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第61話:2人の幸せそうな顔を見れて嬉しいです
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いつまでもなりやまない拍手。そんな中、陛下が壇上へと上がった。
「皆の者、今日は大切な卒業パーティーだと言うのに、息子が申し訳なかった。だが、この様な場所で愛する人と結ばれ、沢山の祝福の拍手を頂けたこと、きっと息子も幸せに感じているだろう。皆の心使い、あらためて感謝する。エマ嬢、ハドソンの気持ちを受け入れてやってくれてありがとう。まだまだ未熟な2人だが、どうか温かく見守ってやって欲しい。卒業パーティーを中断させてすまなかったな。それでは皆の者、引き続きパーティーを楽しんで欲しい」
陛下の言葉で、再びパーティーが再開された。
ふとエマとハドソン殿下の方を見ると、既にたくさんの人に囲まれ、祝福を受けていた。さらにエマのご両親も、沢山の貴族に囲まれている。エマが次期王妃様か…なんだか急に遠くに行ってしまった気がするわ。
「ルーナ、エマ嬢の元に行かなくていいのかい?」
「ええ…またいつでもお祝いの言葉は伝えられるので…エヴァン様、エマが次期王妃様になるのですね。なんだか遠くに行ってしまった様で、少し寂しいですわ…」
「そうかい?家も公爵家だし、僕とハドソン殿下は従兄弟だ。逆に身分的には、距離が縮まったのではないのかい?それに、エマ嬢はエマ嬢だ、たとえ王妃になったとしても、君たちの関係は変わらないのではないのかい?」
エヴァン様の言葉にハッとする。そうよね、エマはエマだ。私達の絆は、そう簡単に断ち切れたりしない。
「ありがとうございます、エヴァン様。私、まだまだダメですわね。たとえエマが王妃様になっても、私たちの強い絆はそう簡単には壊れないのに。それに私も次期公爵夫人になるのですから、エマをしっかりサポートして行かないと!」
「ルーナならきっと、しっかりエマ嬢をサポートできるよ。僕もフォローするし。それよりもまずは、僕たちの結婚式の準備を進めないとね。後3ヶ月しかないんだよ」
「ええ、分かっていますわ。任せて下さい」
胸を叩いてアピールする。
その時だった。
「ルーナ!」
私の元に嬉しそうにやって来るのは、エマだ。後ろにはハドソン殿下もいる。
「ルーナ、さっきはありがとう。あなたが私の背中を押してくれたから、前に進む決心が出来たわ」
「お礼なんていらないわ。今まで散々助けられてきたのですもの。それに私も、エマが幸せになってくれると嬉しいし。それよりもエマ、あなたがハドソン殿下のプロポーズを断った時は、本当に驚いたのよ。もう、変なところで頑固なんだから!」
「ごめんね。でも、私だって色々と思う事があったのよ。でも、最後はちゃんと受け入れたのだから、いいでしょう」
そう言って笑っているエマ。
「ルーナ嬢、本当にエマの事、ありがとう。君がいなかったら、僕は毎日エマの家に通う事になっていたよ。エマは頑固だからね、もしかしたら1年、いや、3年は通わないといけなかったかもしれないな」
「もう、ハドソン様ったら。私はそこまで頑固ではありませんわ。頑固なのはルーナの方です」
「ちょっと、どうしてそこで私の名前が出てくるのよ!」
「確かにルーナも頑固だね」
「エヴァン様まで、その様な事をおっしゃるだなんて!」
すかさず頬を膨らます。それを見てエヴァン様とエマが笑った。さらにハドソン殿下も…
ハドソン殿下って、あんな風に笑うのね。いつも無表情か、悲しそうな顔しか見た事がないから、知らなかったわ。でも、ハドソン殿下を笑顔にしているのは、きっとエマなのだろう。
「近いうちに正式に婚約発表を行うのですって。私、今まであまり人前に出る事もなかったし、注目されることもなかったから、緊張するわ。大丈夫かしら?」
「あら、エマなら大丈夫よ。だって、肝が据わっているし。それにハドソン殿下も傍にいて下さるのでしょう?」
「ルーナ嬢の言う通りだ。僕がずっと傍にいてフォローするから、安心して欲しい。それにしても、本当にエマと結婚できるのだね。夢の様だ。エヴァン、あの時僕に勇気をくれてありがとう。エヴァンがいなかったら、僕はもしかすると、今頃まだナタリーに苦しめられていたかもしれない!」
「おい、ハドソン!」
珍しくエヴァン様が声を荒げた。それに今のハドソン殿下の言葉。どういう意味かしら?
「すまない。何でもないんだ。ほら、僕はずっとナタリーに悩まされていただろう?その件で色々とアドバイスをもらっただけだから。とにかく、エマとこうやって婚約出来るなんて、本当に幸せだ。エマ、ずっと一緒だよ」
そう言ってエマを抱きしめるハドソン殿下。殿下ってこんな明るい方だったなんて、知らなかったわ。なんだか今日は、ハドソン殿下の意外な一面が見られた気がする。
「もう、ハドソン様、すぐに抱き着くのはお止めください。恥ずかしいですわ」
「ごめんね、嬉しくてつい」
プリプリと怒るエマ、でもその顔はどこか嬉しそうだ。ハドソン殿下に至っては、幸せ全開オーラが出ている。
何はともあれ、2人の幸せそうな顔が見られて、私も嬉しい。
その後もクラスメートたちも交え、夜遅くまで話に花を咲かせたのだった。
※次回、最終話です。
よろしくお願いしますm(__)m
「皆の者、今日は大切な卒業パーティーだと言うのに、息子が申し訳なかった。だが、この様な場所で愛する人と結ばれ、沢山の祝福の拍手を頂けたこと、きっと息子も幸せに感じているだろう。皆の心使い、あらためて感謝する。エマ嬢、ハドソンの気持ちを受け入れてやってくれてありがとう。まだまだ未熟な2人だが、どうか温かく見守ってやって欲しい。卒業パーティーを中断させてすまなかったな。それでは皆の者、引き続きパーティーを楽しんで欲しい」
陛下の言葉で、再びパーティーが再開された。
ふとエマとハドソン殿下の方を見ると、既にたくさんの人に囲まれ、祝福を受けていた。さらにエマのご両親も、沢山の貴族に囲まれている。エマが次期王妃様か…なんだか急に遠くに行ってしまった気がするわ。
「ルーナ、エマ嬢の元に行かなくていいのかい?」
「ええ…またいつでもお祝いの言葉は伝えられるので…エヴァン様、エマが次期王妃様になるのですね。なんだか遠くに行ってしまった様で、少し寂しいですわ…」
「そうかい?家も公爵家だし、僕とハドソン殿下は従兄弟だ。逆に身分的には、距離が縮まったのではないのかい?それに、エマ嬢はエマ嬢だ、たとえ王妃になったとしても、君たちの関係は変わらないのではないのかい?」
エヴァン様の言葉にハッとする。そうよね、エマはエマだ。私達の絆は、そう簡単に断ち切れたりしない。
「ありがとうございます、エヴァン様。私、まだまだダメですわね。たとえエマが王妃様になっても、私たちの強い絆はそう簡単には壊れないのに。それに私も次期公爵夫人になるのですから、エマをしっかりサポートして行かないと!」
「ルーナならきっと、しっかりエマ嬢をサポートできるよ。僕もフォローするし。それよりもまずは、僕たちの結婚式の準備を進めないとね。後3ヶ月しかないんだよ」
「ええ、分かっていますわ。任せて下さい」
胸を叩いてアピールする。
その時だった。
「ルーナ!」
私の元に嬉しそうにやって来るのは、エマだ。後ろにはハドソン殿下もいる。
「ルーナ、さっきはありがとう。あなたが私の背中を押してくれたから、前に進む決心が出来たわ」
「お礼なんていらないわ。今まで散々助けられてきたのですもの。それに私も、エマが幸せになってくれると嬉しいし。それよりもエマ、あなたがハドソン殿下のプロポーズを断った時は、本当に驚いたのよ。もう、変なところで頑固なんだから!」
「ごめんね。でも、私だって色々と思う事があったのよ。でも、最後はちゃんと受け入れたのだから、いいでしょう」
そう言って笑っているエマ。
「ルーナ嬢、本当にエマの事、ありがとう。君がいなかったら、僕は毎日エマの家に通う事になっていたよ。エマは頑固だからね、もしかしたら1年、いや、3年は通わないといけなかったかもしれないな」
「もう、ハドソン様ったら。私はそこまで頑固ではありませんわ。頑固なのはルーナの方です」
「ちょっと、どうしてそこで私の名前が出てくるのよ!」
「確かにルーナも頑固だね」
「エヴァン様まで、その様な事をおっしゃるだなんて!」
すかさず頬を膨らます。それを見てエヴァン様とエマが笑った。さらにハドソン殿下も…
ハドソン殿下って、あんな風に笑うのね。いつも無表情か、悲しそうな顔しか見た事がないから、知らなかったわ。でも、ハドソン殿下を笑顔にしているのは、きっとエマなのだろう。
「近いうちに正式に婚約発表を行うのですって。私、今まであまり人前に出る事もなかったし、注目されることもなかったから、緊張するわ。大丈夫かしら?」
「あら、エマなら大丈夫よ。だって、肝が据わっているし。それにハドソン殿下も傍にいて下さるのでしょう?」
「ルーナ嬢の言う通りだ。僕がずっと傍にいてフォローするから、安心して欲しい。それにしても、本当にエマと結婚できるのだね。夢の様だ。エヴァン、あの時僕に勇気をくれてありがとう。エヴァンがいなかったら、僕はもしかすると、今頃まだナタリーに苦しめられていたかもしれない!」
「おい、ハドソン!」
珍しくエヴァン様が声を荒げた。それに今のハドソン殿下の言葉。どういう意味かしら?
「すまない。何でもないんだ。ほら、僕はずっとナタリーに悩まされていただろう?その件で色々とアドバイスをもらっただけだから。とにかく、エマとこうやって婚約出来るなんて、本当に幸せだ。エマ、ずっと一緒だよ」
そう言ってエマを抱きしめるハドソン殿下。殿下ってこんな明るい方だったなんて、知らなかったわ。なんだか今日は、ハドソン殿下の意外な一面が見られた気がする。
「もう、ハドソン様、すぐに抱き着くのはお止めください。恥ずかしいですわ」
「ごめんね、嬉しくてつい」
プリプリと怒るエマ、でもその顔はどこか嬉しそうだ。ハドソン殿下に至っては、幸せ全開オーラが出ている。
何はともあれ、2人の幸せそうな顔が見られて、私も嬉しい。
その後もクラスメートたちも交え、夜遅くまで話に花を咲かせたのだった。
※次回、最終話です。
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