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第7話:ジャクソン様にこき使われています

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「それじゃあ早速、俺の恋人としてふさわしい振る舞いを身に着けるレッスンから始めよう。いいか、あの女はとにかく厄介なんだ。あの女の口から“あなたには勝てないわ”そう言わせなければいけない。その為にも、お前には完璧な令嬢を目指してもらう。と言っても、マナーレッスンやダンスレッスンなどは、俺が手配した教師にマンツーマンで教えてもらう事になった。とにかく、死ぬ気で覚えろ。いいな」

マナーレッスンやダンスレッスンなら、どちらかというと得意な方だ。まあ、何とかなるだろう。

「それ以外にも、お前には俺が準備した特別なレッスンを受けてもらう。いいな、ある意味こっちの方が大変かもしれないな」

特別なレッスン。一体何かしら?正直この鬼畜が何を言い出すのか、不安でたまらない。

「俺は毎日毎日王子としての仮面をかぶって生活しているんだ。その為、物凄く疲れている。お前には俺の恋人として、俺を癒す役割もしてもらう。そうだな、まずは足のマッサージから行え。その後は肩を揉め。それから、これからはここに来たらまず、カモミールティーとはちみつクッキーを準備しろ。いいな、とにかく俺に尽くせ」

「あの、お言葉ですがあなた様は第二王子様ですよね。そんな事、使用人にやらせればいいのでは?」

明らかに今言った事は、使用人がやってくれる事だ。それにマッサージならマッサージ師に頼めばいいし…

「お前、俺に口答えするのか?俺はな、優しくて誰にでも気遣い出来る人間で通っているんだよ。もちろん、使用人にもだ。だからお前がすべてやれ。いいな!これは命令だ」

この人、本当にろくでもない人間ね。面倒ったらありゃしない。でも、一応色々としてもらっているものね。

「わかりましたわ。では今すぐお茶を入れますから少々お待ちください」

それにしても生徒会長室って本当に色々あるのね。小さいながら、キッチンも付いているわ。早速お湯を沸かし、カモミールティーを入れる。そうそう、クッキーもって言っていたわね。

「お待たせいたしました。カモミールティーとクッキーです」

早速ジャクソン様の傍にお茶とクッキーを置く。でもなぜか動かない。せっかく準備したのに、まさかいらないとか言わないわよね。そう思っていたのだが…

「おい、何をしている。さっさと飲ませろ!本当にトロい女だな」

えぇぇぇぇ、私が飲ませるの?でも、飲ませないとまたうるさそうだ。仕方がない。カップを手にもち、口元に運ぶ。

「アチィ!おい、熱すぎるぞ。一体どんなお茶の入れ方をしてやがるんだ。ちゃんと冷ませ。それに味が薄いぞ。このバカが」

バチーーン

「痛い!」

お尻に痛みが走る。どうやらジャクソン様が私のお尻を叩いたようだ。

「何をなさるのですか?令嬢のお尻を叩くだなんて!」

「うるさい。お前が粗相を働いたのだから、お仕置きだ!それにしても、手で叩くと痛いな。そうだ」

何を思ったのか、大きな紙を丸めてテープで止めたジャクソン様。まさかそれで叩くつもりじゃあ…そう、そのまさかだった。

「お前が粗相をしたら、これで叩いてやる。叩かれたくなければ、粗相を働かないことだな」

どや顔でそう言ったジャクソン様。この人、本当に17歳なのかしら。やっている事が子供なのだけれど…

「おい、早く俺に飲み物を飲ませろ。早くしないと尻を叩くぞ」

隣でギャーギャー文句を言っているジャクソン様。うるさい男だ…

今度はフーフーしてから、ジャクソン様に飲ませた。

「次はクッキーをよこせ。その後は肩と足を揉め」

次々と私に指図するジャクソン様。もちろん、少しでも気に入らないと、先ほど作った紙の棒で、私のお尻を叩くのだ。正直音だけは立派だが、あまり痛くない。それでも1時間以上マッサージさせられて、もうクタクタだ。

「よし、今日はこのくらいにしておこう。それにしてもこの紙を丸めたやつ、もうボロボロだ。お前の尻が丈夫すぎるからだ!」

そう文句を言っている。悪かったですね、丈夫なお尻で。生徒会長室を出た時には、もうぐったりだ。本当にこの悪魔、嫌になるわ…

「そうしたんだい?僕の可愛いティアラ。顔色が悪そうだね。さあ、門のところまで送るよ」

えぇぇぇぇ、外に出た瞬間この変わりよう…この男、二重人格なの…あり得ないと言った表情を浮かべていると、耳元で

「おい、お前は顔に出すぎだ。もう少しうまく演技をしろ。それから、明日までにもっとマッサージがうまく出来る様にしておけ。いいな、わかったな」

そう呟いた。やっぱりこの男、二重人格だわ…重い足取りで、馬車のところまでやって来た。

「それじゃあ今から早速王宮に向かって、マナーレッスンを行おう。大丈夫だよ。君の家には遅くなると連絡を入れておいたからね。さあ、行こうか」

えっ?今から?もうすでにクタクタなのだが…でももちろん、私にそんな事を言う権利はない。有無も言わさず馬車へと乗せられたのであった。
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