。
早速お皿に入れ、3人で食べる。
「あら?王宮のお料理って、こんなに美味しかったかしら?」
いつも食べているお料理のはずなのに、なぜかものすごく美味しい。
「もう、マリア。あなたは何を言っているの?今日初めて食べたのでしょう?なんだかいつも食べている様な口ぶりね」
そう言ってリリアとミリアナが笑っている。
「ごめんごめん、それにしても、とても美味しいわね」
「そうでしょう?私たち、このお料理が食べたくて夜会に参加している様なものよ」
そう言ってまた笑い始めた2人。こういう時間って、いいわね。1度目の生では、友人たちとの時間もほとんど取れなかった。それでもずっと彼女たちは、私を支えてくれたの。それこそ、結婚するまでずっと…
私の輿入れと同じ時期に、それぞれ貴族と結婚したリリアとミリアナは、子供にも恵まれ幸せに暮らしていたと聞いた。私も彼女たちの様に、今度は幸せになりたい。それに、もっとリリアやミリアナとの時間も大切にしたい。
彼女たちを見て、改めてそう思ったのだった。
「マリア、そろそろ帰るぞ」
3人で話に花を咲かせていると、お父様とお母様が迎えに来た。
「リリア、ミリアナ、またね」
「ええ、また会いましょう」
友人と別れて馬車に乗り込んだ。
「マリア、今日のデビュータントはどうだった?」
「ええ、とても楽しかったですわ。お料理も美味しかったし」
「そうか、それは良かった。それで、ファーストダンスは誰と踊ったんだい?」
「ライアンと踊りましたわ。その後は、ずっとリリアとミリアナとおしゃべりしていましたから、誰とも踊っていません」
「ライアンか…あいつ、マリアがデビューするのを心待ちにしていたからな…」
「お父様、何かいいましたか?」
「いいや、別に。さあ、今日は疲れただろう。家に帰ったらゆっくり休みなさい」
確かに今日は疲れた。でも、久しぶりにライアンやリリア、ミリアナにも会えたし。そういえば、ライアンは私の知る限り、誰とも結婚せずずっと騎士団で働いていた。確か侯爵の座も、弟に譲ったそうだし。
それだけ騎士団の仕事が好きなのね。まあ、ライアンらしいわ。
それにしてもこの揺れ、心地いいわね。その後私は、お父様を枕に、夢の世界へと旅立ったのであった。
燃えるような真っ赤な髪に、エメラルドグリーンの瞳。間違いない、ライアンだ。彼は侯爵令息で、私の幼馴染。何でも相談できる親友の様な存在だ。
「ライアン、あなたも来ていたのね。それより、迷子になるとは失礼ね。私はこれでもしっかり者なのよ」
一度目の生では確かに迷子になったが、もうあの時の私とは違うのだ。
「何がしっかり者だ!よく言うよ。それよりお前、もうダンスは踊ったのか?」
「ダンス?そういえば踊っていないわね。ずっと両親に連れまわされていたから」
「よかった!それじゃあ、俺と踊るぞ」
私の手を掴むと、そのままホールへとやって来た。そして、音楽に合わせてゆっくりと踊り出す。
「今日のドレス、俺の髪の色に合わせたのか?よく似合っているぞ」
「はぁ?そんな訳ないでしょう?今日は私の瞳の色に合わせたのよ」
「そうか、まあ何でもいい。それよりお前、王太子殿下と何かあったのか?」
「えっ?どうして?」
「さっきからずっと王太子殿下がこっちを見ているからさ。でも、気のせいだな。お前まさか、王太子殿下の妃候補になりたいなんて考えていないよな」
「考える訳ないでしょう。私は私だけを大切にしてくれる人と結婚したいの。一夫多妻制の王族なんて、興味がないわよ」
一度ならず二度までも失敗する程、私はバカではない。
「そうか、そうだよな。それならいいんだ」
なぜか嬉しそうな顔をしているライアン。今日のライアン、なんだか変ね。
そんな話をしている間に、ダンスが終わった。その瞬間
「ライアン様!私とも一緒に踊ってください」
「いいえ、私と」
ものすごい数の令嬢が、ライアンを一瞬にして取り囲んだ。一体何なのかしら?この令嬢たち…
「大丈夫?マリア」
声を掛けてきたのは、リリアだ。隣にはミリアナもいる。彼女たちは、私の大切な親友だ。
「ええ、私は大丈夫だけれど。ライアン、すごい人気ね…」
「そりゃそうよ。侯爵家の嫡男で、騎士団の期待の星。聡明で武術も優れているのよ。王太子殿下の次に人気の殿方なのだから」
「ライアンってそんなに人気なの?確かに騎士団ではかなり期待されているとお父様が言っていたけれど…それにしても、あの人気はないわよ」
「あら、知らないの?ライアン様はデビュータントを迎えた3ヶ月前から、誰ともダンスを踊らなかったのよ。それが今日あなたと踊った事で、ダンスを解禁したと解釈されたのでしょうね」
「あら、そうなの?でもどうしてライアンは、今まで誰とも踊らなかったのかしら?」
「は~、本当に鈍いわね…あなたとファーストダンスを踊りたかったからに決まっているじゃない…」
小さな声でブツブツと呟くリリア。
「リリア、何て言ったの?聞こえなかったわ」
「もう、何でもないわよ。あなたは本当に鈍いんだから!あっ、ライアン様が逃げ出したわよ」
ふとライアンの方を見ると、令嬢たちに断りを入れ逃げていく姿が目に入った。あんなにも沢山の令嬢に囲まれているのに、誰とも踊らないなんて…
「ねえ、今日はマリアのデビュータントでしょう。知ってる?王宮のお料理って本当に美味しいのよ。一緒に食べましょう」
王宮の料理か。確かに美味しいけれど、食べ慣れているのよね…でも、せっかく誘ってくれたのだ。一緒に食べる事にした。
早速お皿に入れ、3人で食べる。
「あら?王宮のお料理って、こんなに美味しかったかしら?」
いつも食べているお料理のはずなのに、なぜかものすごく美味しい。
「もう、マリア。あなたは何を言っているの?今日初めて食べたのでしょう?なんだかいつも食べている様な口ぶりね」
そう言ってリリアとミリアナが笑っている。
「ごめんごめん、それにしても、とても美味しいわね」
「そうでしょう?私たち、このお料理が食べたくて夜会に参加している様なものよ」
そう言ってまた笑い始めた2人。こういう時間って、いいわね。1度目の生では、友人たちとの時間もほとんど取れなかった。それでもずっと彼女たちは、私を支えてくれたの。それこそ、結婚するまでずっと…
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彼女たちを見て、改めてそう思ったのだった。
「マリア、そろそろ帰るぞ」
3人で話に花を咲かせていると、お父様とお母様が迎えに来た。
「リリア、ミリアナ、またね」
「ええ、また会いましょう」
友人と別れて馬車に乗り込んだ。
「マリア、今日のデビュータントはどうだった?」
「ええ、とても楽しかったですわ。お料理も美味しかったし」
「そうか、それは良かった。それで、ファーストダンスは誰と踊ったんだい?」
「ライアンと踊りましたわ。その後は、ずっとリリアとミリアナとおしゃべりしていましたから、誰とも踊っていません」
「ライアンか…あいつ、マリアがデビューするのを心待ちにしていたからな…」
「お父様、何かいいましたか?」
「いいや、別に。さあ、今日は疲れただろう。家に帰ったらゆっくり休みなさい」
確かに今日は疲れた。でも、久しぶりにライアンやリリア、ミリアナにも会えたし。そういえば、ライアンは私の知る限り、誰とも結婚せずずっと騎士団で働いていた。確か侯爵の座も、弟に譲ったそうだし。
それだけ騎士団の仕事が好きなのね。まあ、ライアンらしいわ。
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