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第57話:今後について話し合います
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「失礼いたします。エヴァン・クリスティロソン様、包帯を交換するお時間でございます」
私達が抱き合っているところにやって来たのは、お医者様だ。恥ずかしくてスッとエヴァン様から離れようとしたが、なぜか放してくれない。
「お連れ様もお目覚めになられたのですね。よかったです。中々お目覚めにならないから、包帯が変えられなくて困っていたのですよ」
「え…そうなのですか?申し訳ございません」
どうやら私が眠っていたせいで、包帯の交換が出来なかったらしい。急いでエヴァン様から離れて、包帯の交換を見守る。
「はい、これで大丈夫です。傷口もそこまで深くありませんが、念のため後3日程度は入院してもらいましょう」
後3日程度で退院できるそうだ。よかったわ。
お医者様と入れ違いで、エヴァン様のご両親と家の両親がやって来た。
「ルーナ、やっと目が覚めたのね。あなた、エヴァン様のベッドに潜り込んで眠るだなんて、何を考えているの!」
病室に入ってくるや否や、お母様が怖い顔で怒っている。
「ルリア、落ち着いて。いいじゃない、エヴァンとルーナちゃんは近々婚約を結ぶ予定になっているのだから。それにルーナちゃんも相当疲れていたのよ。眠ってしまっても仕方がないわ」
「だからと言って、怪我をしたエヴァン様のベッドで眠るだなんて…本当にあなたは!今日は侯爵家に帰って来なさい。分かったわね!」
「でも…」
「でもじゃないの!いいから帰って来なさい!」
お母様に強く言われたら、言う事を聞くしかない。
「夫人、あまりルーナを怒らないで下さい。ルーナも疲れた体の中、僕を心配して傍にいてくれたのですから。ね、ルーナ」
私を抱き寄せるエヴァン様。
「エヴァン様は、ルーナに甘いのだから。あまり甘やかすと、つけあがりますよ!」
お母様がすかさず怒っている。
「ルリア、もうルーナの事は言いだろう。それよりもエヴァン殿、今回の件、丸2日寝ずに必死に私と息子の無罪を証明するため、証拠集めをして頂いたと公爵に聞きました。本当にありがとうございました。お陰様で、私たちの無罪を証明する事が出来ました。本当は息子も直接お礼を言いたいと申しているのですが、大勢で病室に押しかけるのもどうかと思いまして」
「アルフィーノ侯爵、どうか頭をあげて下さい。僕は当たり前の事をしただけです。それに今回の件で、ルーナは僕と共に歩むことを決めてくれたようですし。ただ、やはりルーナに悲しい思いをさせてしまった事が、僕としては悔やまれますが…」
「エヴァン様、確かに悲しくて辛くて心が潰れそうだったけれど、それはエヴァン様のせいではないですわ。私からも、改めてお礼を言わせてください。父や兄、アルフィーノ侯爵家を助けて下さり、ありがとうございました」
改めてエヴァン様に頭を下げた。
「ルーナまでそんなに改まらなくてもいいんだよ。それに僕たちは、いずれ夫婦になるのだから」
夫婦か…
なんだか恥ずかしいわ。でも、エヴァン様となら素敵な夫婦になれる気がする…
「その件なのだが、早速婚約を結び直そうと思ってな。今日書類をそろえてきたんだ。既に私たちのサインはしてあるから、後はエヴァンとルーナ嬢がサインをすれば、晴れて再び2人は婚約者だ」
まあ、もう婚約の手続きの準備をしていただなんて。随分準備がいいのね。
「随分と手際がいいのですね。それじゃあ、早速サインをしましょう。ルーナもいいよね?」
「はい、大丈夫ですわ」
2人で婚約届にサインを行う。この婚約届にサインをするのは、2度目ね。まさかまたエヴァン様と婚約を結び直すことになるだなんて、少し前の私には想像もしなかったわ。
「それで今後の事なのですが、貴族学院を卒業後、出来るだけ早くルーナと結婚したいと考えております」
「貴族学院卒業まで、後1ヶ月程度しかありませんが…」
ビックリして聞き返してしまった。
「そうだね。だから今から急ピッチで準備を進めて、貴族学院を卒業して3ヶ月後位を目標に、僕たちの結婚式をしたいと考えているんだ。もちろん、ルーナには卒業したら次期公爵夫人になる為、毎日公爵家に通ってもらうつもりだ」
卒業の3ヶ月後だなんて…後4ヶ月しかないわ。間に合うのかしら?
チラリと両家の方を見る。すると
「4ヶ月もあれば、何とかなるでしょう。あなたとアルフィーノ侯爵は、すぐに招待状の準備を。私とルリア、ルーナちゃんはウエディングドレスなどの準備に取り掛かりましょう。それで、エヴァンはいつ退院できるの?いつまでもこんなところで寝ていたらダメよ!」
「後3日で退院できるそうですよ。退院後すぐに僕も動き出しますから、とりあえず結婚式の準備を進めて下さい」
「分かった。アルフィーノ侯爵、早速招待状の準備に取り掛かろう。それから、2人が今日正式に婚約を結んだ事も、貴族たちに伝えないと。忙しくなってきたぞ!」
「私はすぐにデザイナーに連絡を入れるわ。明日は…厳しそうだから、明後日、ルーナちゃんとルリアは家に来てくれるかしら?」
「それなら僕も付き合いますよ。退院は明後日に早めてもらえる様に、医者に頼んでおきます。ルーナが家に来るのに、僕が不在じゃあ申し訳ないものね」
「それなら、ミシェルちゃんとロードも連れて行ってもいいかしら?ミシェルちゃん、ルーナのドレス選びを楽しみにしている様なの」
「ええ、もちろんよ。ぜひ連れてきて頂戴」
なぜか次々と話が進んでいく。それも当事者の私は置いてきぼりをくらっているのだが…
でも、皆の楽しそうな顔を見ていたら、これでいいのかなと思ってしまう自分もいる。まさか今日再びエヴァン様と婚約を結び直したうえ、4ヶ月後には結婚する事になるなんてね。
これから忙しくなりそうだわ!
※次回、1話のみエヴァン視点、その後はルーナ視点でエンディングを迎える予定です。
後数話、お付き合いお願いいたしますm(__)m
私達が抱き合っているところにやって来たのは、お医者様だ。恥ずかしくてスッとエヴァン様から離れようとしたが、なぜか放してくれない。
「お連れ様もお目覚めになられたのですね。よかったです。中々お目覚めにならないから、包帯が変えられなくて困っていたのですよ」
「え…そうなのですか?申し訳ございません」
どうやら私が眠っていたせいで、包帯の交換が出来なかったらしい。急いでエヴァン様から離れて、包帯の交換を見守る。
「はい、これで大丈夫です。傷口もそこまで深くありませんが、念のため後3日程度は入院してもらいましょう」
後3日程度で退院できるそうだ。よかったわ。
お医者様と入れ違いで、エヴァン様のご両親と家の両親がやって来た。
「ルーナ、やっと目が覚めたのね。あなた、エヴァン様のベッドに潜り込んで眠るだなんて、何を考えているの!」
病室に入ってくるや否や、お母様が怖い顔で怒っている。
「ルリア、落ち着いて。いいじゃない、エヴァンとルーナちゃんは近々婚約を結ぶ予定になっているのだから。それにルーナちゃんも相当疲れていたのよ。眠ってしまっても仕方がないわ」
「だからと言って、怪我をしたエヴァン様のベッドで眠るだなんて…本当にあなたは!今日は侯爵家に帰って来なさい。分かったわね!」
「でも…」
「でもじゃないの!いいから帰って来なさい!」
お母様に強く言われたら、言う事を聞くしかない。
「夫人、あまりルーナを怒らないで下さい。ルーナも疲れた体の中、僕を心配して傍にいてくれたのですから。ね、ルーナ」
私を抱き寄せるエヴァン様。
「エヴァン様は、ルーナに甘いのだから。あまり甘やかすと、つけあがりますよ!」
お母様がすかさず怒っている。
「ルリア、もうルーナの事は言いだろう。それよりもエヴァン殿、今回の件、丸2日寝ずに必死に私と息子の無罪を証明するため、証拠集めをして頂いたと公爵に聞きました。本当にありがとうございました。お陰様で、私たちの無罪を証明する事が出来ました。本当は息子も直接お礼を言いたいと申しているのですが、大勢で病室に押しかけるのもどうかと思いまして」
「アルフィーノ侯爵、どうか頭をあげて下さい。僕は当たり前の事をしただけです。それに今回の件で、ルーナは僕と共に歩むことを決めてくれたようですし。ただ、やはりルーナに悲しい思いをさせてしまった事が、僕としては悔やまれますが…」
「エヴァン様、確かに悲しくて辛くて心が潰れそうだったけれど、それはエヴァン様のせいではないですわ。私からも、改めてお礼を言わせてください。父や兄、アルフィーノ侯爵家を助けて下さり、ありがとうございました」
改めてエヴァン様に頭を下げた。
「ルーナまでそんなに改まらなくてもいいんだよ。それに僕たちは、いずれ夫婦になるのだから」
夫婦か…
なんだか恥ずかしいわ。でも、エヴァン様となら素敵な夫婦になれる気がする…
「その件なのだが、早速婚約を結び直そうと思ってな。今日書類をそろえてきたんだ。既に私たちのサインはしてあるから、後はエヴァンとルーナ嬢がサインをすれば、晴れて再び2人は婚約者だ」
まあ、もう婚約の手続きの準備をしていただなんて。随分準備がいいのね。
「随分と手際がいいのですね。それじゃあ、早速サインをしましょう。ルーナもいいよね?」
「はい、大丈夫ですわ」
2人で婚約届にサインを行う。この婚約届にサインをするのは、2度目ね。まさかまたエヴァン様と婚約を結び直すことになるだなんて、少し前の私には想像もしなかったわ。
「それで今後の事なのですが、貴族学院を卒業後、出来るだけ早くルーナと結婚したいと考えております」
「貴族学院卒業まで、後1ヶ月程度しかありませんが…」
ビックリして聞き返してしまった。
「そうだね。だから今から急ピッチで準備を進めて、貴族学院を卒業して3ヶ月後位を目標に、僕たちの結婚式をしたいと考えているんだ。もちろん、ルーナには卒業したら次期公爵夫人になる為、毎日公爵家に通ってもらうつもりだ」
卒業の3ヶ月後だなんて…後4ヶ月しかないわ。間に合うのかしら?
チラリと両家の方を見る。すると
「4ヶ月もあれば、何とかなるでしょう。あなたとアルフィーノ侯爵は、すぐに招待状の準備を。私とルリア、ルーナちゃんはウエディングドレスなどの準備に取り掛かりましょう。それで、エヴァンはいつ退院できるの?いつまでもこんなところで寝ていたらダメよ!」
「後3日で退院できるそうですよ。退院後すぐに僕も動き出しますから、とりあえず結婚式の準備を進めて下さい」
「分かった。アルフィーノ侯爵、早速招待状の準備に取り掛かろう。それから、2人が今日正式に婚約を結んだ事も、貴族たちに伝えないと。忙しくなってきたぞ!」
「私はすぐにデザイナーに連絡を入れるわ。明日は…厳しそうだから、明後日、ルーナちゃんとルリアは家に来てくれるかしら?」
「それなら僕も付き合いますよ。退院は明後日に早めてもらえる様に、医者に頼んでおきます。ルーナが家に来るのに、僕が不在じゃあ申し訳ないものね」
「それなら、ミシェルちゃんとロードも連れて行ってもいいかしら?ミシェルちゃん、ルーナのドレス選びを楽しみにしている様なの」
「ええ、もちろんよ。ぜひ連れてきて頂戴」
なぜか次々と話が進んでいく。それも当事者の私は置いてきぼりをくらっているのだが…
でも、皆の楽しそうな顔を見ていたら、これでいいのかなと思ってしまう自分もいる。まさか今日再びエヴァン様と婚約を結び直したうえ、4ヶ月後には結婚する事になるなんてね。
これから忙しくなりそうだわ!
※次回、1話のみエヴァン視点、その後はルーナ視点でエンディングを迎える予定です。
後数話、お付き合いお願いいたしますm(__)m
応援ありがとうございます!
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